晩夏にしっとり、ジビエやラム肉を味わう……ムールヴェードル/モナストレル/マタロの赤ワインを柳忠之が解説!
ブドウ品種の特徴がわかると、ワイン選びはグッと楽に! ワインジャーナリストが解説する連載「ワイン学習帖」。今回はジビエやラム肉にもピッタリな赤ワイン品種を、柳忠之さんが解説。
Vol.29 ムールヴェードル/マタロ
ムールヴェードルは主にスペインやフランスの地中海沿岸で栽培されている赤ワイン用品種。原産地はスペインと考えられ、この国では一般にモナストレルと呼ばれる。スペインのカタルーニャ州、それにオーストラリアやカリフォルニア州など新世界での呼び名はマタロ。バルセロナ近郊の街の名前に由来するらしい。
豊かな日照量を必要とするが干ばつには弱く、保水性の高い粘土石灰質の土壌が好み。pHが高めで酸味は穏やか、色が濃く、タンニンの豊富なワインを生む。時折、ジビエを思わせる血の混じった生肉のような香りを伴うこともある。
ムールヴェードルはシラーやグルナッシュとブレンドされることが多く、単一での醸造は比較的まれ。南フランスの産地バンドールで50~95%、スペインのフミーリャ・モナストレルは85%以上のブレンドが義務付けられている。
シャトー・ド・ピバルノン
バンドール・ルージュ
CHÂTEAU DE PIBARNON
BANDOL ROUGE
国・地域:フランス コート・ド・プロヴァンス
アルコール度数:14.5%

フランスでムールヴェードルといったら南仏プロヴァンス地方のバンドール。マルセイユの東に位置する小さなワイン産地で、レスタンクと呼ばれる段々畑でブドウが栽培される。シャトー・ド・ピバルノンは、バンドールのスター的生産者のひとつ。このワインはムールヴェードルを90%含み、タンニンは豊富だが、果実味に包み込まれて丸みを帯びる。ジビエのような複雑で官能的なフレーバーが妖艶に漂う。
果 実 味 ●●●●〇
酸 味 ●●〇〇〇
タンニン ●●●●〇

ジョン デュヴァル ワインズ
アネクサス マタロ
JOHN DUVAL WINES
ANNEXUS MATARO
国・地域:オーストラリア バロッサ・ヴァレー
アルコール度数:14.5%

オージーワインの最高峰、ペンフォールズ社のグランジを16年にわたり造り続けた男、ジョン・デュヴァル。彼が2002年に独立して立ち上げたワイナリーがジョン デュヴァル ワインズだ。バロッサ・ヴァレーのマタロ(ムールヴェードル)100%から造られるこちらのワインは、凝縮感たっぷりながらフレッシュさも感じられ、タンニンは実にきめ細やか。バランスが取れている。炭火焼きのラム肉に合わせたら最高!
果 実 味 ●●●●●
酸 味 ●●〇〇〇
タンニン ●●●〇〇

*「フィガロジャポン」2026年10月号より抜粋