英国王室の慣習を破った7つのウェディングドレス
※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する
「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。
データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
【写真で見る】1840年から2020年にかけて、イギリス王室では数多くの盛大な結婚式が行われてきた。その中には、ときに伝統を覆すウェディングドレスもあった。
イギリス王室の“常識を打ち破った”7つのウェディングドレス
1840年から2020年にかけて、イギリス王室は数々の盛大な結婚式を執り行ってきた。そこには時として、これまでの伝統を打ち破るようなウェディングドレスの姿もあった。
その美しさで歴史に名を刻むウェディングドレスがある一方で、従来のしきたりから根本的に逸脱することで記憶に残るドレスもある。イギリス王室の歴史において、こうした物議を醸したドレスは数多く存在してきた。色合い、袖の長さ、デコルテの開き具合……。イギリス王室の伝統やエチケットに基づき、未来のロイヤルブライドには数多くのルールが課せられる。しかし、中にはプロトコールに挑んだり、予想もしない、あるいは驚くべき選択をしたりする花嫁もいた。
しきたりから最初に解き放たれたのは、ヴィクトリア女王だった。1840年のアルバート公との婚礼において、彼女は白いドレスを選んだ。それは、それまでの結婚式で見られた色鮮やかなドレスとはかけ離れたものだった。さらに、その一着には、当時衰退していたイングランドのレース産業を再興させるという目的から、ホニトンレースの刺繍が施された。女王は知らず知らずのうちに、今日まで続く「白いウェディングドレス」というトレンドを切り拓いたのだ。それから1世紀足らず後の1923年、プロトコールに挑んだのはクイーン・マザーことエリザベス皇太后だった。彼女が選んだのは、1920年代のトレンドを象徴するボーイッシュなスタイル。クリーム色のモアレシフォン生地を用いたローウエストのドレスには、2本のトレーンがあしらわれていた。そして何よりも特徴的だったのは、伝統的なティアラの代わりにマートルの冠を頭に戴いたことだった。

シンプルさと華やかさ
それからずっと後、打ち破られたのは「しきたり」というよりも、むしろ「周囲の期待」だった。たとえば1960年5月6日、アントニー・アームストロング=ジョーンズとの結婚式で、マーガレット王女は、長袖にVネック、ふんわりと広がるスカートのシルクオーガンザのドレスを選ぶという賭けに出た。過不足のない、まさに必要最低限の一着であり、王室らしい豪華さからは一線を画すものだった。そのため雑誌「ライフ」はこれを「史上最もシンプルなロイヤルウェディングドレス」と評している。これとは正反対に、その並外れた華やかさで大衆を驚かせたのが、ダイアナ妃の有名なウェディングドレスだ。結婚式当日ダイアナ妃は徹底して華やかさを打ち出した。7メートルを超える長いトレーン、1980年代風の大きくふくらんだパフスリーブ、そして金色の馬蹄や青いリボンなど、さまざまな隠されたディテールが散りばめられていた。

時代の流れとともに、イギリス王室の花嫁たちはより自由を手にしてきたようだ。2018年、ジャック・ブルックスバンクとの結婚式で着用したユージェニー王女のドレスは、そのことを示しているように見える。背中は大きく開いたデザインになっており、彼女が12歳の時に受けた脊柱側弯症の手術痕が、あえて見えるようにデザインされていた。「美しさの定義は変えられると思いますし、自分の傷跡を人に見せてもいいのだと思います。それを支持していくことは、本当に大切なことだと考えています」と、彼女は2018年にITVの番組「ディス・モーニング」のインタビューで語っていた。「私のドレスは私の選択」というわけだ。
From madameFIGARO.fr
- text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi