デムナ流グッチ、6つのアイコンを紐解く。
Fashion 2026.04.12
これまでにないほどクリエイティブディレクターの交代が相次いだ2026年春夏。新任者たちは、メゾンの伝統をどのように引き継ぎ、発展させていくのか。グッチらしさとは何かを検証する。
GUCCI
by Demna
デムナ

アイコニックなフローラ プリントに包まれたロングドレス。ギャザーを寄せた高い襟とトレーンスカートのロマンティックな佇まいに、シルクツイルのキルティングとジップディテールで現代的なひねりを添えて。ドレス¥1,595,000/グッチ(グッチ クライアントサービス)
デムナ流、グッチネス。
デムナによる初のショーを前に、春夏は、その前哨戦としてまず"グッチらしさ"を探求した。イタリア独自の美意識「スプレッツァトゥーラ(完璧さの中にある意図的な抜け感、計算された自然体)」も反映。ブランドのアイコンを多く登場させたが、新アーティスティック・ディレクター、デムナらしいユーモアのセンスや実用主義の姿勢が垣間見える。
Gucci Bamboo 1947
乗馬用のサドルを思わせる美しい曲線を描くレザーのハンドバッグは、1947年に発表された。職人が天然の竹を炎で熱してカーブさせたハンドルは、ブランド創設者、グッチオ・グッチの四男バスコが愛用していたステッキにヒントを得たともいわれている。発売後はすぐにハリウッドスターはじめセレブリティの間で人気に。2026年春夏ではハンドルの可動域を広げ、軽いソフトレザーを使用し、マチもスリムになっている。

Web Stripe
グッチは、1921年にラゲージショップとしてスタートした時から、クライアントたちの間で親しまれていた乗馬の世界に着想を得てきた。グリーン・レッド・グリーンの大胆な配色で構成されるウェブ ストライプは、鞍を馬の背に固定するために使われるトスカーナ地方の伝統的なキャンバスの腹帯を元に、50年代に誕生。2026年春夏ではセーターやハーフムーンシェイプの新作バッグ「ルネッタ」などに用いられている。

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GG Pattern
1965年にグッチオ・グッチのイニシャルであるダブルGを組み合わせたモチーフとして誕生。30年代後半にブランドの出発点であるトラベルバッグのために開発された、小さなダイヤモンド形のモチーフが連なる「ディアマンテ キャンバス」が元になっている。デムナは色味をアップデート。従来より淡く、ヴィンテージ感のあるベージュ、ヴィンテージ サンドを用いている。全身GGパターンのスタイリングはエッジーな印象に。

Horsebit
1953年、ブランドの会長を務めていたグッチオの三男アルドがローファーを飾るハードウェアとして取り入れた。ダブルリングとバーからなるデザインは、馬具の「bit(ハミ)」をイメージしており、以降も乗馬に関する数々のモチーフやコードが生み出され続けている。現在ではバッグやジュエリーにも採用され、2026年春夏では「スプレッツァトゥーラ」が薫る、踵を折り込んで履くミュールにあしらわれている。

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Gucci Jackie 1961
1961年に登場した、リラックス感があり身体に沿うハーフムーンシェイプと、洗練されていながら耐久性のあるピストン クロージャーが特徴のバッグ。60~70年代のジェットセッターたちに人気を博し、ライフスタイルの象徴となった。ジャクリーン・ケネディも愛用していた「ジャッキー」バッグはさまざまに再解釈されてきたが、最新作「ジャッキー スリム」はシルエットがスリムになり、柔らかい感触に。

Flora Print
1966年、モナコのグレース大公妃が夫とともにミラノのグッチのショップを訪れた際、グッチオの末っ子、ロドルフォが贈ったシルクスカーフが始まりだった。アーティストでありイラストレーター、ヴィットリオ・アッコルネロ・デ・テスタがデザインした四季折々の27種類の花を使った9つの花束を34色でプリントし、ベリー、蝶、トンボ、昆虫なども取り入れられている。2026年春夏では、スパンコール刺繍で表現したドレスも発表。

*「フィガロジャポン」2026年4月号より抜粋
photography: Masaya Tanaka (TRON) styling: Tomoko Iijima hair: Kenshin (EPO LABO) makeup: Suzuki text: Itoi Kuriyama





