【OMO7横浜 by 星野リゾート/神奈川】旧横浜市庁舎行政棟がホテルに。建築と歴史を味わう滞在。

Lifestyle

遊ぶ横浜から「ステイする横浜」へ
離れがたい魅力のレガシーホテル誕生

クラシカルな趣を残し、新たに化粧直しを済ませた歴史的建造物「旧横浜市庁舎」が、レガシーホテル「OMO7横浜by 星野リゾート」として開業。

かつて、横浜のJR関内駅南口前に、1959年竣工の旧横浜市庁舎が建っていました。名建築家、村野藤吾氏が手掛けたこの建物は、アンティークなオーラを発しながらも古びることなくいまも健在であり、現在は「OMO7横浜 by 星野リゾート」として、2026年4月21日、レガシーホテルとしてスタートを切りました。

庁舎の外観は当時のままですが、とはいえその外観は美しく手入れがなされ磨き直し、内装の残せる部分は残し、使える部分は使い利用され、まさに‘新旧融合’の魅力に溢れています。特に、市民に親しまれたという1階のスペースは意匠を再解釈して見事に継承し、色遣いや、大階段の丸みを帯びた曲線美の手すり、当時のタイルや家具類も残されています。懐かしさと現代的なスタイリッシュな趣が融合され、‘横浜モダニズム’が完成。世界のどこにも無い唯一無二の歴史的建造物として、また蘇った建物がホテルに変貌を遂げた物語が披露されています。

村野藤吾建築である旧行政棟が吹き抜けのスタイリッシュなロビー空間へ。新解釈で向きを変えて復元された大階段は迫力満点。

最もそれを感じる1階から2階にかけての広々としたフロアには、大階段を中心に吹き抜けの空間があり、かつては市民が集まりコンサートにも興じていたという懐かしさも漂っています。このホテルには地元横浜の方々が多く訪れるという中、妙齢の訪問者のこんな話を小耳にはさみました。「懐かしいわ~、この柱のこの時計覚えている! それに、ここでよくコンサートがあったのよ」と。記憶を確かめるばかりか、かつて市民に愛された市役所が美しい建物として蘇り、市民からはかつて親しんだという思い出と共に、少し誇らしげな声となって聞こえたのです。

幾何学模様のタイルは貴重な泰山タイルレリーフ。昭和初期にわずか十数年間だけ製造され、現代では「幻のタイル」として手作業でしか出せない豊かな表情や立体感の美しいレリーフは日本の財産としても貴重な存在。

ホテルの一階に展示されているのは、この市庁舎のデザインを手掛けた建築デザイナーのレジェンド、村野藤吾氏のプロフィールや当時の建築史。日本建築界を牽引した巨匠は目新しさに走るのではなく、「ヒューマニズムと装飾性あふれる独自の建築美」を追求したと評され、1967年に文化勲章を受章しているのです。村野藤吾氏の建築の意味を知るごとに、多方面で学びや気づきがあり、アカデミックな分野も、娯楽の分野も、知識を得ると人生が豊かになるような気さえしました。

この街についてしばしば耳にするのは、「横浜は魅力がいっぱい」というセオリーです。確かに横浜は歴史的な面でも文化面でも、古くから日本の新しい扉を開き、日本に海外の文化を採りこんできた港町。いまも異国情緒あふれる街並みが随所に残り、グルメも、ショッピングも、中華街も……と観光スポットは数え切れません。そしていま、新たに横浜の魅力の真髄に触れるホテル「OMO7横浜 by 星野リゾート」が誕生したのです。

ホテル起点に街歩き
異国情緒も飲み屋街もOMOレンジャーにお任せ!

旧市会棟本会議場の円形照明を現代のセンスで蘇らせ、昔のままに残された丸い壁時計とともにエントランスを飾るスタイルあるデザインへ。

ホテルの1階ロビーフロアには、名建築家、村野藤吾氏について詳細が展示されていることは前記しました。それとは別に、1階でかなり存在感を示しているのが、「OMO7横浜 by 星野リゾート」が独自に勧める名所、散策スポット、グルメレストランなど、カラフルで分かりやすい街歩きマップです。

これほど知らない場所があるのかと思わせるご近所マップ。OMOレンジャーが自ら歩いて探し出した店も多い。

どこに行けば楽しいか、どんな道に面白さが詰まっているか、ショップは? レストランは? 飲み屋は? そして観光スポットは? と、一目でわかるように、OMOレンジャーと歩くための地図が、おすすめスポット満載で描かれているのです。宿泊ゲストに限らず、1階を訪れた訪問者たちもこのマップをじっくりと観ている様子が印象的です。

OMOレンジャーとは、ホテルのスタッフ自身が街のディープな魅力を開拓し、ゲストを街歩きや館内イベントへ案内するガイドスタッフのことで、すべてのOMOにそれぞれ在籍し「ご近所アクティビティ」を推奨、町に溶け込ませてくれます。

ホテルの建物は「横浜市認定歴史的建造物」。アクティビティのひとつ、村野藤吾建築の美しさと建物の歴史を紐解く「レガシーウォーク」は興味深い。ホテルから徒歩圏内にも素晴らしい村野氏の建物が存在。

個人的には、「横浜レガシーウォーク」と題して案内される、「横浜市認定歴史的建造物であるホテルで村野藤吾建築の美しさと、建物の歴史を紐解くツアー」がとても楽しめました。他にもたくさんのアクティビティが用意され、未知なる横浜を満喫できるのです。山下公園を歩いているだけでも、なんだか異国情緒を感じます。

朝食は「新スタイルビュッフェ」と焼きたてのパン10種類以上から選べるセットメニュー「ベーカリーセット」で。

ホテルでは、朝食の新しさ「新スタイルビュッフェ朝食」にもワクワクさせられました。横浜らしい点心やライブキッチンも用意されています。特に人気のパン類は、焼きたてのパンを10種類以上から選べるセットメニュー「朝食ベーカリーセット」が用意されます。パンの販売もあり、外来のゲストもパンを買いに列をなすほど。

オールデイスタイルのベーカリーは大人気。外来者もOKで、クロワッサンやサンドイッチ、特にカレー伝来の地“横浜”の特製カレーパン5種もすぐに売り切れに。

特に人気はカレー伝来の地である横浜らしい特製のカレーパン5種が用意され、あっという間に売り切れ、争奪戦です。

もう遊ぶだけの横浜ではもったいない、2泊、3泊と滞在して横浜を満喫するのも日本の歴史に触れる贅沢な旅と言えそうです。異国情緒あふれる横浜は、伝統が残されるだけでなく斬新さにも敏感な感度の高い街でした。

写真は「やぐらスイート」(47~49㎡)のひとつ。旧横浜市庁舎のインテリアカラーである“レガシーカラー”を基調とした落ち着いた色調の部屋。
ドッグフレンドリーホテルとして「OMOドッグガーデン」、ワンちゃん同伴OKの飲食店や散歩スポット、一緒に参加できるアクティビティを紹介。3階には24時間利用可能な「OMOドッグラウンジ」も設置。他に屋内ドッグラン、ボールプールやドッグランも。

OMO7 横浜by星野リゾート
神奈川県横浜市中区港町1丁目1番地1
予約
050-3134-8095(受付時間 9:30~18:00)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo7yokohama/

せきね きょうこ

ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタント、アドバイザーも。著書多数。