卓上には「賢者の石」が。パリ最古の邸宅のレストラン、オーベルジュ・ドゥ・ニコラ・フラメル。
Paris 2025.01.29
その昔、オーベルジュ・ドゥ・ニコラ・フラメルといったらマレ地区にあるパリ最古の邸宅のレストラン、ということで歴史や建築にポイントを置き人を集めていた。1407年の建築で、ファサードは記念建造物指定されている。ニコラ・フラメルは写本家として、また錬金術師として15世紀に実在した人物だ。いま、この店はこれまでとは異なることで注目されているようだ。
2007年にこのオーナーとなったのは、パリ16区にミシュランの星付きレストランを持つシェフ、アラン・ジャアムだ。昨秋からレストランの各テーブルで食事客を待つのはガラスのクロシェットが被された「賢者の石(ピエール・フィロゾファル)」を模したゴールドに輝くバターである。これはニコラ・フラメルが『ハリー・ポッター』の中で、「賢者の石」を創造した錬金術師として登場することに由来していて、この作品に映画などで親しんでいる人には説明不要だろう。食事客の中には、この「賢者の石」に惹かれて遠方からやってくるハリポタ・ファンも少なくないという。
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ここはフレンチガストロノミーのレストラン。ランチタイムは4種のメニュー、ディナーは3種のメニューでいずれも始まりはアミューズブーシュ、締めくくりは3種のミニャルディーズである。食事内容は前菜2種、メイン2種、チーズ、デザート2種がリストされた中から、たとえば"発見"コース(78ユーロ)は指定の前菜、選んだメイン、指定のデザートの3皿。"味わい"コース(118ユーロ)は前菜2種、選んだメイン、デザート2種の5皿、そして"シグネチャー"コース(148ユーロ)なら前菜2種、メイン2種、チーズ、デザート2種の7皿だ。ランチタイムメニュー(48ユーロ)はその日の前菜、メイン、デザートだ。3コースにはそれぞれワインのペアリングをセットすることができる。"発見"および"味わい"のコースには24ユーロでチーズを組み入れることも可能だ。
料理は季節で変わるけれど、いまなら前菜は帆立貝、そしてキノコ。メインはブルターニュ産のロブスター、ラカンの鳩。そしてデザートはブランマンジェ、チョコレートである。レストラン内で15世紀のエレメントと現代の家具が調和をなしているように、料理はひと皿ごとに伝統とモダニティがおいしさをクリエイト。メインとなる素材の味を引き出すソースや添えに、星付きシェフのさすがの腕前が感じられる。アミューズブーシュからミニャルディーズまで味わいのシンフォニーをカジュアルに楽しめるレストランである。
51, rue de Montmorency
75003 Paris
営)12:00~13:30、19:30~21:30
休)日、月
https://auberge.nicolas-flamel.fr/
@auberge_nicolasflamel
editing: Mariko Omura