【メゾンフィガロイベント】
私が選ぶ、私の条件。映画『マテリアリスト 結婚の条件』試写会とトークショーをリポート。
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5月12日には、映画『マテリアリスト 結婚の条件』の試写会&トークイベントを開催。映画上映後に、ストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリストのシトウレイ、ファッションディレクター/エッセイストの龍淵絵美を迎え、作品のファッション的見どころから、女性の生き方の選択肢や価値観などをテーマに話を聞いた。当日の様子をリポート。

『マテリアリスト 結婚の条件』は、ニューヨークの結婚相談所で凄腕マッチメーカーとして活躍する女性ルーシー(ダコタ・ジョンソン)が、自身の恋愛に揺れるさまを描く作品。クライアントの理想や条件をマッチングさせ、ベストパートナーを見つけ出すルーシーは、恋愛を感情だけでなく”資産価値”でも冷静に判断するマテリアリスト(=物質主義者)だ。
そんな彼女が、ふたりの男性との出会いと再会によって激しく揺れ動く。ひとりは家柄も人柄も学歴も一流のリッチな投資家、すべてが”完璧”なハリー(ペドロ・パスカル)。もうひとりは元カレのジョン(クリス・エヴァンス)。ルーシーとは愛し合っていたものの、俳優を目指してバイトを転々とする貧乏生活が理由で破局してしまった。理想と現実に揺れる三角関係の行方、そして仕事も恋愛も岐路に立たされたルーシーが選択するのは?

『パスト ライブス/再会』で高い評価を得たA24とセリーヌ・ソン監督が誕生させたロマンティック・ラブストーリーとあって注目度も高く、イベントには約600名の応募が集まった。当日はその中から選ばれた72名の読者たちが参加し、劇場公開よりもひと足先に作品を鑑賞する機会を得た。
そして上映後には「私が選ぶ、私の条件。」をテーマに、シトウレイと龍淵絵美のトークセッションを実施。作品からインスパイアされたスタイルで登壇したふたり。シトウは、劇中でルーシーが見せた白シャツ+デニムのシンプルなコーディネート、龍淵は、働く女性のマストアイテムとも言えるブラックジャケットを選択した。


トークは、そんなふたりの装いの話題から、劇中のルーシーのファッションへ。『マテリアリスト 結婚の条件』では物語の舞台と結びつくように、ニューヨーク発のブランドが印象的に登場している。
たとえばルーシーがクライアントの結婚式で来ている鮮やかなブルーのドレスは、プロエンザ スクーラーのもの。「こういうIラインのドレスを着こなすのってなかなか難しいし、デコルテの出具合がきれいですよね! 潔さがすごく素敵」(シトウ)

ワークスタイルのルーシーは、龍淵もインスピレーションを受けたブラックジャケットが定番。こちらはアリツィアというアメリカでは人気のブランドの一着だ。「彼女の場合、ジャケットにミニスカートを合わせていて、働く女性がこのスタイルを選ぶのがかっこいいなと思いました。そしてシアーなストッキングがセクシー!」(龍淵)
「シャツの胸元を開けていたり、ちょっとした抜け感が彼女の魅力を作っていますよね」(シトウ)
「ダコタ・ジョンソンにはパリジェンヌっぽい可愛さがありますよね。バングスもあって。日本の女性たちも好きなテイストじゃないかな?」(龍淵)

続いて、“彼シャツ”のようなオーバーサイズのルームウエア姿にも、ふたりは注目!
「パジャマシャツのようだけど、見るからに質がいいし、個人的にはちゃんと靴下を履いているのがスタイリングとして可愛いな!ってキュンときてしまいました」(シトウ)
「肩の位置とか、ビッグサイズを着た時のこういう感じは今シーズンアリだなと思います。シャルべのメンズシャツみたいな、いい仕立ての一着で」(龍淵)

また、ガーリーなドレスはLAブランドのドーエンのもの。「ロマンティックで、クロエやイザベル マランが好きな人はぜひチェックしてほしい。しかもリーズナブルだし取り入れやすいですね」(龍淵)

ファッションの話題も尽きないが、映画のストーリーにちなんだ「選択」について聞くと「人生は選択の連続だから、時々間違ったりもする。でも、いまが幸せだったら過去の間違った選択も全部正解になるんです。いちばん怖いのは、失敗を恐れて自分に嘘をついたり、誰かのせいにすること。自分の選択に責任を持つことが大切ですね」と語る龍淵。一方のシトウは「10年くらい前、『美しいかどうか』でこれからの仕事を選ぼう、と決めました。見た目の美というよりも、損得で選んでないか?ズルをしていないか?自分が胸を張っていられるか?という視点で。ズルい自分や、楽をしたい自分に引っ張られていくと、メンタルにシミができるような気がして……(笑)」と独自の選択基準を教えてくれた。

そんなふたりに、客席からも質問が飛んだ。「新しいことにチャレンジする勇気が出ない。洋服がいつも同じような色になったり、キャリアも自分が知っている領域にとどまってしまう。知らない世界に踏み出す勇気はどこから生み出されるもの?」という問いかけに、シトウは「私は小さい失敗をたくさん経験して、『失敗しても大したことない』というマインドが積み上がっていった。それでチャレンジが怖くなくなりましたね。たとえばプロ野球選手は打率が3割あったらすごいと言われる世界。ということは7割は失敗していても、成功しているということになる。大事なのは、失敗しても当たり前だって気持ちでとりあえず打席に立つことだと思っています」と経験談を話す。龍淵は「メル・ロビンズの『Let Them Theory』という本が参考になるかもしれません。他人の評価やコントロールを手放して、自分自身にフォーカスして生きていくメソッドを紹介しているとてもいい本。私自身も“ストレッチ・マイ・ポテンシャル”がポリシーで、いまだに少しでも成長したい。自分の人生にフォーカスしていると、他人を気にして守りに入っちゃうのが勿体なくなります。まずは洋服から、好きなものを着るチャレンジをしてみたらいいのでは?」とアドバイス。

客席からは「好きな人と仕事をしたり、美しいと思える判断をしたいけれど、自分にはまだ実績がないから選ぶ立場になれない。悶々と、与えられる仕事をこなしているけれど、おふたりはどうやって『選択』できるようになりましたか?」という質問も。シトウが「修業中の身であることを利用して、ダメもとでやりたいことにチャレンジしてみるのはアリかも。失敗しても当たり前。でも『次はこういう作戦でいこう』と体当たりし続ければ、長い目で見ると面の皮も厚くなってくるし、挑戦しやすくなる」と答えると、龍淵は「この世に価値のない仕事なんてない。いまのあなたがやっていることも全て価値があるんです。私も過去にやりたくない仕事もいっぱいあったけど、そういうのを全部経験して50代のいまがあるから、先は長いですよ(笑)。つらくなった時は『私はこの仕事で誰かを喜ばせている』ということを忘れないでほしい」と励ましの言葉を贈った。

作品を入り口に、ファッション、キャリア、人生の「選択」……と、誰もが直面するテーマにトークの内容が広がり、会場は一体感に包まれた。参加者からも「シトウさんと龍淵さんの素敵な考え方、生き方のヒントをもらえて前向きな気持ちになれた」「あらためて、自分の人生の棚卸しをしてみようと思った」などの感想が寄せられ、映画を楽しみ、自分にフォーカスできる良い時間となったようだ。
映画『マテリアリスト 結婚の条件』は全国ロードショー中。ぜひ作品を通じて自身の「選択」を考える機会にしてみては?
- photography: Mari Hamada