時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノにある、いい物語を語る連載「いいモノ語り」。
今回は、ブルガリのネックレス「セルペンティ ヴァイパー」の話をお届けします。
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BVLGARI
SERPENTI VIPER

ネックラインでしなやかに揺れるコンテンポラリーなデザイン。デイリーユースの気軽なスタイリングから、ほかのブルガリのアイコンジュエリーとの華やいだミックス&マッチまで、幅広いコーディネートを楽しませてくれる。ネックレス「セルペンティ ヴァイパー」(WG×ダイヤモンド)¥946,000/ブルガリ(ブルガリ・ジャパン)
スネークが宿す、生命のパワーを身に着けて。
ブルガリのアイコンジュエリー「セルペンティ」コレクションに加わったばかりの新作は、スネークのモチーフがチェーンにからみついているかのようなデザイン。質の高いダイヤモンドもあしらわれているので、身体の動きにつれて胸元で白い輝きを放つ。グラマラスであり、エレガントでもある逸品ネックレスだ。
もしかしたら蛇は苦手、という人もいるかもしれない。でも蛇は太古の昔からパワフルなお守りとして身に着けられてきたモチーフなのだ。蛇はとても生命力の強い生き物で、厳しい環境でも耐えて生き抜く。そして脱皮を繰り返すことから、若返りや復活、不死、永遠のシンボルともされている。古代エジプトのファラオたちも王権の証として身に着けていたのは黄金の蛇のモチーフ。女王クレオパトラがシーザーとともにはるばる古代ローマの都にやってきたとき、その腕には蛇のジュエリーが輝いていたかもしれないのだ。
ブルガリが「セルペンティ」を初めて生み出したのは、第二次世界大戦直後の1948年。大きな戦争の終わりによって、女性たちが一気に社会に進出した時代でもある。古い習慣や凝り固まった価値観がリセットされ、自由を謳歌する女性たちに、しなやかなスネークモチーフはきっとよく似合ったことだろう。「セルペンティ」は新時代の女性たちの生きる力を表していたのだから。

蛇の頭の部分にダイヤモンドを留める工程。「セルペンティ」の仕立てはデリケートな作業が連続する。
多くの人々から愛され続ける「セルペンティ」は、蛇が不死をシンボライズするように、誕生から80年近く経ったいまも進化と変容を止めない。モダンにデザインされた「セルペンティ ヴァイパー」ネックレスは、職人の手作業でハイポリッシュされたホワイトゴールドの質感が艶やか。ダイヤモンドの繊細なセッティングにもブルガリの誇る優れたクラフトマンシップが冴える。何よりスネークモチーフ本来のハイパーな守護の力が、肌にしっかりと伝わってくるかのよう。胸元でチェーンにからみつくスネークの魅力はいつまでも色褪せることなく、スタイリッシュな存在感をパワフルに発揮し続けてくれることだろう。
無限のスタイリングの可能性を広げてくれる「セルペンティ」。伝説的ファッションエディター、ダイアナ・ヴリーランドも、かつてその美しさに熱狂したひとり。彼女の残した言葉には「セルペンティ」への愛があふれている。
「蛇を忘れることなかれ。すべての指に、両の手首に、ありとあらゆるところに、蛇は身に着けられるべきなのです」
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
ジュエリーデザイナーの知人が大量のガーネットを仕入れたので選別を手伝ったけれど、あまりの細かさに目が疲れて2時間で降参。宝石屋さんの視力はすごい。
*「フィガロジャポン」2026年5月号より抜粋
photography: Ayumu Yoshida styling: Tomoko Iijima text: Keiko Homma editing: Mami Aiko





