オニキス。ギャラリー・ラファイエット近くにこんな美食ブラッスリーがあるなんて!

Paris 2025.03.20

観光客でにぎわうデパートのギャラリー・ラファイエット。裏手のプロヴァンス通りにはそうした観光客をひきつけるアジア系のカジュアルなレストランが並ぶ......というイメージがある。その通りとショセ・ダンタン通りとのコーナーに昨夏にオープンした フレンチ・ガストロノミー・ブラッスリーのOnyx(オニキス)がなかなかの盛況ぶりを見せている。立地に恵まれているのはもちろんだけれど、大きな鍵はやはり味の良さ。また日曜営業というのも高ポイントだ。

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オニキス。店名は上のほうに控えめに書かれているので、少し分かりにくい。通りすぎないように。photography: Clemence Sahuc

パリ8区のSphère、9区のAo Izakaya、6区のShiroと同じMarki & coグループのレストランである。グループのエグゼクティブシェフの吉田哲也とシェフのバンジャマン・マロティーヌによるオニキスの料理は伝統的なフランス料理をベースに、彼らの料理体験や旅先の思い出、日本の影響が個性を添えている、という感じだろうか。

メニューを開くとメイン素材が料理名となっていて、わかりやすく選びやすい。前菜メニューで''タイ''と太字で書かれた下には、湯引きしたタイの半生グリル、チーマ・ディ・ラーパ、クレマンティーヌ、タンポポ、味噌ビネガーと追記されている。メインに目を移すと、''アスパラガス''という太字の下に、ホワイトアスパラガスのポワレ、ウフ・パルフェ、パルメザン味の大麦、ヴァンジョーヌのモリーユ茸、ノワゼットとある。用いられている素材はもちろん季節のものばかりである。

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左:前菜のスズキのセヴィーチェ(18ユーロ)。いちご、アヴォカドのクリーム、シブレット・オイル。 右:前菜もメインも海の幸のセレクションがいろいろ。photography: (左)Mariko Omura、(右)Geradine Martin
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いまの季節のメインの肉は羊、牛、ほろほろ鳥。魚は本日の魚、たら、タコ(写真右)。野菜はアスパラガスだ。photography: Geraldine Martin

ボリュームもほどよく、ランチに行ってもディナーに行っても満足できる店である。ランチタイム・メニュー(土日祝日を除く)は前菜+メインあるいはメイン+デザートが35ユーロ、前菜+メイン+デザートが42ユーロ。アラカルトメニューの中の前菜2種、メイン2種、デザート1種から選ぶ仕組みとなっている。ディナーのおまかせ5皿コース(89ユーロ~)というのも気になる! シェフ・パティシエのアレクス・ロシェルによるデザートも特筆ものでミルフィーユ、パリ・ブレスト、シャルロット......といったフランスの伝統的パティスリーを新解釈した、軽やかで味わい深いクリエイションを味わうことなくレストランを去ってしまったらとても残念だ。なおデザートメニューにはカフェ・グルマンだけでなく、ミニャルディーズの盛り合わせとシャンパンというチョイスも用意されている。

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デザート。ミルフィーユ(左)とパリ・ブレスト(右)はどちらもシグネチャーだ。photography: Clemence Sahuc

オリジナル・カクテルもノンアルコール・カクテル(モクテル)も花をテーマにしていて、それぞれ3種。ネグローニやアメリカーノといったクラシックなカクテルも揃え、いまのパリっ子たちの希望に対応している。ランチならグラスワインも悪くないけれど、モクテルをお供にするとより気分が華やぎそうだ。

オニキスに食事客が集まってくるのは、建築家デュオのAnégilによるインテリアのおもしろさもあってのことだろう。とりわけ2階への階段の壁は大理石の一種で店名ともなっているオニキスで、後方からの照明で独特な石の色がミステリアスな美しさを放っている。セルフィーやツーショットのためのスポットであることは間違いなしだ。2階はオスマニアン・スタイルのアパルトマン風の内装。店がオープンしたのは、19世紀後半に銀行家をはじめ新興ブルジョアたちが暮らす個人邸宅が並ぶ界隈だったという過去を思い出させる。

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オニキスの壁に圧倒される階段。photography: Clemence Sahuc
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オスマニアン調のアパルトマンにインスパイアされた2階席。photography: Clemence Sahuc
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建物の歴史を物語る鉄柱が印象的な1階席。photography: Clemence Sahuc

 

ONYX
71, rue de Provence
75009 Paris
営)12:00~14:30、19:00~22:30
無休
www.restaurantonyx.com
@onyx.restaurant.paris

editing: Mariko Omura

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