【フィガロジャポン35周年企画】 新デザインで新たなフィガロジャポンに! 静謐な美学を伝える2021年を振り返り。
Culture 2026.03.27
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2021年に発売したすべての号をプレイバック!
2021年3月号(21年1月20日発売)537
どうすれば、世界は幸せになる?

例年の流行予想が、今回は「世界を幸せにする50のこと。」に。中には"農業を始める"とか"ソロでちょい飲み&食べ"などがあって、確かに現在の幸せの定義と繋がっている。コロナ禍でファッションウィークも大波乱。人が集まることがNGなわけだから大変だ。それでもパリコレに行く理由、という原稿を、故・柴田麻希氏に執筆してもらった。映画『花束みたいな恋をした』の主演、有村架純氏と菅田将暉氏が登場。日本を席巻した作品のふたりにはやはりムードがある。
2021年4月号(21年2月20日発売)538
久しぶりの男性編集長。

今号から編集長が交代、いまや某ラグジュアリーメゾンに勤めている佐藤俊紀氏が編集長になった。とはいえ、長交代の時期は前編集長の企画が継続したものが色濃く残っている。それを新体制で仕上げていった。30ページモードストーリーも今号がラスト。ひとつの時代が過ぎゆく模様をまざまざと見た気がした。表紙の新木優子氏をはじめ、高畑充希氏、水川あさみ氏、池田エライザ氏、玉森裕太氏など、著名人のモードページがたくさん登場。皆さんの表現力に感嘆した。メイクアップは、コロナ禍におけるベースメイクのTIPS。この時期は、企画の影には必ずパンデミックへの気遣いがあった。
2021年5月号(21年3月19日発売)539
コロナ禍でもパリを愛する。

「『エミリー、パリへ行く』のアドレス追体験」「パリジェンヌのソーシャルディスタンス」「ご近所が遊び場」といったふうに、何があっても3月売号はパリ特集!のフィガロジャポンの掟を守るべく、パリをどう遊ぶか、をパリ人目線でガイドした巻頭特集。パリに行けないのであれば、と久々の東京で味わうパリ的アドレス紹介も。新時代はニューノーマル美容、と30代のリアルな声を菊乃氏、臼田あさ美氏、太田莉菜氏に語っていただく企画。衣装もヘアカラーもパステル色が含まれていて、BTSの「Dynamite」を意識したかのよう。こういう閉塞感のある時代だったからこそ、パステル色の明るい世界を見たかった。
2021年6月号(21年4月20日発売)540
信じる人のメッセージ。

「私」を強調して信じることを疑いなく送るメッセージと、そこにあることをしっかり見極めて吟味して打つメッセージ。強度は前者が強い。でも残るのは後者かもしれない。そんなことを考えさせられた一冊でもあった。メッセージや考え方は、写真の撮影の仕方、レイアウトデザインの並べ方にも表出する。ディテールを侮ってはならない、そこには「企み」や「考え」や「あり方」が潜んでいる、と痛感。今号は、デザインをずっと手がけてくれた参画社ラストの号。この長い年月のタッグには感謝しかない。デザイナーとエディターは時に反発しあうこともしばしばある。それでもこんなに長く支えてくれたことに、共に生きた時間の重さと大切さを痛感させられた。
2021年7月号(21年5月20日発売)541
雑誌の印象はデザインがほぼ7割?

大袈裟なのかどうなのか、かなり体制の変化を感じる号となった。新デザインは岩城麻子チーム。静謐で余白の使い方が巧み、大胆さもある。デザイナー選びは大変だったけれどもとても興味深くおもしろい仕事だった。そして、佐藤新編集長下の最初の巻頭テーマは「美しい女(ひと)、その理由。」シャネルを纏った小松菜奈氏が表紙に。新体制下では、本国マダムフィガロとの連携を強化することも命題のひとつだったので、本国の副編集長で数多くのフランス人女性俳優たちにインタビューをしてきているリシャール・ジャノーリオに、彼女たちの美しさの理由についてコメント取材した。美しさはアティチュードであり、仕草であり、顔の造詣だけが理由ではない。よくわかっている事実でも、その捉え方は千差万別でユニークだ。フェムテック全盛期でもあったゆえ、美容テーマは100年美容の一環としてのフェムテック。こういう知識をきちんと養えることも美しさを継続する理由なのかもしれない。そしてリニューアル後初のHOMME特集では、山下智久氏が登場。ミニ動画まで作成し、新チャレンジとなった。
2021年8月号(21年6月18日発売)542
占いは人生に必要だ!

