「恥ずかしい」「敬意を欠いている」なぜアスリートたちはシドニー・スウィーニーに怒っているのか?
多くの女性アスリートがSNS上で声を上げ、米国人女優シドニー・スウィーニーによる新たな広告キャンペーンを非難している。彼女たちによれば、このキャンペーンは女性アスリートの身体を過度に性的に描き、性的対象として扱っているという。
彼女はいまや、ハリウッドで最も賛否を巻き起こし、物議を醸すスターの一人となっている。1年前、シドニー・スウィーニーは、米国のアパレルブランド「アメリカンイーグル」のジーンズをPRした際、アメリカで大きな政治的論争を巻き起こした。英語で発音が似ている「jeans(ジーンズ)」と「genes(遺伝子)」を掛け合わせた、意図的に曖昧なキャッチコピーを使ったためである。それから1年、29歳の女優は、もはや論争や挑発のネタも尽きたと思われていたが、今度はスポーツ界で活動する女性たちから激しい批判を浴びている。アスリート、チャンピオン、コーチ、スポーツジャーナリスト……。彼女たちは皆、ドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」で知られるこのスターが、スポーツベッティングアプリ「Novig(ノビグ)」のために展開した最新の広告キャンペーンに、深く衝撃を受けた。
先月9月10日に公開された、わずか1分ほどの動画では、若い女性が全裸で登場する。胸とデリケートゾーンは、最初はアメリカンフットボールとバスケットボールのボールで、続いてテニスラケットで隠されている。「あなたはスポーツを知っていると思っている?それなら証明して。」彼女は挑発的な口調でそう言い放ち、続けて、皮肉を込めたこんな一言を添える。「Novigはスポーツだけ。だから、スポーツだけを見せたかった」
「ユーフォリア/EUPHORIA」でキャシー役を演じて以来、自身につきまとう過度なセクシャルイメージを面白がっているシドニー・スウィーニーは、バスケットゴールのボードの上に座り、脚でネットを囲む姿も、下から見上げるアングルで撮影されている。Novigの戦略的パートナーであり株主でもある彼女は、遊び心があり、楽しいものを目指したこのキャンペーンの制作にも携わった。しかし、この映像を見た女性アスリートたちは、まったく笑えなかった。彼女たちはいまもなお、自分たちの競技で真剣に闘い続けているからだ。むしろ、怒りを覚えたのである。
「正直なところ、これはシドニー・スウィーニーの広告の中でも最も恥ずかしいものです。女性アスリートに対するこんなイメージを広めることを、どんな大金を積まれても女性が引き受けるべきではありません。私たちはいまも、男性と同じ評価、同じ賞金、そしてそれ以上のものを得るために闘っているのですから…。『嫌悪感』という言葉では、私が感じていることを表現するにはあまりにも弱すぎます」と、トライアスロン選手のマチルド・ティリーは自身のインスタグラムアカウントで憤りをあらわにした。レース中や自転車に乗っているとき、プールで泳いでいるときの彼女が、息を切らし、力尽きそうになりながら限界に挑む姿を収めた動画をつなぎ合わせた映像に、こうした言葉を添えたのだ。「スポーツに取り組む女性たちは、こういう姿をしているのです」と、彼女は改めて訴えている。
「スポーツ界で女性を性的に扱うのはもうやめよう」
「百聞は一見に如かず」と言われるように、シドニー・スウィーニーのCMに異議を唱えるべく、彼女と同様に何百人もの女性アスリートたちが、デュア・リパの楽曲「Training Season」に合わせて自身のプレー動画を公開している。マラソンを走る、ジムでウエイトトレーニングに励む、水泳の大会で優勝する…。こうした女性たちは皆、男性と同じように、自分の体ではなく、その強さを評価してほしいと訴えている。「私たちは、次の世代の女性たちが、自分の外見ではなく、自分が成し遂げたことを誇りに思えるようになってほしい。スポーツにおいて女性を性的に扱う必要などない」と、マラソン選手のメアリー・マッカーシーは強く訴える。さらに別の女性アスリートもTikTokで、「女性は、その才能や強さ、そして努力によって評価されるに値する」と語っている。
@marymccarths EW WHAT A SET BACK 🤮🤮 That Sydney Sweeney video had my jaw on the floor… remember who you are, who you want to be and that your body doesn’t define you. #beattheboys ♬ original sound – MARY MCCARTHY
すべての女性に対する「侮辱」
