【クッキー缶手帖】歴史まで贈れる手土産。帝国ホテルとホテルニューグランドが守り続けるクッキー缶。
見て楽しい、食べておいしいクッキー缶。小さな箱にぎっしり詰まったクッキー缶は、おすすめの手土産です。もちろん、自分で味わうたのしみも。文筆家・甲斐みのりさんが教えてくれたクッキー缶をご紹介します。
◆店名:帝国ホテル 東京
◆製品名:プレミアムクッキー缶 ¥8,424(税込)

「帝国ホテル」は、「メイド・イン・ジャパン」のホテルの代表格。明治維新後の1890(明治23)年に、海外の賓客を迎える迎賓館の役割を担い、外交施設「鹿鳴館」に隣接する日比谷の地に誕生した。外務卿・井上馨の要請に応じたのは、後の帝国ホテル初代会長となる渋沢栄一や大倉喜八郎ら財界人。1923(大正12)年に完成した2代目本館は、20世紀を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトによる設計。開業当日に関東大震災に見舞われるも、独自の「浮き基盤」構造と徹底した防火対策により震災を免れ、被災者や罹災会社の事務所としてホテルを開放したという。
チャールズ・チャップリンやヘレン・ケラーとさまざまな著名人に愛されてきた。1954(昭和29)年に、マリリン・モンローがジョー・ディマジオとの新婚旅行で帝国ホテルに宿泊した際の記者会見で、「夜は何を着て寝ますか」という質問に対して、「シャネルの5番」と答えたエピソードもよく知られている。
ランドリーサービス、ショッピングアーケード、ホテルウエディング、「バイキング」という名で日本に根付いたブフェスタイルのレストラン、さらには“柿の種とピーナッツをミックスしたおつまみ”と、帝国ホテルから全国に広がったホテルの施設・サービスや食の文化も実に多い。
1971(昭和46)年にオープンした「ガルガンチュワ」も、ホテルショップの先駆けだ。当時はまだ「デパ地下」などの言葉がなく、調理済みの惣菜を持ち帰って家庭で食べるスタイルは日本人になじみがなかった。そんな中、日常でも本格的なホテルの味をたのしめるように、惣菜、ペストリー、ベーカリーの販売をおこない、その品々は半世紀以上に渡り家庭での食卓を彩る味として、また特別な手みやげとしても親しまれてきた。ガルガンチュワという名前は、フランスの作家、フランソワ・ラブレーが16世紀に発表した小説『ガルガンチュワとパンタグリュエル』に登場する美食家の王様の名前にちなんでいる。
ガルガンチュワで人気の「プレミアムクッキー缶」のパッケージが、2026年11月5日に開店55周年を迎えることを記念して、リニューアルされた。缶のデザインには、通称「ライト館」と呼ばれる2代目本館を設計した、フランク・ロイド・ライトが好んで使用した市松模様や、ロビーを優美に彩るシャンデリア「ゴールデンローズ」、お客様をお迎えする一番小さな客室であるという考えのもと、毎日手入れをおこなう「エレベーター内の一輪のバラ」など、「帝国ホテル 東京」を象徴するモチーフがちりばめられている。蓋を開くと、10種類の味が市松模様のように端正に並んでいる。クッキー、サブレ、タルト、フロランタンの他にも、ガルガンチュワ開店当初から愛されるブルーベリーパイとアップルパイをイメージしたものも。宿泊の思い出はもちろんのこと、大切な方への贈り物にも喜ばれる。