俊紀編集長になって、「いったいどんな特集が過去のフィガロジャポンで本当にヒットしてきたのか」、何度も何度も話し合いを重ねた。まあ、どの媒体でも鉄板企画ではあるけれど占い特集はそのひとつ。特に、石井ゆかり氏という詩的かつ文学的な言葉で語りかけてくれる星占いがフィガロジャポンのイメージになっていることは素晴らしい。だからこそ、石井氏を知るための企画、というのも今号であらためて記事化した。本人インタビュー、鏡リュウジ氏との対談、石田ゆり子氏との対話。星を見て他者を感じる石井氏の言葉が美しい。そして、新しく始まった連載の「LOVE it!」が地味だけれども個人的には気に入っている。なぜなら、各編集者が自身の言葉で、その「モノ」を欲しい理由、インスパイアされるきっかけなどを語る内容だから。
2021年9月号(21年7月19日発売)543
もっと声高に、アールドゥヴィーヴル。

パリジェンヌの暮らし方、京都人の嗜み方、うつわ、花の飾り方......。フィガロジャポンが創刊時から得意とするものだけれども、時代とともに進化しているのは確か。パリの色使いは柔らかくなり、木製の家具は繊細になった。ほんの少しの差だかれども、ファッショントレンド同様にインテリアデコレーションの変容は、生活の気分を変えてくれる。新色ビューティテーマでも用いられたように、「エモーショナル」というキーワードが使われる時、世の中は少々柔らかいムードが制するようになる。フィガロジャポンが属するグループ会社が制作に関わった映画『ドライブ・マイ・カー』の公開時期でもあった。今号映画レビューに登場している。オスカーを得た本作、グループ会社共有のサロンには、あの像がいまでも飾られている......。
2021年10月号(21年8月20日発売)544
大好きな表紙です。

なんともいえないくらい、この表紙が好きだ。背景の百合、目線のないモデル撮影、ロゴ色に選んだイエロー。とてもバランスがよくてカッコいいな、と岩城麻子氏のセンスに心酔した。ファッション大特集でモードストーリーが多く掲載された号。そして、2017年より続く連載「齊藤工 活動寫眞館」にて、齊藤氏が四十歳を迎えるにあたり言葉をもらった。「被写体と自分の絶妙な距離の一本刀のみでこの連載を続けている」と遠慮がちに言うが、その意図は読み手に深く浸透し、愉しみにしている常連読者がたくさんいる、と回を重ねるごとに感じる。また、ナタリー・ポートマンに独占インタビューできたことも人生の喜びでもあった。インタビュアーは佐々木奈歩氏。元フィガロエディターでもあり、インタビュー上手。加えて美しいパフェ特集もあって、なんとてんこ盛りな一冊だ!
2021年11月号(21年9月18日発売)545
本の魅力を伝えることは難しい。

本特集と一言でいっても、アプローチ方法はたくさんある。デジタル時代に紙の本をどう扱うのか? そして「本」だってデジタル版もあるよね? みたいな禅問答から始まった特集だった。フィガロジャポンが得意とする本特集は、プロダクトとして持ち続ける本を、我々のイマジネーションの創作で美しく撮影すること。本が置かれている風景、読む人の仕草や気配も、本のある生活を彩るものだ。今号にはたくさんの作家やクリエイターの方々にコメントや推薦をもらった。人や人の心を介してしか「教えてもらう」ことは存在しない。そんなシンプルな事実に、本特集は気づかせてくれる。
2021年12月号(21年10月20日発売)546
私の作り方、って意味です。

「素敵なワードローブの作り方。」という特集だが、アプローチ方法は「自分」を持つ人にそのハウツーを尋ねて、作り上げている。蒼井優氏をはじめ、常連スタイリストの飯田珠緒氏、山本マナ氏、丸山佑香氏、飯島朋子氏、矢内麻友氏。こういうファッションの達人たちの感性がフィガロジャポンの栄養だ。平手友梨奈氏がシャネルの香水No5をセレブレートするページに登場してくれ、誌面とオンラインの両方を筆者は担当した。ふだん紙を作っていて、まああああ、動画制作関連の業務が大変なことを再把握。でも、紙とデジタルの完全タッグの時代、ものすごく良き経験となった。
2022年1月号(21年11月19日発売)547
フィガロが注目するビジネスのかたち。

俊紀編集長になって本国版マダムフィガロから輸入した特集が女性起業家特集で、プライズ授与するBusiness with Attitudeプロジェクト。働く女性の地位向上や、世の中に善をもたらしつつビジネスとして継続していくことを目指す女性たちを取材し、紹介していくことからスタートした。今号はそのプロテスト号でもあり、人選から世の中の状況まで捉えて記事をメイキングしていくことは難行でもあった。ただ、若い世代の考え方や、ふだんフィガロジャポンが扱っているジャンルとは異なる分野で活躍する人々の話を聞くのは楽しかった。そして、このプロジェクトは現在も健やかに継続している。
2022年2月号(21年12月20日発売)541
グルメも強いフィガロです!

フィガロジャポンには、どの時代にも「本気でグルメ!」なプロ編集者が必ずひとりいる。傍目から見ると「おいしいもの食べられるって、いいな」かもしれないが、吟味して食べるために、仕事以外の食分量を調整したり、お酒を飲める状態に内臓を整えたり、飲食担当の編集者はまさにカラダをはってがんばっている。だから、このように巻頭特集になる時はきついはずだ。目黒区の住宅街にいいレストランがぽつぽつできた時期で、ルイ・ヴィトンの並木通りの上階のレストランや、グッチオステリアがオープンした話題いっぱいの頃だ。だからかしら、後半の美容特集では睡眠にフォーカス。今号、カラダのアールドゥヴィーヴルを謳っていた。
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