時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ディオールのジュエリーの話をお届けします。
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DIOR
ROSE DES VENTS

右上から時計回りに、「ローズ デ ヴァン」片耳イヤリング(18KPG×ダイヤモンド×ピンクオパール)¥220,000、リバーシブルになった片耳イヤリング(18KYG×ダイヤモンド×マラカイト)¥258,500、ブレスレット(18KPG×ダイヤモンド×オレンジセラミックラッカー)参考商品、ブレスレット(18KYG×ダイヤモンド×グリーンセラミックラッカー)参考商品/以上ディオール ファイン ジュエリー(クリスチャン ディオール)
かつて、風の吹いてくる方位を図に描いたものを、ウィンドローズと呼んでいた。360度、さまざまな方向を指したウィンドローズは大輪の花のように見えたので、誰かがそれをバラにたとえたのだ。やがてウィンドローズは羅針盤に描かれ、方角を指し示すコンパスローズと呼ばれるようになった。船人たちにとってこのバラは、心強いお守りのような存在だっただろう。
クリスチャン・ディオールが育ったグランヴィルの館にも、優美なウィンドローズのモザイクが飾られていた。船主が建てた館だったからだ。クチュリエとなってからも、彼はこのモザイクを思い出してはドレスをウィンドローズの意匠で飾り立てた。バラや星などラッキーシンボルをこよなく愛した彼は、コンパスを意味するウィンドローズのシンボルの力も求めていたに違いない。美しい服を創造することは、何もない大海原で、ゆくべき方角を探し求める旅のようなものなのだから。
生きてゆくこともまた、正しい方角を探して海を旅するようなもの。ひとり船に乗ってこぎ出す旅は、ときに心もとなく感じることもある。ウィンドローズをあしらったジュエリー 「ローズ デ ヴァン」は、小さなお守りのようなメダイヨンの形。このモチーフが追い風を吹かせて、旅をよりよき方角へと導いてくれる─。そう信じて大切に身に着けたい、ミステリアスでシンボリックなラッキージュエリーだ。
photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KEIKO HOMMA
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/series/iimonogatari/201023-dior.html