世界を歌声で圧倒する、Adoの素顔に迫る。
世界中の人々を歌声で魅了し、23歳にしてスターダムを駆け上がる、Ado。今回、これまで明かされてこなかったパーソナルな一面をたっぷりと見せてくれた。

デビューして5年、これまで、そしてこれから。
2020年10月23日、17歳最後の日に「うっせぇわ」で鮮烈なデビューを飾った歌い手、Ado。登場と同時に社会現象を巻き起こし、その後もユニバーサル・スタジオ・ジャパンとのコラボレーションソング「唱」で「NHK紅白歌合戦」に出場、女性ソロアーティストとして初めて国立競技場でのライブを成功させるなど、華々しい活躍を続けている。Adoが高く評価される理由のひとつは、いくつもの歌い方を操りながら、人間の多様な感情を表現できる点にある。魂が燃え盛るような歌で聴く者を圧倒し、人々が抱える怒りや恐れ、悲しみにさえも美しさが宿るということを、その声で伝えている。
世界ツアーを乗り切った、Ado流セルフメンテ。
Adoが魅了するのは、国内のリスナーだけではない。昨年は音楽ストリーミングサービス・Spotify発表のランキング「海外で最も再生された国内アーティスト」で1位を獲得したほど、世界中にファンがいる。自身2度目のワールドツアー「Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana” Powered by Crunchyroll」では4カ月かけて世界33都市を回り、約50万人を動員。これは日本人アーティストによるワールドツアーとしては過去最大級を誇る。
「どれだけ距離が離れていても、皆さんが私のことを待っていてくださって、Adoの楽曲を好いてくださっていることを感じました。音楽を通して皆さんと出会えて、そして繋がれるのは、本当に胸が熱くなることだと思いました。ひとつひとつの場所に濃い思い出があります。4カ月の出来事だったとは思えないくらい、すごい月日でした」
ライブを行って、飛行機やバスで移動する、ということを繰り返す4カ月。慣れない土地でのハードスケジュールを乗り越えるために、どのようなセルフケアを行っていたのだろうか。
「いま自分がいる場所の景色を楽しもうと考えていたからこそ、メンタルを保てた部分はあったかもしれません。とはいえ、どうしても日本の味が恋しくなってしまうことはあって。定期的に現地の日本食スーパーで納豆や大福を買ったり、海外進出している日本のチェーン店でご飯を食べたりしました。現地にマッサージ屋さんやスパがあれば行ったり、さすがに身体が疲れたなあ、しんどいなあという時は、ホテルで1日寝て休むようにしたりしていました。喉のケアは、マヌカハニーの喉スプレーをやっておくと安心。ネプライザーによる喉の保湿もします。私は喉から風邪をもらうタイプなので、免疫の意味でも、危ないなという時はスプーン1杯のマヌカハニーを流し込むようにしています。気休めかもしれないですが、『病は気から』でもあるので、気持ちから守る工夫をするようにしています」
同じ世界で生きる人間、そのことを伝えたい。
Adoは姿を見せず、ビジュアルやMVではイラストで登場し、ライブではBOXに入ってパフォーマンスを行う。そんな中、今年2月、自ら作詞作曲を手がけて半生を歌った「ビバリウム」を発表し、初めての実写MVを公開した。さらには、自伝的小説『ビバリウムAdoと私』(KADOKAWA刊)を出版。生い立ちをさらけ出すのは、勇気が要ったはずだ。

