【フィガロジャポン35周年企画】 2023年のフィガロジャポンは、韓国・ソウル特集が大ヒット!
Culture 2026.03.30
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2023年に発売したすべての号をプレイバック!
2023年3月号(23年1月20日発売)561
美容的に正しく生きることは、人間として正しいこととイコール。

34もある、いやいや、34しかない!と捉える? ウェルネスという感覚は、意識が高い人の間では当然のことになっている。最新美容施術に頼ることは本当に10年後にキレイでいられるのか......? もしかしたら、それよりも「おばあちゃんの知恵」的に植物の効能をしっかり身に着けることのほうが、キレイのシープが成り立つかも。それを34の中から各人が選びたいものを選べる作りを目指した。そしてブラッド・ピットまでもコスメを作る時代に。彼も生き方と絡めて、美を語ってくれた。ただ、彼の言葉の中で、自分はこうありたいといういうことに、「失敗しても自分を責め過ぎず、何かを創ることで気を紛らすことができる人」と答えていて興味深い。
2023年4月号(23年2月20日発売)562
ノーメイクでも美しい八木莉可子氏が表紙に。

撮影現場を訪れた俊紀編集長が、八木莉可子氏の潤いのある美しさに衝撃を受けていた。パリシック巻頭ファッション特集ではあるが、パリシックと一言でくくるのは簡単だが、さまざまなテイストがある。右岸派左岸派でスタイルが異なるとか、ちゃんとソワレへの準備をするとか(パリは小さい街なので、オフィスから自宅に一回帰ってから夜遊びに出かける人も多い)。そのスタイルに合わせつつトレンドとも掛けた。そしてカルチャーではルーヴル展にフォーカス。愛を語る絵画をキュレートする国立新美術館の視点がユニークだった。
2023年5月号(23年3月20日発売)563
完徹のパリ特集! 全マップ付き。

コロナ禍が過ぎゆき、やっとパリ特集が復活! 今号は「久しぶりだからやっちゃう?」と、スマホでマップが見られる時代ゆえに敬遠していたパリ全マップ別冊付録にトライした。そうしたら......イマドキの若手編集者は、紙の地図に慣れていない。それゆえに、筆者が最年長なのだが、必死に地図づくり指南。完徹を、久しぶりに経験しました......でも、その甲斐あってか、部数は伸びた。2年分くらい新アドレスをあまり紹介できなかったので、素敵な場所がいくつもできていた。まさに新名所と呼べるような場所だ。図書館、ブルス・ドゥ・コメルスなど、パリの建築の底力を見せつけられた。バレエダンサーの上野水香氏も、自身の愛するパリ紹介として登場してもらった。余談だが、全マップ別冊の表紙のイラストは、後に何度もフィガロジャポンの宣伝案件で起用されることになった。
2023年6月号(23年4月20日発売)564
オールファッション。だが、実に掴みにくい!

表紙も中身も入魂のビジュアルが並ぶ。だがしかし、雑誌は幕の内弁当という言葉もある中、なかなかチャームを感じさせにくい「構成」になっていて、美しいビジュアルだけれどもとても残念。取材、文章の力、見せ方の工夫に欠けていたかなあ......中には綴じ込付録の「小さくていい店。」というグルメガイドがあり、こちらもいい店ばかりが選ばれている。そういうガイドも、なかなか見つかりにくいページネ―ションになっていて、その点でも残念だったかなあ。絵が素敵なぶん惜しい!
2023年7月号(23年5月19日発売)565
ハイライトはINI×INU!

現在でもネット書店でよく注文が入る号だ。巻頭特集の犬を人間のパートナーとして家族として捉え、善き暮らしのための特集内容であることはもちろん、ハイライトとなるのは、INIのメンバー11人が、11頭の犬とともに今号に出演してくれたこと。彼らはみな犬好きで、スタジオでも愛情を注いでくれた。飼い主の方々も喜んでくれた。かわりばんこに行ったインタビューでも、好きな犬、メンバーとの絆、音楽やパフォーマンスについて飾り気なく語ってくれた。ほかの特集ではタヒチ取材や、福士蒼汰氏の出演など、華やかな企画が巻頭特集をサポートした号だ。
2023年8月号(23年6月20日発売)566
コロナを経たからこその関係性重視の占い。

決して恋愛は運ではない、そんなに安易じゃない。でも、今号の占いは「他者との関係性」にフォーカスした。理由はやはりパンデミック。人との関わり方が変化してしまったから戸惑っている人たちがたくさんいる。今回も、数秘術、西洋占星術、インド占星術、そして人相術を新たに取り入れた。インタビューページでは菊地凛子氏が渾身の作品『658km、陽子の旅』に出演、上海映画祭でも女優賞を得た本作への想いを語りつつ、プレフォールのモードを纏ってくれた。美容テーマはパーツに注力して美しくなる方法。ボディケアのお腹や背中、脚のキレイをキープするため出費できるのは、美容上級者である。
2023年9月号(23年7月20日発売)567
口コミのソウル旅、そしてKカルチャーへの訴求。

