自由な感性が光る旅館、雪と緑のシーン。ZABORIN(坐忘林)ニセコ・倶知安町/北海道
ホテルへBon Voyage 2016.04.28
北海道屈指の美しい山、蝦夷富士こと'羊蹄山'の大いなる姿に抱かれ、なだらかなニセコアンヌプリの山麓にひっそりと佇む日本旅館が誕生しました。旅館と言うには余りにも斬新で、概念を取り払わないと戸惑うほど、外観も内観も驚くほど自由な発想の空間です。宿名は「坐忘林」(ZABORIN)、2015年6月6日にオープンした未来志向の旅館です。

3月末、雪が残る坐忘林とニセコアンヌプリ
宿は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園内に位置し、山の中腹に佇んでいます。周辺は白樺林や牧場の広がる雄大な自然に包まれ、4万㎡という広大な敷地には湧水の溜まる池もあり、鴨の親子が暮らし平和な情景が広がります。四季折々の自然の風景は、どの季節に訪れても感動的で魅了されてしまいます。また敷地内では温泉も湧き、その坐忘林温泉が15室の各部屋に引かれます。露天と内風呂のそれぞれを贅沢に楽しめます。各部屋の大きさも70~86㎡とゆったりと作られ、リビングルーム、寝室、大きなバスルームなど、シンプルで高級感のあるリゾートのような作りなのです。

残雪に輝く朝陽、客室からの眺め。

レセプションデスクのあるロビー暖炉。

大きな銅製の暖炉のあるリビングルーム。
今まで日本にはなかった旅館を作ったオーナーたちは、英国人3名。計り知れない地域の魅力と美しい自然を、日本旅館に表したかったと言い、地元へのこだわりが宿の隅々まで詰まっています。

11mの一本木を使った自慢のバーカウンター。

客室のひとつ、奥はバスルームで露天風呂が見える。

石造りのゆったりした露天風呂は掛け流しの天然温泉。
地元へのこだわりは食事にも。地産地消は当然ながら、若い総料理長のオリジナリティ溢れる懐石料理がふるまわれます。新鮮な北海道産の海の幸は絶品、安心安全な地元の野菜や肉類から作られる料理は、'北の懐石'としてゲストを喜ばせます。

北海道の旬の食材で作られた朝ご飯。
繰り返しますが、ここはリゾートではなく日本旅館! 古くから伝承する日本家屋特有の感性である、陰と光による"陰翳礼讃"という哲学も表現されています。確かに、滞在していると、どこかホッと寛げるクラシカルな空気感に包まれるから不思議です。着物姿の女将の存在や、スタッフの細やかなもてなしが、どこか懐かしい旅館ならではの温かさで包んでくれるからでしょう。(K.S)
坐忘林
北海道虻田郡倶知安町花園76-4
Tel:0136-23-0003
www.zaborin.com
部屋数:全15室(全室天然掛け流し温泉・露天風呂・内風呂付き)
料金:1泊2食付(1名料金)55.000円~
施設:食事処、ラウンジ、バー、ライブラリー、アルコーブ 茶の坐、シガールーム、マッサージルーム、他
アクセス:新千歳空港から車で約2時間30分
●問い合わせ先:直接旅館、又は旅行会社へ

Kyoko Sekine
ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。
http://www.kyokosekine.com