ガルガンチュワでは、開店55周年を迎えることを記念して、2回のフェーズに渡り、記念商品を用意している。また、11月4日までは、お客様から寄せられた「もう一度食べたい」「あの味が懐かしい」という声に応えて、伝統の味をテーマにした商品を販売している。老舗ホテルの味をぜひこの機会に。
<種類>
・ブルーベリー/ガルガンチュワで長く親しまれる「ブルーベリーパイ」をイメージ。ゼリー状に固めたブルーベリーのパートドフリュイをタルトに詰めている。
・アップル/ガルガンチュワで人気の「アップルパイ」をイメージ。タルト生地にシナモンをきかせた青りんごのパートドフリュイとふじりんごのジャムを詰めている。
・ラムレーズン/世界最古のラム蒸溜所で製造されるラム酒「MOUNT GAY」に漬け込んだレーズンとバターの風味が大人の味わい。
・フロランタン/開業当初から「フランス料理」を大切にしてきたホテルらしく、フランスの伝統菓子をラインアップ。はちみつ風味のヌガーに、スライスしたアーモンドをからめて、クッキー生地とともに焼き上げている。
・ココ/帝国ホテルが業務提携しているハワイのホテル「ハレクラニ」をイメージして、生地に無漂白のココナッツファインを練り込んでいる。
・サブレキャラメルノワゼット/キャラメル風味のチョコレートと、トルコ産ヘーゼルナッツ、ゲランドの塩をあわせた、豊かな味の組み合わせ。
・サブレショコラ/ほんのりきかせた塩気が、2種類のチョコレートの風味を際立たせる。
・黒豆きなこ/丹波の黒種大豆で作る黒豆きなこを使って、ほろほろとした食感に。
・サブレ抹茶/京都・宇治産の抹茶と、アーモンドの風味が絶妙な組み合わせ。
・サブレナチュール/「三陸宮古の塩」が甘さを引きたてる、素朴ながら素材にこだわったサブレ。
帝国ホテル 東京 ホテルショップ ガルガンチュワ
東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル東京 本館1階
営)8:00~20:00 *ペストリー・ベーカリー・惣菜は11:00~19:00の販売
休)無休
取り寄せ 可
https://another.imperialhotel.co.jp/product/131021.html
◆店名:S.Weil by HOTEL NEW GRAND
◆製品名:S.Weil クッキー缶 ¥5,616(税込)

横浜開港以降、海外との玄関口として賑わいを見せた横浜。けれども、1923(大正12)年に発生した関東大震災で、街は甚大な被害を受けた。そんな中、横浜市や政財界の後押しと、横浜市民の熱意によって、1927(昭和2)年に復興のシンボルとして誕生したのが「ホテルニューグランド」。優雅なアーチ窓が並ぶヨーロッパ調の外観に、西洋、東洋、日本の建築手法を織り交ぜた壮麗な内装を手がけたのは、銀座の和光や東京国立博物館本館などで知られる建築家・渡辺仁。本館入口を入ると目に飛び込む大階段の先に、高い天井のロビーが広がり、随所にオリエンタルな意匠がちりばめられている。
開業時から大きな存在だったのが、初代総料理長のサリー・ワイル(以下、S・ワイル)。スイスに生まれ、パリのホテルから招聘されたS・ワイルは、日本に本格的なフランス料理と独自のサービスを持ち込み、日本における「西洋料理の父」と呼ばれている。メニューに「コック長はメニュー以外のいかなる料理にもご用命に応じます」と記し、体調を崩した外国人客のために「シーフードドリア」を生み出している。他にも、「スパゲッティ ナポリタン」と「プリン ア ラ モード」も、ホテルニューグランドで誕生し、横浜から日本中に広まっていった名物メニューだ。
そんなS・ワイルの功績と技を受け継ぎつつ、いまの時代に寄り添う食やライフスタイルを提案するため、2024年にホテルの裏手に誕生したのが「S.Weil by HOTEL NEW GRAND」。クラシカルな洋食を自宅でも楽しめるように冷凍食品やレトルト食品、パンや焼き菓子、新たな名物としてモカルーロやオリジナルコーヒーなどを販売している。ちなみにブランド名は、S・ワイルの弟子が作った洋菓子店「エスワイル」を受け継ぎ名付けられた。


S.Weil by HOTEL NEW GRANDで人気の「S.Weil クッキー缶」は、伝統への敬意を大切にしながら、「いまの時代に愛されるクッキーとはどんなものだろう」と改めて考え生まれたお菓子。素材の組み合わせや食感、甘さのバランスを、ひとつひとつ丁寧に見直して完成したという。缶のデザインモチーフは、ホテルを象徴する大階段と、S・ワイルの横顔。100年に渡って守られてきた、品格ある意匠を現代風に表現したのは、グラフィックデザイナーの三宅瑠人氏と、アートディレクターの岡崎由佳氏。長くホテルを利用する大人の世代はもちろんのこと、子どもたちにも愛される、懐かしさと新しさが調和する味わいだ。
<種類>
・コーヒークッキー
・紅茶クッキー
・フランボワーズジャムクッキー
・フロランタン
・ブールドネージュ
・シナモンパイ
・キャラメルショートブレッド
・プレーンクッキー
・ココナッツサブレ
・チョコレートココナッツサブレ
S.Weil by HOTEL NEW GRAND
横浜市中区山下町31番地7 グランドメゾン山下公園1階
営)10:00~19:00
取り寄せ不可
S.Weil by HOTEL NEW GRAND横浜髙島屋店
神奈川県横浜市西区南幸1-6-31 横浜髙島屋 地下1階 Foodies’Port2
営)10:00~21:00 (カフェL.O.20:00)
取り寄せ不可
- photography: Yuko Sayama