今号で失明するかと思うほど、細かい文字を読んだ。巻頭特集は口コミで紹介していくソウルの旅。おすすめエリア、マストゴーのアドレス、K-POP 4大事務所近所のグルメスポット、うつわの店からY2Kモードの人気ブティックまで、幅広くアドレス紹介している。出張に出た若手編集者は「フィガロジャポンの海外取材ってこんなに毎回大変なんですか?」と言い、そうだよなあ...‥としみじみした。筆者の分析ではフィガロジャポンの旅取材は、1人20~24ページ、30~40アドレスを担当、取材は11~13泊15日かかる。そういう若者時代を過ごしてしまって、自身が現在の現場への感覚が鈍っていると感じた。Kカルチャー特集は、「そのQ数、読める?」と思うくらい文字が小さくて、校正で目の奥が痺れた。シャルロット・ゲンズブールが母ジェーン・バーキンのドキュメンタリーを撮り作品の日本公開を機に村上香住子氏でインタビューした記事も掲載。カンヌ映画祭は脚本賞で坂元裕二氏(『怪物』)、男優賞で役所広司氏(『PERFECT DAYS』)の日本勢が注目を浴びた年。エスパがレッドカーペットを歩き、初めてのK-POPアイドルの参上、と話題になった。
2023年10月号(23年8月19日発売)568
いまや定着して声高に言われなくなったクワイエットラグジュアリー。

ほんの2~3年前のハナシなのに、もうクワイエットラグジュアリーというワードが下火になっている気もする。本当は、みんなが好きなスタイルだ。もう少しカジュアルなものを、ノームコアなどど読んでいた気もする......。でも、シンプルなニット、柄行のないアイテムをシルエットの魅力で着こなすこと、全身ワントーンのルックなど、俯瞰すると知性が漂うスタイルで素敵だ。見せびらかす服で強さを見せなくても、自分自身に自信を宿らせる。それがクワイエットラグジュアリーの効果だとも思う。連載活動寫眞館では、齊藤工氏の監督作『スイート・マイホーム』の登場人物たちが1号前から連続出演。
2023年11月号(23年9月20日発売)569
案外フィガロジャポンは恋好きなのか?

あれ? またもや恋愛特集? フィガロジャポンは意外と恋のテーマが好き?とも言えなくもない。恋に宿るロマンティシズムが好きである。岩井俊二監督が久しぶりの新作『キリエのうた』を撮り、主演の松村北斗氏とアイナ・ジ・エンド氏に出演してもらった。ふたりが纏った赤いヴァレンティノの写真が雄弁で、とてもよく似合っていた。ドラマから恋を分析したり、フランスの恋愛事情を紹介したり。答えのない恋の世界を泳ぐような特集となった。綴じ込み特集では、ポルトガルを紹介。ポルトの街の進化にはっとした。
2023年12月号(23年10月19日発売)570
ジャケットは働く女性のユニフォーム。

ファッションウィーク終了直後から、ジャケットブームになる!と編集部は沸いた。ジャケット、アイテムとしてすごく関心事なのだ、と思う。ただ、表紙ののん氏がとても愛らしく「コート」を纏っているので、ジャケットという文字が大きくても、メッセージが深く伝わりにくかったか? 今号にはバレンシアガのオートクチュール、ティファニーの金箔クラフトへのサポート、ミュウミュウの女性の映画人サポートなど、ハイメゾンの文化活動のフォーカス記事が多かったのが印象的。いまやラグジュアリーメゾンは、こうした活動がなければラグジュアリーとは言えない。
2024年1月号(23年11月20日発売)571
巻頭ジュエリー特集、昨年に引き続き。

選ばれる理由が高額商品には必ずある。背景にある物語に共感するとか、作り手の哲学が自身の生き方にも影響するとか。フィガロジャポンのジュエリー特集はそういう視点で作っている。この時期に話題になったのはハートモチーフのジュエリー。そのモチーフが流行るのにも理由がある気がする。中谷美紀氏はディオールのジュエリーを纏って、パリで撮影した。サウンドバイトでお会いしても、とてもブランドのことを深く学んでいて素敵な言葉をくれる人物。ボーテスター賞はクレ・ド・ポーのセラム。鉄板! そしてBusiness with Attitudeは華やかな年で、俳優の小林涼子氏が「農」関係で受賞、そのほかにもファッションや旅の仕事が評価された。
2024年2月号(23年12月20日発売)572
デザイナーたちの尽力に大感謝!

「すべてのページが全部違う、バリエに富んだデザインにしてください」というこちらのリクエストに対応し、文字、写真の置き方、色の選び方......デザインチームが本当に懸命に尽力してくれた巻頭特集。パリジェンヌたちがいま、どんなことを考えているのか、彼女たちの実態がわかるような構成にした特集だ。理想の女性はジェーン・バーキン。パリの魅力の筆頭は空が綺麗。一方、道が汚いことが嫌い。家族から受け継いだものを大切にする。ランジェリーと花は大切な必需品。わかりやすいパリがここにある。そして第2特集では、アニエス・トゥルブレを筆頭にパリ的人物をルポした。繰り返すが、いまでも何度も見返して、雑誌デザインの可能性を確認する号である。
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