Adoが作詞作曲した楽曲。自己否定に苦しみながらも音楽に救われた半生を歌う。●ユニバーサルミュージック
「特にMVは私自身が出演した初の実写ということもあり、大きな反響をいただけているのかなと感じています。今回の一連の作品を発表して、ファンの皆さんから明るい声をたくさんいただけたことがよかったです。私の内面的な部分も見てくれていることが伝わってきて、すごくうれしかったです。私はバーチャルやアニメーションではなく皆さんと同じ人間なので、これからの歌にも実態を感じていただけたらうれしいなと思っております」
このインタビュー中、「Adoは人間なんです」ということを伝えたい、といった言葉を繰り返し語った。そこにはデビューから5年の間に抱いた、切実な想いがあった。
「いつの間にかAdoという名前だけが一人歩きして、見えている表面的な部分や憶測から、私が言っていないようなことや私自身ではないものまでを『Ado』として見られるようになってしまっていることに、少し戸惑いや寂しさを感じていました。『Adoの全部が素敵だ』と思っていただけることに懸念を感じる必要はないはずなのですが、自分にとっての理想像がAdoだからこそ、泥臭さや影の部分まで拭いたいのではなくて。あらためて私はこういう人間なんだよ、だからAdoができたんだよ、ということを今一度知ってもらえたら、という気持ちがありました」

Adoは現在23歳。後半の一問一答からも伝わるように、20代らしくファッションやコスメ、グルメ、カルチャーなどを思いっきり楽しんでいる。そんな彼女が理想とする大人像とは?
「誠実で人に優しく、謙虚さを忘れない人でありたいです。人の役に立ちたいですし、たくさんの人をいろんな形で導く大人になりたいなと思います。でも大人と言っても堅苦しすぎず、子どもの頃に憧れていた大人の輝かしい部分や、大人になることに対して抱いていたワクワクする気持ちを忘れないでいたいです。『ビバリウム』を通して、ファンの皆さんとまた心の距離が近くなれたと思いますので、より一層、皆さんの心や感情を代弁できるようになれたらなと思います。これからもAdoという脇役として皆さんの人生を支えていきたいと思っております」

自伝的ノンフィクション小説。家庭環境や幼少期、学生時代のエピソード含め、現在にいたる半生が綴られている。●Ado 原作 小松成美著 KADOKAWA刊 ¥1,870
Ado
23歳の歌い手。メジャーデビュー曲「うっせぇわ」で第63回日本レコード大賞特別賞を受賞。2026年7月4、5日、神奈川・日産スタジアムにて「Ado STADIUM LIVE 2026」を開催。7月30日~8月2日、アメリカ・シカゴにて行われる世界的音楽フェス『Lollapalooza 2026』への出演も決定した。
ワールドツアー33都市、思い出深い場所の記憶。
Manila, Philippine



マニラは、2度目のワールドツアー「Hibana」で初めて行く場所でした。どうなるのだろうと思っていたのですが、ファンの皆さんが会場が壊れそうなほどの歓声を上げてくださって、忘れられないライブになりました。どのライブでもそうですが、ファンの皆さんの声を聞けた瞬間がいちばん「ここに来てよかった」「また来たい」と思えます。オフ時間にグリーンベルトというショッピングモールに行ったのですが、そこには猫ちゃんがたくさんいて驚きました。首輪や名札を付けていて“ようこそ、うちのショッピングモールへ”みたいな感じで迎えてくれて可愛かったです。
Amsterdam, Netherlands



アムステルダムという街自体がすごく素敵だなって思いました。道幅が狭いこともあって自転車を使う人が多く、オランダは世界一の自転車大国と呼ばれているそうです。観光できた時間は半日ほどだったのですが、お店や美術館を巡ることができて、穏やかな街だという印象を持ちました。観光の最後に小さなボートに乗って川を渡ったのですが、まるで絵本の中のような景色でした。でもライブでのお客さんのリアクションは、ヨーロッパ全体がそうだったのですが、いい意味で落ち着いてなくて、すごくはしゃいでくださるのでうれしかったです。
Paris, France


モネの絵画や、フランスを舞台にしたディズニー作品などが好きな私にとって、憧れの場所。初回のワールドツアーで夢は叶ったのですが、今回はちょうどセールの時期で、靴やセシリー バンセンの服などを購入して、はしゃいじゃいました(笑)。
Mexico City, Mexico


