佐藤勝利を作る、30のこと。

Culture

佐藤勝利から流れるグルーブは、どこか不思議だ。静かで柔らかいのに芯には熱がある。

完璧なビジュアルの奥にある不器用さやユーモア、そして素直さ。そんな独特のテンポを響かせて周囲の空気をじんわり染めていく佐藤勝利とは、何でできているのか? 今年30歳を迎える彼の正体を、30の質問と30の言葉から探っていく。


30代はもっと開けた気持ちで、外に向かっていけたらいい

メリル・ロッゲによる新生マルニと佐藤勝利を繋ぐのは「温もり」というキーワード。ジャケット¥583,000、ニットベスト¥147,400、中に着たシャツ¥205,700、パンツ¥176,000、ベルト¥176,000/以上マルニ(マルニ ジャパン クライアントサービス)

Q1 声優初主演作品となった『君と花火と約束と』で大変だったことや工夫したことは?

まったくの初心者だったので、音響監督や監督に「いろは」から熱心に教えていただきました。台本もマーカーを5色買って色分けしながら、自分なりに整理して臨んでいました。

Q2 今作では普通の高校生・夏目誠を演じていますが、彼に自分と重なると感じた部分は?

僕自身が自信家ではないので、そこはすごく理解できました。ただ、彼はまだ高校生だからいいけど30代になる僕が「自信がない」って言っているのはどうなんだろう?と、思い始めてはいます(笑)。まだ20代なのでギリギリいいですかね。

Q3 夏目誠の行動力には、「これは自分のミッションだ」と感じたら飛び込む強さもあります。共感する部分は?

誠には、経験がないからこそ飛び込める強さがあると思うんです。知らない世界だから、まだ怖さもわからない。その強さは、timeleszの新メンバーを見ていても感じます。経験があると人はどうしても怖くなるので。僕自身は「なんでやらなかったんだろう」と後悔を作りたくないタイプ。自分を裏切りたくない感覚というか。そういう部分は、誠とも近いのかなと思います。

Q4 花火が作品の鍵を握っていますが、ご自身の「花火の記憶」は?

取材のために用意してきたみたいに聞こえるかもしれませんが、自分の最初の記憶に近いものが花火大会なんです。駅から会場まで乗っていたぎゅうぎゅうのバスや、道中もずっと混んでいた記憶が鮮明に残っていて。おばあちゃんがごはんを買ってくれたことや、レジャーシートを敷いておにぎりや唐揚げを食べたことも。そういう記憶も含めて、すごく楽しかったんだと思います。だからこの作品は僕の中では運命めいているんですよね。花火の記憶そのものが、自分の原風景みたいなものなので。

Q5 自分の声は好き?

いまは好きです。すごく好きかと聞かれるとまた違うんですけど、でも今年30代になりますし、自分の声に違和感があると言っている時期でもないのかなって(笑)。ただ、あまりない声質なのかなとは思うので、そういう意味ではいいんだろうな。好きか嫌いかは別として、“あまりない声”というのは、ひとつの個性なのかなと思うようになりました。

Q6 タイムスリップできるなら、どの時代に行く?

江戸や明治、日本の昔の時代にとても興味があります。未来に行って新しいものを知るよりも、古いものやルーツを探るほうが好きなんですよね。

Q7 そこで何を見たい?

江戸の屋台文化を見てみたいです。さっきちょうどお寿司の話をしていたんですけど、お寿司とか天ぷら、うなぎも、当時は屋台で食べられていたらしいんですよね。博多にはいまも屋台を製作している職人さんがいるそうで、僕もそういうものを学んでこの先、屋台を作るかもしれないです(笑)。

Q8 映画は「僕の物語は始まった」という言葉から始まります。佐藤さんが考える自身の30代の物語はどんなもの?

30代は好きなことをもっと加速させたいです。理想は好きなことだけをやれるようになること。それができるかは自分の努力次第だと思っています。最近、自分の得意や好きを自覚し始めた感覚があって。20代はどちらかというと内向きで、自分探しをしていた時期だったのですが、30代はもっと開けた気持ちで外に向かっていけたらいいなと思っています。

Q9 具体的に「好きなこと」とは?

小さい頃からものづくりが好きなので、作り手側のことはやっていきたいです。最近はDIYで本棚や巣箱を作ったりもしています。巣箱はシジュウカラのために作ったんですけど、そうしたら不思議と鳥に詳しい人が周りに集まってきたんです。好きなことがコミュニケーションに繋がって、そこからまた別のことにも広がっていくので、それも楽しみですね。案外、棚職人になっているかもしれません(笑)。

Q10 今後、声優として挑戦してみたい役は?

キャラが濃いものや個性的な役をやってみたいです。人間ではないものとか。でも、そういう役をやるにはもっとレベルアップしないと、自分が後悔しそうだなとも思います。

スポーツウエアのアイデンティティとテーラリングを融合させたバレンシアガ。デイリーな要素にクラシカルな伝統をたたえた装いが彼のしなやかな強さを強調する。ジャケット¥500,500、Tシャツ¥135,300、デニムパンツ¥171,600、スニーカー¥151,800(すべて予定価格)/以上バレンシアガ(バレンシアガ クライアントサービス)

Q11 佐藤勝利は何でできている?

