陶芸作家、リサ・ラーソンの創作の原点を訪ねて。
多くの人に愛された陶芸作家リサ・ラーソン。2024年3月に92歳でこの世を去った後も、その作品は世代や国境を越えて人々を魅了し続けている。まもなく開催される追悼展や映画公開に合わせて、フィガロジャポン 2006年9月5日号に掲載された、創作の拠点・スウェーデン南部のサマーハウスを訪ねた記事を抜粋して再録。光あふれるアトリエで紡がれた、ものづくりの日々を振り返る。
リサ・ラーソン
陶芸作家

光にあふれたサマーハウスで、のんびり創作
日本でもそのあたたかでユーモラスな作風が根強い人気を誇るリサ・ラーソンの陶芸作品。グスタプスベリのスティーグ・リンドベリに見出されて以来52年間、休むことなく人々に愛される作品を生み出し続けている。夏の創作活動の拠点となるのは、スウェーデンの南にあるスコーネ地方のエステルレーンという、国内でもっともロマンティックな田園風娯が広がる海岸に近い丘陵地帯。ここで侮年約4カ月問、何からも拘束されることなく、夫でアーティストのグンナルさんとともに、グスタプスベリのエ楊では生産できないようなユニーク(1点もの)の作品に取り組んでいる。
作品の心地よい待合室。

「自然の生き物がモチーフになることが多い私にとって、エステルレーンはもっともインスピレーションを受ける場所なの」とリサ。100年以上前に建てられた農家にグンナルさんが手を入れ、こつこつと増築したのだという。庭にあるアトリエも、なんとグンナルさんのお手製。
「ガラス張りの建物に憧れていたので、彼が古い窓枠を使って建ててくれたの。手に入る窓枠のサイズに合った大きさにしかならなかったのだけど(笑)」
そんなアトリエには、スケッチや成型されたフィギュアが数多く骰かれている。
「日によって見え方が述うから、その“時”がくるまでここに待機させておくのよ」。
リサにとって陶芸はただの仕事ではなく、それ以上のパーソナルなコンタクトをもつ、ライフワークなのだ。このアトリエは、息を吹き込まれるのを静かに待つ、作品たちの心地よい待合室にもなっている。

下段左から、リサの自宅にあった「漁師さんへ」というタイトルのシュガーポット。(1970年代・アーティスト私物)/「らくだ」(1971-77)素焼きの肌が涼しそうな味わい。/「ヨハンナ」(1962-80)「ラーソン家の子供たち」シリーズの1点。スウェーデン式のおまる「ポッタ」でのんびり。/「鳥」(1963-72)あまり多くは制作しない陶板作品で槌掛け式。
※()内はグスタブスベリで商品として製造された期間

下段左から、「ベッレ」「ラーソン家の子供たち」のシリーズの1点。(1962-80)猫の表惰がなんともいえない。/「小烏」(90年代)金のペイントがアクセントに。/「シロクマ」(1957-68)「大きな動物園シリーズ」の1点。/「カッレ」「ベッレ」の弟。雲だるまみたいにまん丸。
※()内はグスタブスベリで商品として製造された期間
- photography: Camila Svensk
- coordination: Ikko Yokoyama
- *「フィガロジャポン」2006年9月5日号より抜粋