彼女たちは皆、シドニー・スウィーニーに「裏切られた」と感じている。スウィーニーなら、自身のイメージを女性たちのために生かし、彼女たちを称えることもできたはずだ。それなのに、何十年にもわたって女性たちが闘ってきた、過度に性的なイメージと結びつけることになったと感じているのだ。オリンピックで4度の金メダルを獲得した競泳選手のアリアーン・ティットマスも、怒りが収まらない。「私は激怒しています。シドニー、お願いだから、もっと良いことをして……」と、週末にインスタグラムで公開したストーリーズに綴った。「この広告は、自分の技を磨くことに人生を捧げてきたすべての女性に対する侮辱であるだけではありません。スポーツを本来の姿、つまりチームワーク、友情、献身、卓越性、団結のために愛しているすべての人に対する侮辱でもあります……そして、挙げればきりがありません。」
そのオーストラリア人選手は、2026年にもなって、女子スポーツの性的対象化がいまだに容認され、当たり前のこととされている現状を疑問視している。「こんなくだらないことは、もうとっくに乗り越えたと思っていたのに。これでは、今の若い男女に何を教えることになるというの?」と、憤りをあらわに問いかける。
オーストラリアのボクサー、スカイ・ニコルソンは、Novigの広告について、「競技に人生を捧げ、何世代にもわたって障壁を打ち破ってきたアスリートたちに対して、敬意を欠くもの」と評している。彼女は、「スポーツをしているからこそセクシーに見えること」と、「スポーツを売るために『性』を利用すること」の間には大きな違いがあると指摘する。これは、シドニー・スウィーニーが単に自身のセクシュアリティをありのままに受け入れているだけ、と考える一部のファンに対する反論でもある。
しかし、今回の論争は、女優が自分の体を見せたことだけが問題なのではない。「シドニー・スウィーニーに向けられている批判は、彼女が広告で裸になったこと自体に対するものではありません。自分の体は自分で決めるものですから! 問題なのは、彼女が何を売る手助けをしているのか、そして、どのような文脈でそれを行っているのかという点です。それは、スポーツ界にいる『すべての』女性の信用を損なう形で、スポーツ賭博のプラットフォームを宣伝しているということです」とフランス人インフルエンサーのソニア コンセイユは分析する。
彼女はインスタグラムへの投稿で、これまでにオーストラリアでいくつものスポーツイベントを取材し、女性たちが「仕事、パフォーマンス、専門性、そして実績」で評価されるために闘う姿を目にしてきたと説明している。女性アスリートが何十年にもわたって、本人の意思に反して中傷され、嘲笑され、過度に性的な扱いを受けてきた世界で、シドニー・スウィーニーの広告は、そうした女性たちの信用を損なうものに見える。「深刻な問題です。この広告は、私たちが解体しようとしている固定観念を強化しています。私たちを何年も前の時代に引き戻すものです。スポーツをする機会さえ一度も与えられなかった女性もいます。また、スポーツをすると『弱い』からという理由で見下される女性もいます」と、あるホッケー選手がTikTokの動画で指摘している。
ウェールズのラグビー選手グウェン・クラブも同じ考えを示している。彼女は、「Novigのような広告キャンペーンは女性アスリートたちのたゆまぬ努力をなかったことにする」と考えている。「私たちは何年もの間、平等、尊重、機会を求めて闘ってきました。女性は、自分の体や外見だけではありません。私たちもそのように振る舞いましょう」と、彼女は繰り返し訴えている。
シドニー・スウィーニーは、インスタグラムのストーリーズに、雑誌の表紙でほぼ裸の姿を披露した男女のアスリートたちの写真を投稿し、今回の論争にそれとなく反応した。そこには、セリーナ・ウィリアムズ、ジェイソン・ケルシー、ロブ・グロンコウスキーらが含まれていた。しかし、多くのネットユーザーが指摘したように、これらの写真に写っているのはすべて実際のアスリートたちであり、米スポーツ誌「ESPN・ザ・マガジン」のボディ特集で掲載されたものだ。この特集号は、「アスリートの肉体が持つ驚異的な力を称える」ことを目的としていた。それは、シドニー・スウィーニーのNovigのキャンペーンが目指していたものとは、まったく異なるものである。
シドニー・スウィーニーは今後、自分が不快な思いをさせた女性アスリートたちに謝罪するのだろうか。それとも、自分の対応に配慮を欠くところがあったと認めるのだろうか。アメリカンイーグルをめぐる騒動の後、彼女は当初、沈黙を貫いていたが、その後、映画『ハウスメイド』のプロモーション活動中に、「憎しみや分断には反対」と語っていた。
From madameFIGARO.fr
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
- text: Solene Delinger (madame.lefigaro.fr)
- translation: Hanae Yamaguchi