【篠原ともえ連載Vol.34】世界三大ウール産地・尾州の生地で服をつくる。
全国各地にあるものづくりに触れる機会をいただき、産地の魅力を体感したいと、かねてより注目していた世界三大毛織物産地のひとつとして知られる尾州を訪れました。

今回お邪魔したのは、明治28年創業の木玉毛織へ。工場に足を踏み入れると、長い年月を経た織機が小気味よく動いており生地を生み出していました。

効率だけでは測れないものづくりの時間がそこには流れていて、職人の方々の手によって受け継がれてきた技術の重みを感じます。また同時に、現場に溢れる笑顔そして熟練の手さばきにはひたむきな情熱を感じ、守っていきたい文化がここにありました。

敷地内にある「新見本工場」には、産地ならではの美しい生地や服が並んでいました。糸の選び方、織り方、仕上げ方によって生まれる豊かな質感に、尾州の奥深さを改めて知ることができた素敵な出会いでした。

数ある生地の中から私が選んだのは、上質でやわらかな風合いを持つウール生地。通常カットされてしまう生地の端にも耳ネームと呼ばれる文字が織られていて、地域への愛が溢れています。歴史の中で育まれた尾州の記憶が織り込まれ、布に触れた瞬間にこの素材と一緒に新しい物語をつくりたいと感じました。

工場に響いていた織機の音、職人の方々のまなざし、次世代へつなぐ人々。ものづくりの現場で受け取った感動を、自分なりの表現へと繋いでいきたいと製作したワイドパンツは、サイドの耳ネームを活かしオリジナルパターンで仕立てました。

尾州の思い出を纏って。古くから織物の街として知られている一宮市では毎夏「おりもの感謝祭一宮七夕まつり」が開催されています。このイベントに参加させていただくご縁となり、尾州との出会いから生まれた作品も展示予定です。土地の空気や人々の温かさに触れた貴重な体験をお伝えしたいと考えています。会場で皆さんとお会いできることをとても楽しみにしておりますので、ぜひお目にかかりましょう。
第71回おりもの感謝祭「一宮七夕まつり」
篠原ともえトークイベント〜尾州の織物にふれて〜
日時:2026年7月23日(木)17時~17時40分
会場:尾張一宮駅前ビル(i-ビル)7階 シビックホールhttps://www.138ss.com/tanabata/event/detail/74/
「木玉毛織」織物工場&ガラ紡体験ツアー
日時:月・水・土 14時〜15時30分、1日1回開催
https://kitamakeori.co.jp/event