黒の造形美が際立つ。ヴェルニエの「カラ・ミディ」ブレスレットの魅力。

Fashion

時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノにある、いい物語を語る連載「いいモノ語り」

今回は、ヴェルニエの「カラ・ミディ」ブレスレットの話をお届けします。

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VHERNIER
CALLA

チタニウムを素材としているため、ほどよいボリュームがありながらも、身に着けてみると着け心地は軽やか。ロングセラーとなっているこのコレクションは、ミラネーゼ・エレガンスの真髄を体現しているとされる。ブレスレット「カラ・ミディ」(RG×マットブラックチタニウム)¥1,795,200/ヴェルニエ(リシュモンジャパン ヴェルニエ)

彫刻から出発した、コンテンポラリーな造形美。

イタリアから発信される気鋭のブランド、ヴェルニエは、洗練の極みともいえるミニマルなデザインでジュエリーラパーたちを熱く魅了。いま注目度急上昇のジュエラーだ。人気の「カラ・ミディ」ブレスレットはアイコンともいえるコレクションのひとつ。カラーの花のモチーフが手首を飾るデザインになっている。

ヴェルニエの創業は1984年。カルロ・チアルリとアンジェラ・カムラーティというふたりの彫刻家が作る宝飾品から始まった。その後、彼らの手がける作品に魅せられたアートコレクター、カルロ・トラリオがブランドを買収し「彫刻から生まれるジュエリー」というこれまでにないビジョンのもと、ミラノにブティックをオープン。現在はリシュモン・グループを構成するラグジュアリーメゾンの一員となって、世界的な展開をスタートしている。

そんなヴェルニエのフィロソフィは「美は単純化から生まれる」。大胆に削ぎ落とすことこそが本質をいっそう際立たせる、という信念がすべてのデザインの出発点なのだという。彫刻作品のようにコンセプチュアルに突きつめられたデザインは、革新的な素材使いと熟練のクラフトマンシップで完成度にブーストがかかる。

手描きによる「カラ」ネックレスのスケッチ。ヴェルニエのデザインワークはミラノで行われている。

この「カラ・ミディ」ブレスレットには留め金がなく、優れた伸縮性を生かして手首にくるくると巻きつけるようにして着用する仕立て。驚くほどしなやかなのに、その構造のカギとなっているはずのジョイント部分が見えないように工夫されている。まるで花々がいくつも重なり合って手首をめぐるような優雅さなのだ。

ブレスレットの黒い部分はマットブラックのチタニウムで、鏡のようにポリッシュしたローズゴールドとの対比が鮮やか。チタニウムは軽量で傷つきにくい金属だが、マットブラックに加工するのが難しく、研究開発に2年以上かけてニュアンスのある黒を実現したという。他にエボニーやアルミニウム、ブロンズなどの素材を使ったジュエリーも高い評価を得ているヴェルニエ。極めて複雑で高度な加工を可能にしているのは、ヴァレンツァという街にある工房だ。ヴァレンツァはイタリアきってのジュエリー生産地であり、伝統の手仕事と最先端の技術が共存している街。

そんなアルティザンの街の工房でこつこつと制作されている「カラ・ミディ」ブレスレット。それは芸術家のアトリエで、とびきりモダンなアートピースが次々と生み出されるのにも似ている。

本間恵子
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
お守りのターコイズのチャーム、水難除けのサンゴのチャーム、邪視除けの青い目のリング、聖人のメダイ。旅行にはどれかを着けていく、そうよ私は迷信深い女。

問い合わせ先

リシュモンジャパン ヴェルニエ
03-4572-5340
https://www.vhernier.com/en-jp

  • photography: Ayumu Yoshida
  • styling: Tomoko Iijima
  • text: Keiko Homma
  • editing: Mami Aiko

*「フィガロジャポン」2026年10月号より抜粋