自然とフォークロアにインスパイアされた、ルイ・ヴィトン 2026秋冬ウィメンズ・コレクション。
Fashion 2026.03.18
3月9日、ルーヴル美術館のクール・カレにガラス張りの特設会場が登場した。ルイ・ヴィトンの2026−27秋冬ウィメンズ・コレクションの舞台は、幾何学的に様式化された緑の山々の風景。ガラス越しに見えるルーヴル宮の姿を背景に、フューチャリスティックな自然の表現が浮かび上がる演出だ。舞台デザインは、19世紀の昔、スイス国境に近いジュラ山脈からパリへと旅した創設者ルイ・ヴィトンの足跡からインスパイアされたものだという。
真っ白なルックに身を包んだゼンデイヤ、ミラノ冬季オリンピック、フィギュアの金メダリスト・アリサ・リュウをはじめ、BLACKPINKのリサ、日本からは女優の中条あやみなどの華やかなゲストが次々と訪れ、会場を沸かせた。

ルーヴル宮のクール・カレの特設会場で開催されたショー。

幾何学的なグリーンの山々が連なるフューチュリスティックな舞台装置。デザインはドラマ「セヴェランス」のプロダクションデザインを手掛けたジェレミー・ヒンドル。
今シーズン、ニコラ・ジェスキエールは自然にインスピレーションを求めた。山々や森、平原がかたちづくる自然の中で、人が耐久性や保護を求め、自然との関わりの中で進化させてきた衣服。それを21世紀の目でとらえ、ルイ・ヴィトンらしい構築的なシルエットに昇華させた。

ファーストルック。彫刻的なケープ、有機的な表情のレザーのドレス。

パッチワークの素朴な表情のドレス。手に持った杖にバッグを結びつけて。

羊を思わせる風合いのニットも肩を強調した構築的なシルエット。
ショーの始まりを告げたファーストルックは、黒いレザーの彫刻的なルック。続くのは、自然の色合いとフォークロアの素朴なイメージに、モダニズムやフューチャリズムを感じさせるアーキテクチュアルなシルエットが交錯する作品集だ。
森や大地、鉱物を思わせるグリーンやブラウン、ベージュ、グレーの色合い。レザー、植物由来のファー、布帛を合わせた異素材のパッチワーク。花のプリントや再解釈されたアニマルモチーフ。靴には、鹿の角を模したヒールがあしらわれている。ジュラ地方の牧歌的で素朴な雰囲気は、農婦や遊牧民を思わせる暖かな帽子に。ショーのティザーにも登場した羊たちは、アーティスト、ナザール・ストレリャエフ=ナザルコの絵画となって、ジャケットの背中や袖口を彩った。

花モチーフのジャケット。遊牧民や農婦を思わせる帽子。バッグにはベルが。

アーティスト、ナザール・ストレリャエフ=ナザルコの絵画があしらわれたスカート。

遊牧民を思わせるルックに、鉱物を思わせる存在感たっぷりなボタン。
バッグにも、旅とフォークロアの気分が満ちている。山小屋やベルを模った職人技の光るバッグから、小さな羊飼いのベルがついたミニ・マルチパス。トランクのディテールをあしらった柔らかなバッグは、昔の旅人が持っていた杖を思わせるスティックに結び付けられている。

左から、マン・レイのアクセサリーからインスパイアされたイヤリング、鹿の角を想起させるヒール、山小屋の形のバッグ。
アクセサリーで注目を浴びたのは、幾つものルックにあしらわれた螺旋形のイアリング。1966年にマン・レイがデザインし、カトリーヌ・ドヌーヴが身につけた写真で有名なアクセサリーからのインスピレーションだ。
創始者への想いとメゾンのDNAである旅。ジュラ地方の自然と人々の暮らし。改めてメゾンのルーツに想いを馳せながら、自然と共にある生活を探究し、フォークロアに宿るエスプリを現代に表現したコレクションとなった。
text: Masae Takata(Paris Office)







