米津玄師も魅了。フォトグラファー奥山由之、話題の写真集とは？

「彼のユーモアにはいつだって心が動きます。光を見つけて切り取る力。尊敬しています」とコメントを寄せたのはミュージシャンの米津玄師。『感電』のミュージックビデオや写真撮影で米津と互いに刺激を与え合う関係となったフォトグラファー奥山由之が、写真集『BEST BEFORE』（青幻舎刊）を出版し話題となっている。

左から、『BEST BEFORE』奥山由之著 青幻舎刊 各￥8,800。シルバーの表紙は数量限定版各￥16,500

フィガロジャポンほか国内外のファッション誌や広告写真、小松菜奈、本田翼、広瀬すず、平手友梨奈ら旬の女優たちのポートレート、Mr.Children、米津玄師、星野源、あいみょん、RADWIMPS、サカナクション、福山雅治らのアルバムジャケットやミュージックビデオからポカリスエットなどのTVCMまで、近年は映像監督としても活躍する。奥山といえば、各界からひっぱりだこの超人気クリエイターだ。

写真集『BEST BEFORE』には自分自身のアートワークではなく、デビュー以来12年分のクライアントワークを奥山自身がセレクトした445点が収められている。なんと512ページにも及ぶボリュームで￥8800という贅沢な写真集にもかかわらず、2月に出版されるやいなやわずか10日で重版が決定。代官山 蔦屋書店では2022年2月の月間売り上げ1位、出版社のAmazonでの予約数歴代最多という記録が彼の人気ぶりを物語る。

左から、米津玄師のアーティスト写真（2020年）、あいみょん（「日本経済新聞」2019年）。

ポカリスエット「踊る修学旅行」篇（2017年）。

「“作る”って大変ですよね。楽しいことだけではないです。むしろ完成するまではずっと苦しいです。けれど、みんなで同じ方向に向かって手を握って走っていくと、あるところで、信じられないぐらい感動的な情景を一緒にみれることがあって。その一瞬のために日々創作に向き合っているのだと思います。それは、観て下さるお客さんも含めてのことだと思います。一瞬であっても、何にも替え難いぐらいに、幸せで、胸いっぱいで、生きててよかったって思えるんです。そういう感情に出会わせてくれたお仕事が、この一冊に凝縮されています。よかったら捲ってみてください。僕が出会ってきた感情が、また誰かの心に届くといいな、と思っています」（奥山）

クライアントワークでありながら、広告的、商業的なものを感じさせないパワフルな作品たちは、いまの時代を象徴するビジュアルワークばかり。さらにアートディレクター平林奈緒美による装丁にも心くすぐられてしまうこと必至。つい書棚に収めたくなる一冊なのだ。