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DIOR
【黒木華のDIOR探訪 Vol.4】フラワーアーティスト、東信がムッシュに贈る植物群。
東京・代官山に出現した「ディオール バンブー パビリオン」は、多くの日本のクリエイターが関わりディオールのコードと和の美意識を穏やかに共鳴させている、ディオールのコンセプトストア。
花が咲き、朽ちるまで。その時間までも空間に取り込むフラワーアーティストの東信が手がけた植物の作品。ディオールと響き合う、その花の哲学に黒木華が触れた。

東京・代官山のディオール バンブーパビリオンで、花の“命”を見せているのは世界的に活躍するフラワーアーティストの東信だ。カフェの壁面を彩るブロックフラワー、入口にあるガラス温室のパルダリウム、鮮やかなインナーガーデンを作り出した。
「ムッシュ ディオールが愛した花と向き合いながら、いまこの時代の日本において何を表現するかが大きなテーマでした」。

カフェの壁2面を埋めるアクリル作品は、植物をフリーズドライにした後、アクリルを注入して封じ込めた現代版の標本だ。ムッシュが愛したバラやスズランなどの花々と日本の植物を共存させるため、花の種類も色の配分も何度も調整を重ねた。「ふたつの自然の世界を一枚の壁に違和感なく配置するため、何度も議論を重ねました」と、東は振り返る。
壁のアクリル作品から始まり、パルダリウム、そしてインナーガーデンへと順に調整しながら作り上げていった。「壁はとてもカラフルなので、インナーガーデンは少し色数を抑える。パルダリウムもそれぞれが主張しすぎないよう色を調整しています。すべてを同じように華やかにしてしまうと、空間全体の調和が崩れてしまいますから」。
パルダリウムでは、光・水・温湿度・風・ミストを日本の職人技術で精密に制御し、自然に近い時間の流れを再現。「つぼみの状態で花を入れ、水を足すだけで1週間育てる。花が開き、やがて命を終えていく、その時間の経過を見てもらいたかった。花そのものが主役じゃなくて、その命が主役なんです」。

多彩な表情を見せるインナーガーデンにも、ムッシュへの敬意が宿る。
「花の種類は多くても5〜10種類くらいに抑え、あまり混沌としない内容に。さらにその季節に自然の中で実際に咲いている花を使い、展示が終わった植物は農園に戻して循環させる。完成した瞬間がゴールではなく、季節が変わるたびに植物が変化し、来るたびに違う景色になることを心がけました」

完成ではなく、変化を楽しむ場所。このディオールと東が生み出す庭は、季節を映しながら少しずつ育っていく。その変化を目の当たりにした黒木華も、この空間に強く心を動かされたひとり。「パルダリウムのコンセプトがおもしろくて。つぼみから咲いていって、ちょっと枯れていく感じを見せるというところが素晴らしいな、と。生き物だからこその変化を見られるという点がとても好きでした」と話す。
東は、プロジェクトについてこう語った。
「花にはこんな表現があるんだ、こんな考え方があるんだ、と知ってもらえる機会になればうれしいですね」。
Makoto Azuma
1976年生まれ、福岡県出身。フラワーアーティストとして植物をテーマに国内外で活動し、現代版標本やパルダリウムなど独自の表現を追求。ラグジュアリーメゾンとの協業も数多い。
Haru Kuroki
1990年、大阪府出身。映画『小さいおうち』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞。初の著書となる『はるの献立日記』(飛鳥新社)を刊行。8月28日より公開の映画『時には懺悔を』に出演。
「作品群の中でも、枯れていく過程までも見せるパルダリウムに、植物へのリスペクトや哲学を感じます」と語る。
- photography: Hiroko Matsubara
- styling: Mana Yamamoto
- hair: Waka Adachi(eight peace)
- makeup: Ayana Awata(Ota Office)
- text: Tomoko Kawakami