【フィガロジャポン35周年企画】 純愛から性愛までを物語る、2022年フィガロジャポンの哲学。
Culture 2026.03.30
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2022年に発売したすべての号をプレイバック!
2022年3月号(22年1月19日発売)549
愛をテーマに彷徨うフィガロジャポン。

表紙を飾ったのは永瀬廉氏。池田エライザ氏との共演作が封切られる頃だった。今号には柄本佑氏&安藤サクラ氏も共演してくれ、それぞれの「愛の在り方」を語ってもらった。愛には、純愛もあれば性愛も。激しい恋を経てから穏やかな情愛関係にいたることも。愛の正しいカタチがない人間界において万人が愛の放浪者であることをともに確認するとともに、他者の愛の模様を読むための号。ランジェリー特集も1月発売号には挿入されがち。そして筆者渾身企画は、ウェス・アンダーソン監督『フレンチ・ディスパッチ』特集。消えゆく紙文化へのオマージュもある作品の紹介をするために、年末ぎりぎりの12月29日、料理家平野由希子氏の家におじゃまして、映画に登場した料理を再現して掲載。河内彩カメラマンが撮ったが、ここから平野氏&河内氏の交流も深まり、海外出張などに二人で行くことも。人と人を繋ぐことも編集者にとっては悦びのひとつ。
2022年4月号(22年2月19日発売)550
俳優たちは常にモードへの憧れを誘う。

そうか、この頃が序章か!と、いまあらためて思う。KOL起用全盛時代の現在(2026年)、俳優や著名人がファッションのメッセージを担うことを、まるまる1冊でやろう、というのが今号。表紙は筆者はコメディエンヌの才能にあふれていると思う大島優子氏、ほかに、菊地凛子氏、中村アン氏、佐久間由衣氏、。黒木華氏、生田絵梨花氏、當真あみ氏、出口夏希氏、蒼井優氏などが登場。豪華!というよりほかないモード特集となった。生田氏は、「パリを訪れた時のパリジェンヌの姿を見た時に感じたことを思いだして服を纏ってみた」とコメント。日本人俳優ではないが、パリ・オペラ座のエトワール、ユーゴ・マルシャン氏が、後半では自身の愛するパリを紹介している。
2022年5月号(22年3月19日発売)551
底辺にはまだパンデミックが......。

旅特集でもパリと言うフィガロらしい切り札をストレートに出せない。人出の多い場所への誘いももちろんできない。人々が精神のリセットもしたい時代、自然に囲まれて癒しの旅に出ることを誘おう、と決めた企画。中身はゆったり作った。忙しさはこの時期のキーワードではなかったから。自然の中にも、人の手で創られた豊かな建築があって、とてもおもしろい。それが日本の地方へと旅立つ理由でもある。自然を意識した号だから、美容テーマでも、生き方がナチュラルな人を基軸に作った。板谷由夏氏。ハンサムだけれども気負いがない、美しい人。
2022年6月号(22年4月20日発売)552
時代とともに変身することの意義。

こういうタイトルのモード特集になった時は、ファッションの方向性が大きく変わった時期だ。表紙はのん氏。ファッション愛も強いのん氏を、愛らしい縛りではなく、大人の表現。SNSで大いに盛り上がったのは冨永愛氏を渋谷駅前の交差点でミニスカート姿で撮影したカット。横断歩道を歩く人のほとんどがマスクをしているなか、お腹見せをして堂々と立つ冨永氏が眩い。スクールガールライクなコーディネートもあって、かつてオーディションで選ばれまくっていた時代の彼女を彷彿させる。オペラ座エトワールのオニール八菜氏をオペラガルニエの大道具場所で撮影したり、「エミリー、パリへ行く」新シーズンに向けて本国版マダムフィガロのエディターたちに辛口トークしてもらったり、ひねりの効いた小特集も豊か。
2022年7月号(22年5月19日発売)553
手仕事好きが読者に多い。

フィガロジャポンの読者たちは手仕事への敬愛がすごい。美しいものが好きな気持ちはもちろん共感。加えて、自身でも刺繍や編み物など、手仕事をやりたいと思っている読者も。そんななか、サヴォワールフェールにおいては素晴らしい歴史を持つフランスのメゾンにフォーカスしたり、民芸やものづくりのアトリエに日本でも訪れて記事を作った特集。作る人達へのフォーカスを拡張し、有名デザイナーたちの家族の話を本国版からリフトすると、家族への愛だけでなく、叔母やいとこから、ファッションのTIPSを得た人たちが続出。
2022年8月号(22年6月20日発売)554
ディーヴァ・カッセルの美しさ。

