トスカーナ地方に広がる穏やかな丘、
糸杉並木や葡萄畑に囲まれた中世の館
ホテル・ロカンダ・デッラモローザ
～シナルンガ／イタリア～

イタリアの中でも、トスカーナ地方の美しさに惹かれる人は多く、当の私もその一人です。長年の友人がピエンツァ（トスカーナ地方の世界遺産指定の小さな町）というちいさな古城の町に住んでいるために、時々この辺りを訪れる機会があるのはラッキーで、その度に穏やかなトスカーナの風景を楽しんでいます。

シナルンガはフィレンツェから約10km、シエナからは6kmの位置にあります。
その日は運転下手という友人に運転を頼み、迷いながらのドライブでした。移動では道を間違えながらの旅でしたが、葡萄畑や石造りの農家や古城を視ながら、それも楽しい旅でした。目指したホテル「アモローザ」は、シナルンガの町の郊外に位置。まずはホテル自慢のアプローチ、糸杉並木を探しながら、絵のように美しい田舎道を走り続け、辿り着いたホテルのロケーションは、何とも言えないロマチックなものでした。まっすぐに伸びた糸杉並木の入り口からは、真っ正面にホテルの館が見え、ゆったりとスピードを落として走る並木は感動的でもありました。

長い糸杉並木を通ってホテルのエントランスへ、印象的なアプローチ。

花に包まれたホテル

　このホテルの歴史は1300年代に始まったといいます。当時、シエナ地方のキヤナ渓谷の真ん中に位置していたこの地域に、AMOROSA（アモローザ）と呼ばれる小村がありました。現在のこの建物の所有者は、農作業中にテラコッタに描かれた文字「B.C．Ⅱ世紀」を見つけたと資料に書かれていますが、事実上、このホテルの建物の建築時期については明確にはわかっていません。

いずれにしても、アモローザで最初に見つかったアイコン（図像）には'1363年'の文字が刻まれていたのです。メイン棟は14世紀に建てられたとされ、15から16世紀に次々に建てものが増築され、今も尚、18から19世紀にかけたルネッサンス様式、中世の時代の建物部分がそのままに残されています。

（左）すべての建物が美しく手入れされたテラコッタ煉瓦造り。（右）広い庭には所々にテーブルが置かれ、お茶もＯＫ。

（左）スペシャル・デラックスルームの一つ。豪華な部屋にもトスカーナの伝統が設えてある。（右）客室には旬の花が飾られる。

（左）スイートのひとつ、リビングスペース。（右）1971年オープンのレストラン「Le Coccole dell'Amorosa」。オーガニックな素材で作る絶品のトスカーナ料理。

さてそのホテルですが、花の咲き乱れる広く美しい庭は圧巻です。館内ここそこに残された当時のままの壁画や彫刻も状態が良く、ここを訪れる人を歴史の舞台へと誘っています。館内は伝統アートやアンティークな家具調度品がトスカーナ地方らしい情緒を引き立て、客室内にも地方色が演出されています。どの部屋の窓からもなだらかに連なる丘が見渡せ、葡萄畑やオリーブ畑が広がる情景は旅の情緒を盛り上げてくれます。

昼間のプール。

（左）ホテルの夜景。（右）夜景の美しい屋外プール。

トスカーナ地方といえばグルメやワインは文句なし。このホテルでも所有する葡萄畑もあり、ワインセレクションは最上級。ワインバーでは絶品地元ワインが提供されています。またスタッフもおっとり優しく、とっても幸せな滞在と成りました。そして古い建物はリニューアルが繰り返され、メンテナンスにより快適に保たれ、ワイファイやコンピュータ環境も整っています。

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ホテルが所有するワインセラー。

地産地消を謳うリッチな朝食。

ホテル周辺は見所も多く、ワインの産地モンタルチーノ、そしてフィレンツェ、ペルージャなど人気観光地を始め、絵のようなちいさな村が点在。トスカーナ地方の田舎を堪能したい人に、超お薦めの隠れ家ホテルです。（K.S）