やっぱり、ものづくりです。作り手でいたいなと思っています。

Q12 あなたのヒーローは誰?

亡くなってしまいましたが、父親です。

Q13 timeleszになってから、グループの中での自分の役割は変わったと感じる?

変わったし、変えたい。ずっと同じことをして満足するタイプではないので、グループ活動だけでなく、色んな場面で大事なところは受け継ぎながら、時代に合わないなと思うところはどんどんアップデートしていきたいと思います。古いなと思われたら終わりなので、その意識は強いです。

Q14 見て学ぶ? それとも行動から学ぶ?

何も見ないで突然飛び込むことはないから、前者かもしれません。知らないままだと怖いので、なんでも絶対に予習をするタイプです。

Q15 とてもA型らしい回答だなと感じましたが、自分がA型っぽいと思う瞬間はどんな時?

色んな部分でA型っぽいなと感じていますが、(少し考えて)O型っぽさも入っているから、「AO型」だと思っています。でもそう思いたいだけかも! O型の人はやっぱり全然違うから。

Q16 自分を好きだと思う部分は?

変わったものが好きな自分、好きです。

Q17 これだけは人に負けないと思う才能や特技は何?

明確にそういうのがあるタイプではないと思うのですが……、変なことでも気になったらとことん突き詰めることですかね。

Q18 コントでいちばん快感を得るのはどの瞬間?

ウケた時。

Q19 言われてうれしい言葉は?

「才能あるね」「天才だね」。言われたことがないので評価されるとうれしいです。でも「天才だね」になると、ちょっとイジりに近いかもしれないですけど(笑)。

Q20 自分に「天才だね」と言いたくなる瞬間は?

ないです(笑)。だから言われるとうれしい。

なんでやらなかったんだろう、という後悔を作りたくない

撮影で用意したブーケに魅了されていた彼。「グリーンをメインにした組み合わせがすごく素敵で。僕をイメージして作ってくださったと聞いて、感動して持ち帰らせていただきました」。シャツ¥178,200、パンツ¥218,900、シューズ¥137,500/以上ロエベ(ロエベジャパン クライアントサービス)

Q21 スイーツ好きの佐藤さん。いまいちばんハマっているスイーツは?

高カカオチョコレート。甘いのも好きですが、カカオのパーセンテージが高くて砂糖が少ないチョコレートは変わらず好きです。

Q22 これがあれば一日元気でいられるもの、それは?

フルーツもうれしいですけど。結局、おいしいものですね。

Q23 最近買ってよかったものは?

なんだろう、あ、サンダル!

Q24 必ず持ち歩いているものを教えてください。

台本。

Q25 ご自宅のインテリアでいちばんこだわっている部分は?

温かみを感じる空間づくりにこだわっています。ミニマルでありながらも、どこかに暮らしを感じさせるル・コルビュジエの建築が好きなんです。そういう部屋を目指しています。ライトは白熱球にして温かみを出しています。

Q26 自分的にNGにしていることは?

あんまりないですが、人が嫌がることはしないし、言わないことですかね。

Q27 占いは信じる派? 信じない派?

あんまり信じないかな。

Q28 落ち込んだ時の解消方法は?

いっぱい食べる! 特にラーメンを食べるかな。

Q29 死ぬまでに絶対やっておきたいことは?

スキューバダイビングをしながらクジラを見たいです。それから火山の噴火も見てみたいです。(どちらも自然の中での体験ですね、と話すと)はっ! 本当だ、そうですね。自然の神秘というか、底知れない力を肌で感じてみたいんです。

Q30 無人島にtimeleszメンバーをひとりだけ連れて行けるとしたら、誰と過ごしますか?

連れて行くとなると、こちらが飛行機代を出したりして費用がかかりますからね。なるべくお金がかからず、さらにサバイバル能力がありそうな原嘉孝かな(笑)。本来はビビりなんですけど、言えばなんでもチャレンジしてくれるし、同期だし、原ちゃんで!

Shori Sato
1996年10月30日生まれ、東京都出身。2011年11月にCDデビュー。直近ではドラマ「ボーダレス~広域移動捜査隊~」にてW主演のひとりを務めた。そのほか、映画『教場 Reunion/Requiem』(26年)、舞台『ブロードウェイ・バウンド』(25年)など、俳優として多方面で活躍中。声優初主演作品となるアニメーション映画『君と花火と約束と』は7月17日に公開。

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  • photography: Misuzu Otsuka
  • styling: Mayu Yauchi
  • hair & makeup: Yuriko Tanzawa
  • collaboration: Compartment.
  • text: Rieko Shibazaki

*「フィガロジャポン」2026年8月号より抜粋