【フィガロジャポン35周年企画】 コロナ禍だからこそ、美しい世界を巡る気分を届けた2020年のフィガロジャポンを振り返る。
Culture 2026.03.10
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2020年に発売したすべての号をプレイバック!
2020年3月号(20年1月20日発売)525
したいコト、も編集者次第。

流行予報ではなく「してみたいコト」特集2020年版。眺めれみれば、当時所属していた編集者たちの顔が蘇る。この提案は●●より、こちらは▲▲より、というふうにデスクをしていて記憶にしっかる残っているわけではなく、各人の好みをなんとなくわかっていたから。人は動く。現在もうフィガロジャポンにいない人になんとなく思いを馳せた。こういうコラム的な構成の号のほうがさまざまな人のことを思い出しやすいのかも。綴じ込み旅ガイドはニュージーランド特集。現在パリにいる鈴木桃子氏が飛んだ。もしかしていちばん2020年にしたいことはNZに行くことだったかもしれない。
2020年4月号(20年2月20日発売)526
再来、東京パリジェンヌ。

ハピネスムードいっぱいの巻頭ファッション特集。表紙のモードストーリーは、本国版にも掲載を希望された。法則があり、モード巻頭特集の際には必ずグルメ綴じ込みが。東京グルメはいつでも知りたいが、連投すると担当者は大変だったろうなあ......。グルメジャーナリストは自らの内臓を使って記事を作っているということなのだから。この頃から、ラグジュアリーメゾンの文化事業への投資が加速してきた。シャネルのオペラ座へのサポートもフランスの文化遺産を守るうえで、とても重要なことである。
2020年5月号(20年3月19日発売)527
パリの季節。

パリ特集は悩み多き特集でもある。①毎年やっている。②テーマの方向性を毎回変更。③紹介アドレスがこれまでと被らないように細かく確認。いろんな理由からだが、今回はパリジェンヌということに特にこだわり、彼女たちが愛するパリにトレンド含めてフォーカスした。今号が創刊30周年記念号でもあった。筆者はエルメスの口紅が発表されるタイミングでパリを訪れたが、その頃からパンデミックの足音が聞こえ始め、ここから全世界的に厳しい時代が始まった。30周年を記念し、斎藤工氏と小松菜奈氏にファッション撮影とパリへの想いを語ってもらう企画を、映画『糸』での共演をきっかけに。
2020年6月号(20年4月20日発売)528
アートが時代を創る。

付録になっているTOKYOガイドもアートスポットをたくさん紹介。空間が美的であることも絶対条件に。カルチャーテーマでは、バンクシー大好き代表としてコムアイ氏に出演していただいた。表紙で広瀬すず氏が纏っているルイ・ヴィトンもアートへのサポートをこれまでもこれからも万全にしていて、アートを制するものは世界を制す、というムードがより色濃くなってきた印象を強くもった号でもあった、直接的にアート特集ではなくても。オペラ座への求愛は連続していて、今号ではユーゴ・マルシャンがジョルジオ アルマーニを着て躍動的に魅せた。
2020年7月号(20年5月20日発売)529
どうやって記事を作ろうか。

撮影時にマスクやアルコール消毒、検温などが義務付けられ始めたのもこの頃からか......? そんな時期に、のん氏はフィガロジャポンへの出演を快諾してくれ、「あなたと出会って世界が変わった。」特集の顔となってくれた。人と人が出会う、ともに時間を過ごすことの意味を問いかけた特集。コロナ禍だからこそ挑戦しようとした企画だ。
2020年8月号(20年6月19日発売)530
旅に出られないからこその......。

フィガロジャポンと言えば旅特集。だのに、旅に出られない。だから、旅に出なくても楽しめる特集にと企んだ。あらためて、マダムフィガロ本国というコンテンツを提供してくれる姉妹がいてよかったと感じた号でもあった。表紙はパリのカフェで撮影したマダムフィガロ本国の写真。結局パリでも室内ではなく屋外を重視したのかもしれない。筆者の高校時代の同級生でもある料理家・平野由希子氏に世界各国のレシピを紹介してもらったり、音楽で彼の地を訪れよう、文学で行きたい韓国旅行をしよう、と躍起になって記事にしている。今号は石井ゆかり氏の下半期占いスペシャル袋綴じもある。ここでは、これから来るグレートコンジャンクションについて書かれていた。
2020年9月号(20年7月18日発売)531
お取り寄せ特集が主役。

時計宝飾やファッション特集が本当の主人公だが、読者にとってはお取り寄せ綴じ込み企画が購入の理由だったであろう。それくらい不安が忍び寄る時期だった。そんな時に出演してくださった蒼井優氏、太田莉菜氏には感謝しかない。
2020年10月号(20年8月20日発売)532
内省的になっていった時代で。

ファッションネームでさえも内省的でメッセージ性が強まって行った号の巻頭モード特集。いま読むと、執筆者の不安やためらいが伝わってくる。モデルの選び方やヘアメイクも少々平静時とは異なるニュアンスを帯びてきた。そんな時期に、松任谷由実氏とあいみょん氏の対談が成立した喜び......。そして上野編集長が大好きだった中川大志氏がフィガロオムに参戦してくれた。
2020年11月号(20年9月19日発売)533
小さい旅が大切。

国内で小さい旅に出ること。最後に残された娯楽のような。自然に対して礼儀正しく接したい、と筆者は特集のリードに書いていた。コロナ禍、人々が移動しなくなると自然は生き生きとし始めた。そんな場所に密を避けてゆくのだから、礼節を持たないと。本当の意味でのリサイクルやエコロジーに敬意を払い、表紙にもなった上勝町の在り方などが世の中で注目されることになった。そして、京都も綴じ込み付録で紹介された。
2020年12月号(20年10月20日発売)534
お酒に人々の心が向かった。

巻頭特集は東京パリジェンヌファッションを貫いた。少し前よりも、もっと撮影は困難だったと思う。スタッフ&出演者の数は多いものだから。そんななか、横浜流星氏がフィガロオムに登場してくれた。外飲みはどんどん厳しくなっても、人々の関心は家飲みに向いた。だから日本酒応援企画。選び方、道具、おつまみのレシピまで。もしかしたら、外で遊ばなくても工夫次第で人生を愉しめる。そんなメッセージを放つことが媒体の使命だったかもしれない。そこには大いなる学ぶがあった、と現在では思う。
2021年1月号(20年11月19日発売)535
本気の家時間。

半年前の特集よりも進化した「家時間のススメ」。うつわにこだわり、美容グッズもより吟味して購入。それは家時間の充実を図るためのものだから。ページをめくると、美容テーマにおいて前野さちこ氏が担当したテーマが出てくるが、彼女は本当にキャッチのつけ方が上手だ。この年に選ばれたボーテスター賞は、新定番と言えるものばかり。エスティのナイトリペア、ポーラのBAローション、クレ・ド・ポーのラ・クレーム。実力のある商品は、いつまでも名品となって進化する。
2021年2月号(20年12月19日発売)536
近所のホテルに行ってみよう。

あまりにも動けないことが寂しくなった人々は、とうとう東京都内のホテルにステイする、という楽しみ方を見出した。今号は、朝食、ランチ、アフタヌーンティー、ディナー、バーと、目的別のホテル内グルメスポットを紹介したり、スパをあらためて深堀したり。工夫を凝らした。ボーテスターたちにも、おうち美容のルーティンを語ってもらったり。昔は電話取材なるものがあったが、昨今はオンラインで顔を見ながら取材ができる。そういうことも、コロナ禍でできた知恵。取材は案外、遠隔が可能になってしまった。
GO TO 35th WEBSITE



