マレを騒がすファンシー&ファンキーな野菜料理。マスロウ・タンプルに行かなくちゃ。
Paris 2025.06.18
セーヌ河を挟んでコンシェルジュリーの向かいに、2023年に開店した野菜料理のMaslow(マスロゥ)はあっという間に流行りの店に。その二号店が今年の4月にマレのキャロー・デュ・タンプル近くにオープンした。外も中も真っ赤!という驚きのスペースで待つのは、ベジタリアンでなくても食べたくなるクリエイティブで遊び心いっぱいのポップな野菜料理だ。
シェフのMehdi Favri(メディ・ファヴリ)がテクニックとアイディアを駆使して思いっきり楽しんでいるようで、セーヌ河岸店とメニューは全く異なる。エコレスポンサブルの意識を日々強めているJulia ChicanとMarine Ricklin、そしてシェフの創業者トリオ。店から200km圏内のフランス生産の季節の素材(野菜、チーズ、卵)に拘り、さらにゼロ・ウェイストに取り組んでいるのだ。そうして生まれる料理はどれも味が良いだけでなく、楽しさに満ちている。シェアして食の喜びを味わう料理は1皿4ユーロからという手頃な価格である。テーブルを囲むのは、20代から70代までの幅広い客層だ。
3区、キャロー・デュ・タンプルの向かいにオープンした赤いマスロゥ・タンプル。photography: @thetravelbuds
左:地球に優しくおいしく食べようを実践するマスロウ・タンプル。仕掛け人トリオは、左からジュリー・シカン、メディ・ファヴリ、マリーヌ・リックラン。 右:ガラス屋根の下、3フロアの見事な吹き抜け。photography: 左 @jonathan_moyal、右 @makimanoukian
開店して間もないながら、すでに人気料理が2点ある。1つは''Potatoes Churros Deluxe''といって、ゴーフルやクレープと並ぶ人気の縁日菓子でシュー生地を長い棒状にしてあげたチュロスをジャガイモで作って、その上にチーズをかけた料理だ。そして2つ目は、パイの''Pithivier de champi et jus réduit''。これは通常は鳩を詰めるところ、キノコを詰め、その煮しめ汁をソースにかけるという一品だ。昆布が隠し味とか。メニューにはギョーザ、オコノミヤキ、テンプラも見つかるけれど、シェフの技と素材ミックスで日本では見つからない味わいだ。
なおデザートはパリ・ブレストならぬパリ・ベイルートやミル・フォイユならぬユヌフォイユなど。フランスのクラシックなパティスリーをツイストしている。
人気料理のジャガイモのチュロス(左/8ユーロ)ときのこパイのピティヴィエ(13ユーロ)。@thetravelbuds
左:アーティチョークのディップ&クランチ(13ユーロ)。ココナッツとピーナッツのソースで。 右:キムチのフリッターやキノコの天ぷらなどボリューム派のためには揚げ物も。@thetravelbuds
左:ズッキーニのカルパッチョ(7ユーロ)。 右:デザートから、イチゴと唐辛子のプロフィトロール(10ユーロ)。@thetravelbuds
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テラス席も今の季節は魅力だけど、マスロゥ・タンプルは是非とも店内見学を。通路のような細長い食事スペースがあり、そこを抜けると吹き抜けの3フロアの真ん中にいる!という作りである。エッフェル・スタイルの鉄柱が目を引く地上階の食事席は、ガラス屋根から差し込む光と、天井から下がる9メートルもの高さがある曲線を描くチューブ・シャンデリアの光で建物の奥ながら開放感に溢れる空間だ。2階は吹き抜けの周りを囲むようにカウンター席とテーブル席が並んでいる。ここはディナータイム用とか。
キャロー・デュ・タンプルに向かい合うテラス席。@thetravelbuds
ミラーがインテリアに多用されている地上階。このフロア専用のバーカウンターも備えられている。@thetravelbuds, @jonathan_moyal
2階。吹き抜けの周囲はカウンター席で、壁側にはテーブル席という構成だ。@thetravelbuds
その上のフロアは6月上旬に営業が始まったバーGraal(グラール)。このバーのカクテルメニューもシェフが担当していて、一階の食事メニューのカクテル(8ユーロ~)とは異なる野菜やスパイスなどのミクソロジーを提案している。バック・トゥ・ウォッカ(12ユーロ)にはウォッカで煎じたジャガイモの皮がトンカビーンズの香りとなることから、それをスパイス的にミックス。ジャガイモがウォッカの原料だった過去を思わせる命名だ。ラモスパラギュス(15ユーロ)はラモス・ジン・フィズのもじりで、アスパラガスの皮のスモークを使用している。野菜の廃棄物はトリオが経営する他のレストランからも集めて、アンチ・ウェイストの味を積極的にクリエイトしているのだ。
三階のバー、グラール。@jonathan_moyal
シグネチャー・カクテルから。左はマグレブ地方香辛料をミックスしたスイート・ハリッサ(15ユーロ)。右はペッパーブラック(14ユーロ)。なおヴァージン・カクテル(10ユーロ〜)と呼ばれるノンアルコール・カクテルも4種揃えている(10ユーロ〜)。@thetravalbuds
32, rue de Picardie
75003 Paris
レストラン
営)12:00~24:00
無休
バー・グラール
営)18:00~24:00
休)日、月、火
http://www.maslow-restaurant.com/
@maslow_restaurants
★Google Map
editing: Mariko Omura