表紙はディーヴァ・カッセル。モニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルの間に生まれた俳優一家の美貌の人。乙女座で完璧思考だ、と言う。占い特集に登場してもらったが、本国版マダムフィガロもジャポンの影響で占い特集を大きくやるようになった。今回の占い特集から登場したのは、インド占星術。エンタメの要素も強い占いだが、インド占星術はヴェーダのひとつ。ひとりひとりの運命に対して哲学的に解釈していく読み方は奥深く、筆者も実はハマった。考え方の変化深化に役立った。
2022年9月号(22年7月20日発売)555
アートはライフスタイル

近年、アートへの世の中の関心が熱い。そして変化している。投資目的でアートを購入する人も増えたが、アートの旅に出る人が本当に増えた。旅の目的はアートスポット、という人達が求めるのは「体験」。そのために、ハイブランドもアートと出合うチャンスを街に増やしている、表紙のルイ・ヴィトンのように。今号では、篠原ともえ氏がクリエイターとして直島を訪れ、魅力を解剖。アートのあるエリアのアドレスは食処や宿も意識が高く、旅まるごとアート気分に浸れる。自宅に上手にアートを選び飾る素敵な女性たちの実例も。今号で紹介した三菱一号館での『ガブリエル・シャネル展』では、読者イベントも開催し、誌面だけでなく多角的展開できたこともうれしかった。
2022年10月号(22年8月20日発売)556
表紙2タイプにトライ、それも漫画で。

今号のトライはユニークで、バーバリーのトレンチドレスを纏った池田エライザ氏の実写表紙と、同じ衣装とポーズの『ブルーピリオド』の登場人物を山口翼先生のオリジナルイラストで描いた版の2種となった。付録に20ページのオリジナルコミック付き。ファン垂涎だ。そして、巻頭特集は「スーパースターのファッション」。ロックスターの制服的アイテム、レザージャケット全盛のシーズンでもあり、BLACKPINKのモードに憧れる人が急増中の時期でもあり。担当者たちは楽しく撮影していたのではないか。
2022年11月号(22年9月20日発売)557
カッコいい表現者たちが集合。

水川あさみ氏と窪田正孝氏の夫婦共演カバーは話題となった。こうしてふたりの距離感をストレートにモード撮影で表現できるのは編集者冥利に尽きるだろう。担当した菊地愛氏やカメラマン熊谷氏にも感謝しかない。おしゃれ意識も高いふたりであった。そして巻頭特集では、おしゃれのマイルールがある人たちに提案してもらった新しいシーズンのワードローブ計画。飯島朋子氏のアウター、飯田珠緒氏のブーツ、小嶋智子氏のタンクトップ着こなし方など、超絶テクは勉強にもなる。相葉雅紀氏が登場してくれ、ファンの方々がSNSで感謝のメッセージをくれるのはとても励みになった。
2022年12月号(22年10月20日発売)558
旅先が開かれてきて、沖縄からスタート。

この時期になるとだいぶコロナ禍の負い目は少なくなってきていたように思う。沖縄取材に出かけた編集者たちもそこまで制限を受けずにのびのびと取材してきた記憶がある。ボリューム特集をふたりだけで仕上げていた。そのひとりが、パリに移住した鈴木桃子氏でもある。移住して心地よく過ごしている人たちのアールドゥヴィーヴルや、暮す文化に関しても取材した。
2023年1月号(22年11月18日発売)559
年間でもボリュームイシュー。

この年から、11月発売号は大ボリューム号に。それは現在までも続く。毎年、時計宝飾の巻頭特集をクリエイティブの奥深くまで掘り下げる内容で紹介。袋綴じ付録は常連の石井ゆかり氏。そしてベストコスメ≒ボーテスター特集、BWA特集と、マストなテーマが11月発売号に集結してくる。個人的に、ジュエリーのデザイン画がとても好きで自宅にも飾っている。また、時計の世界は宇宙のようで、知れば知るほどおもしろい。いかにものづくりに関わる職人たちが精魂込めて創り上げているジャンルか、それがフィガロジャポンが伝えたいこととシンクロした。
2023年2月号(22年12月20日発売)560
部数もたくさん出て、マルシェのトライも。

フィガロジャポンのロイヤル読者は、この号のカバーのようなイメージが好きなんだな、と手ごたえを感じた一冊。アールドゥヴィーヴルがインテリアと溶け合って、素敵な食卓のプレゼンテーションがあるような特集は、初動が緩くても後から部数が伸びる。パリのインテリア実例と、手仕事を大切にするクリエイターなどを取材。そして作り手のものをフィガロマルシェという会員組織から派生したプロジェクトで販売することに挑戦した。綴じ込み企画ではフレンチシックな手土産をたくさん紹介。読者の生活に役立つモノ・コトを、リアルな手段交えて誌面に展開していった。そして年末話題になる『クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ展』を高木由利子氏の写真をメインに紹介。インタビューでお会いした時も、言葉のひとつひとつが意義深く感動した。
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