宇宙とのつながりを体感する。現代美術家・森万里子のイノベーションの軌跡を巡る大規模個展が開催。

Culture

森美術館が、ニューヨークのソロモン・R ・グッゲンハイム財団の協力のもと、2026年10月31日(土)より『森万里子:燦燦(さんさん)』を開催。同展は、東京都現代美術館での『森万里子 ピュアランド』(2002年)以来、日本では24年ぶりとなる森万里子の大規模個展であり、過去最大規模の回顧展となる。

森 万里子『スター誕生』1995年

森万里子は1990年代半ば、自身のパフォーマンスに基づいた写真や映像作品である「サイボーグ」シリーズを発表し、コンピューター・グラフィックスを先駆的に使ったSF的なイメージで時代の寵児として注目を浴びた。その後、彼女の関心は日本のアニメ文化やジェンダー、ポストヒューマンといった現代社会への批評的な視点から、仏教の死生観や宇宙観に深く影響された、より壮大な哲学的関心へと拡がり、涅槃や浄土など仏教的世界を連想させるインタラクティブな大規模インスタレーションへ発展。21世紀に入り、世界各地で分断が広がるなか、太古の時間から無限の宇宙まで、時空を超越したあらゆる生命の繋がりを提唱する概念「ワンネス(Oneness)」が彼女の実践における中核的な価値観となっていく。そこでは世界中の学者や科学者との研究・協力に基づき、アニミズム、縄文やケルトなどの古代文化、仏教の唯識論から、素粒子論、宇宙物理学まで、広範な主題の探究がなされ、『Wave UFO』(1999〜2002年)に代表される、最新テクノロジーを駆使した作品として具現化、体験化されてきた。

また、展覧会タイトル「燦燦」は彼女のクリエイティブの中心にある「光」を象徴しており、それは、超新星爆発によって生成されるニュートリノを可視的に光に転換した『トムナフーリ』(2006年)、冬至の太陽を捉える『プライマル・リズム:サンピラー』(11年)、『リング:自然とひとつに』(16年)などの作品に表されている。

森 万里子『Wave UFO』1999〜2002年 展示風景:『森万里子:Wave UFO』ブレゲンツ美術館(オーストリア)2003年 photography: Richard Learoyd
森 万里子『プライマル・リズム:サンピラー』2011年 Courtesy: Faou 公益財団(ニューヨーク) 展示風景:宮古島七光湾(沖縄) photography: Richard Learoyd

同展では、宇宙との結びつきを体験できるような先駆的な表現を試みてきた森万里子の30年以上にわたる活動の中から、約40点の作品を5つのセクションに分けて紹介。パフォーマンス、CG技術を駆使した写真や映像、ドローイング、立体作品、そして大規模なインタラクティブ・インスタレーションなど、彼女の代名詞とも言える多様なメディアを通して、コンセプチュアルで芸術性の高い実践の数々を総覧しつつ、その革新的な創作活動を、大衆文化、テクノロジーの未来主義、意識をめぐる哲学といった新たな枠組みに位置づけ、改めて包括的に評価する。

光・知覚・意識を通して超越的な体験へと導くアートとテクノロジーの融合を、会場でぜひ体感してほしい。

『森万里子:燦燦』
会期:2026年10月31日(土)〜2027年3月28日(日)
会場:森美術館
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
開)10:00〜22:00(火曜日のみ17:00まで)
休)無休
料)一般¥2,800

問い合わせ先

森美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.mori.art.museum/jp/

  • text: Yuki Kimijima