パリ2024でも...五輪をめぐる「セクシズム」

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世界中の女性を激怒させた、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言。このニュース、パリジェンヌはどう見ていた? パリ在住のジャーナリスト、レベッカ・ジスマヌからのレポート。

暗礁に乗り上げた東京2020大会、一方のパリ2024大会は? photo : iStock

文:レベッカ・ジスマヌ(パリ在住ジャーナリスト)

東京五輪中止の誤報が世界中を駆け巡った数週間後、この大会が再び世界の注目を集めることになった。今回話題となったのは、イベントが開催されるかどうかではなく、誰がこの大会を率いるのにふさわしいか、について。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と発言。この出来の悪いジョークはフランスでもすぐに報じられ、「Taisez-vous(お黙りなさい)」と反論したナタリー・ロワゾー欧州議会議員をはじめ、多くの女性がユーモアを交えて森氏を批判した。

ピリッと辛いフランス人女性たちからの批判
 

たとえば、モンペリエ市庁舎で働く女性は「女性のいる会議は、時間通りに始まり時間通りに終わる…そうでもしなきゃ、就労時間に加えて平均3時間、家事をする時間を捻出できないもの」と反論。「おじさんたちが自分の発言に酔いしれて、女子の発言を妨げる会議については言及されないのね」という批判もあった。

さらに、私の70代の母などは、この発言に対して、私よりも怒りをあらわにしていた。「若い力と進歩とを象徴するオリンピックの組織委の代表に、こんなに保守的で、女性に対して不適切な発言をする老人が選ばれているのが信じられない」と。

冗談のつもりの一言は、森氏を辞任に追い込んだ。

「セクシズム」はパリ五輪でも
 

東京2020大会では、出場選手の男女比がほぼ同じになる予定だ(48.8%が女性で、過去最高の参加率)。この男女比の実現はパリ2024大会でも期待されており、日本はいわばパリのお手本。今回の森氏の発言は、五輪でジェンダー平等を実現しようと奔走する人々の努力を蔑ろにするものだ。

一方のパリ2024大会でも、実はセクシズムをめぐる問題が起きている。

2019年、パリ2024オリンピック・パラリンピックのエンブレムが発表された。金メダルと聖火、そしてフランス共和国を擬人化した「マリアンヌ」を組み合わせたもので、女性的な唇とヘアスタイルが描かれている。

 

このエンブレムに対し、フェニミスト運動活動家のレベッカ・アンセレムは「完璧に描かれた唇、さらに漫画の女性キャラを想起させるような髪型」で、不必要に性的なイメージを与えるものだと批判。彼女はインターネット上でこのエンブレムの変更を要求する署名活動を始めた。

大混乱の東京2020。パリ2024のゆくえは?
 

女性がオリンピックを率いる能力とリーダーシップを持っていることは、すでに証明されている。だって結局のところ、2020年と2024年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催地のリーダーはどちらも女性なんですもの。パリの市長、アンヌ・イダルゴはあるインタビューでこう語っている。パリが五輪開催地になるために、おそらく女性市長が必要だった、と。

森氏の発言に端を発する今回の騒動は、日本に大きな混乱をもたらした。彼の発言により、400人以上のボランティアが辞退を申し出、さらに後任探しも難航しているようだ。新型コロナウイルス感染症の収束も見えない中、東京2020、さらにパリ2024大会は本当に開催できるのか? そんな疑問を持つ人も多い。

東京2020大会が暗礁に乗り上げている一方、パリ五輪組織委員長で元オリンピック選手のトニー・エスタンゲはこう語っている。「東京で何が起こっても、パリ2024大会は開催します」

 

レベッカ・ジスマヌ

パリを拠点に活動するジャーナリスト。日本にも滞在経験があり、日本映画の大ファン。

 

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/society-business/210211-JO2024.html