ルイーズ・トロッターが描くボッテガ・ヴェネタ、イントレチャートに宿る美意識とは?
Fashion 2026.04.14
これまでにないほどクリエイティブディレクターの交代が相次いだ2026年春夏。新任者たちは、メゾンの伝統をどのように引き継ぎ、発展させていくのか。ルイーズ・トロッターはボッテガ・ヴェネタのアイコン、イントレチャートをどのように継承し、拡張したのか?
BOTTEGA VENETA
by Louise Trotter
ルイーズ・トロッター

コート¥899,800、シルクのシャツ(参考商品)、スカーフ¥80,300/以上ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
アイコニックなノットがあしらわれたウールのコートの襟の下には、今季多用されたパラゴラ(別名スロート・ラッチ)が。雨風から首を守るために19~20世紀初頭のミリタリーのコートや制服に用いられていた襟を固定するディテールが、イントレチャートで表現されている。
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クリエイションに息づく、ボッテガ・ヴェネタのイントレチャートの精神。

イントレチャートにオーストリッチの束を縫い付けたトップ(参考商品)
イントレチャートは、1975年、共同創業者のレンツォ・ゼンジアーロがイタリア北部の街、ヴィチェンツァにあったアトリエで開発した。「フェットゥーチェ」(レザーの平たい紐)を、切れ込みを入れたレザーのベースに針を使って45度の角度で挿し込む職人技は、柔らかさと耐久性を生み、ブランドの象徴となった。2001年には、木型に沿ってフェットゥーチェを編み込む「イントレッチオ」も発表されている。

ラペルがファブリックによるイントレチャートになったジャケット¥839,300

2ミリ幅のナッパレザーを貼り合わせたバンドを編み上げた「マイクロ イントレッチオ」のケープ(参考商品)
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新クリエイティブ・ディレクター、ルイーズ・トロッターは、デビューコレクションにおいて、9mmのフェットゥーチェと12mmの切れ込みを入れたレザーのベースという組み合わせによるオリジナルサイズを軸にあらゆる箇所に用いた。50人の職人が交代で4,000時間かけ、10万mにわたる2mm幅のナッパレザーを貼り合わせたバンドを編み上げたケープをはじめ、オーストリッチを手作業で割いて束にしてフェットゥーチェを編み込む最中に縫い付けたり、しなやかなナッパサプルレザーを使用したフリンジを編み目に差し込むといったアイデアを駆使。ファブリックのイントレチャートによるジャケットのラペルも登場した。
カルヴェンを一新させて多くの支持を集めた実績を持つルイーズは、デザインだけではなく着心地も追求し、最終的に私たちが服を身に纏った時の気分にまで目を配っているような、着る人に寄り添うものづくりをするデザイナーだ。そんな彼女は、アイコンを単に受け継ぐべき技術としては見ていない。自らのクリエイション、さらには私たちのワードローブに自然と溶け込ませるために、しっかりと理解を深めてから取り組んだに違いないのだ。

イントレチャートの編み目にフリンジを差し込んだ躍動感のあるバッグ¥885,000

従来より幅の狭い「フェットゥーチェ」を用いた「マイクロ イントレチャート」のスカート(参考商品)

イントレチャートのトングサンダル¥203,500/以上ボッテガ・ヴェネタ(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)
「ボッテガ・ヴェネタの言語といえば、イントレチャートです。それはメタファーでもあります。2本の異なる紐を編み上げることで、強さを増します。ふたつの要素が結びつくことによって、より強いものが完成するのです。協働と繋がりは、創業期から現在にいたるまでボッテガ・ヴェネタとその歴史の根底に息づいています。異なる場所、異なる人々、男性と女性。個々の要素や物語が絡み合い、ひとつの形を作り、より強固に結びつくのです」(ルイーズ・トロッター)
*「フィガロジャポン」2026年4月号より抜粋
photography: Masaya Tanaka (TRON) styling: Tomoko Iijima hair: Kenshin (EPO LABO) makeup: Suzuki text: Itoi Kuriyama