中南米も「Hibana」で初めて訪れた地域だったのですが、メキシコはこちらが圧倒されるほど弾けるような歓声でびっくりしました。「これは皆さんのライブですか? 私がお客さんとして皆さんのフェスに来たのかな?」と思うほどの盛り上がりでした。さらにびっくりしたのが、皆さんで結託して、グッズのペンライトで客席全体にメキシコの国旗を作ってくれたこと。ここまで楽しませてくれるんだ!という感動がありました。“メキシコへようこそ”という気持ちも伝わってきました。もともとメキシコの文化や音楽、色使いにも興味がありました。

知られざるプライベートについて、一問一答!
――Adoにとってファッションとは?
人の心をワクワクさせてくれるもの。なりたい自分になれるもの。自分の理想像であるAdoを形成するうえでも、ファッションは大切な要素です。
――プライベートではどんなファッション?
「なんだこの格好は!」みたいなラフな時もありますが、おしゃれをして出かける時は、中性的でありながら華やか、フレンチ、貴族的などといった、もともと私が好きなテイストを選んでいます。私服のアイテムもそういったものが多いです。
――お買い物はお店で? それともネットショッピング?
お店に足を運ぶこともありますが、最近はネット通販が多いです。
――普段、スキンケアでやっていることは?
洗顔した後、化粧水、美容液、クリームか乳液をつけます。あと、まつ毛美容液も。化粧水の後にパックをしたり、美顔器を使ったりする日もあります。早く寝たい時は簡単になってしまいますが、「今日はスキンケアをするぞ」っていう日はこだわります。美容は大好きです!
――メイクでこだわっていることは?

もともとメイクが好きで、ライブの時はセルフメイクです(ヘアは、プロの方にやっていただいています)。特にこだわるのは目元。グレイッシュでスモーキーなアイシャドウが好きで、マストアイテムは、ディオールのバックステージ アイパレットの002やrom&ndのベターザンパレットの04です。ライブの時は、さらに大粒のラメなどを足して華やかさを加えています。
――部屋を居心地よくしてくれる、お気に入りアイテムは?
ヨギボーのクッション。家にいる時は電源が切れたようにダラダラします(笑)。洋服は黒色やレースが多いですが、インテリアはポストモダン系が好きで、ブルーのラグを敷くなど、カラフルなアイテムを置いています。
――家に帰って最初にすることは?
「早く楽な服装になりたい!」という気持ちでパジャマに着替えます(笑)。
――ストレス解消法は?
おいしいものを食べる。ドラマを一気見する。ネットで洋服を見たり、コスメショップにふらっと入って買い物する時間も楽しいです。
――好きな食べ物は?
お寿司です。
――昨日食べたものは?
レコーディングを終えて「今日は好きなものを食べるぞ!」という気持ちになり、Uber Eatsでうな重とう巻きを頼みました。いまいちばん食べたいと思ったものを食べて自分を甘やかす、ということを時々やっちゃいます。
――お気に入りの朝ごはんは?
最近はあまり朝ごはんを食べないのですが、たまに食べる時は、サブウェイのサンドイッチが好きです。頑張って朝ごはんを作ろうとしていた時は、リンゴを切ってフライパンで焼いてシナモンをかけたものをベビーリーフにのせる、というおしゃれなフルーツサラダを食べていましたが……そんなことをしていた自分はどこに行ってしまったのだろう……。
――作業が捗るのは、昼? それとも夜?
昼型です。眠れない時や、思いついてしまった時は夜に作業するのですが、日中に近くのカフェなどに行って片付けることが多いです。
――最近、読んだ本はある?

マンガの『ガラスの仮面』を読み返しました。最近、80年代や自分が生まれるより前の音楽をよく聴いているのですが、その影響もあってか、『ガラスの仮面』がまた私の中でブームです。『ふつうの軽音部』という高校生たちのお話を描いたマンガも好きで読んでいます。
――最近観たドラマや映画は?
Netflixでバカリズムさん脚本の「ホットスポット」を観ました。映画は、ひとりでレイトショーを観に行くこともあります。
- illustration: ORIHARA
- interview & text: Yukako Yajima
*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