三浦春馬の眼の演技、『進撃の巨人』主人公エレンの葛藤を表現。

まるでヨーロッパのような架空の国の、いつぞやの時代を思わせる物語コードを感じさせる作品『進撃の巨人』。大スペクタクルが魅力だが、同時に、登場人物の複雑な背景や心境に惹きつけられる。壮絶な過去と、生きていく葛藤を抱く主人公エレンを三浦春馬が演じた。

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©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 ©諫山創/講談社

原作漫画、アニメ映画&TV、実写版と、社会現象にもなり、物語が終了してもなおカルト的な人気を誇る本作。鑑賞していて心休まる瞬間がまったくないくらい、刺激が画面から放たれ続けるのが『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』だ。

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突拍子もないストーリーの中でもがく登場人物たち。

見えない巨人に対する恐怖に怯えながら、高くそびえる人工の壁の内側で暮らす青年エレン(三浦春馬)。過去の巨人の攻撃ですでに両親を失っているエレンにとって、大切な人たちは心優しくも頭脳派のアルミン(本郷奏多)と、素直には自分の恋心を届けられないミカサ(水原希子)。壁の外の世界にあると想定している自由に憧れ、閉塞感で押しつぶされそうになっているやんちゃな若者エレンと仲間たちは、穏やかに晴れたある日、突然、巨人たちの来襲に出くわす。人間の生活は破壊され、多くが巨人に喰われて命を落とす。凄惨な状況を生き抜き志願した者たちが、巨人との戦闘体制に入る......エレンとアルミンも志願兵となった。

CGに勝るのは役者の眼の力。

戦闘シーンのCGの迫力がすごい。その迫力に負けじと役者たちに要求されたのは、劇場ならば大画面に映されるであろうアップの際の表情の演技。三浦春馬のエレンは、「眼の演技」が勝負どころだったのではないか。恋人になりたかったミカサとの時間、巨人の初襲来で彼女を失ったと思い込んで過ごす絶望感、協働する戦士たちへのいら立ち。それらをアンダーなライティングの中で、ねっとりと「眼の加減」で表現しなければならなかったはず。笑顔も美しい三浦春馬だが、本作は封印。過呼吸な状況下での暗鬱とした感情を、怒りの爆発に乗せて、「眼差しを超えた"眼力"」で魅せてくれた。

白目の部分は透明感のある水色がかったホワイト。どんなハードな状態に置かれていても、汚れがこびりついた戦闘服を着ていても、エレンの心の芯の部分にはピュアが精神が宿っていることを示しているような清らかな目の輝きだ。

長谷川博己演じる、巨人退治の名人シキシマに、実は生き残って強きウォリアーに成長した心の恋人ミカサを奪われた気持ちになったエレンの慟哭は、嫉妬を超えた絶望のようで、とてつもなく切ない。けれど、そんなシーンの続きでも、感情に揺れている状況を本作は観客に許してくれない。すぐに巨人が奇襲してきて、戦闘体制に入る。アドレナリンが放出されっぱなしの中で、エレンは巨人の餌食になるが、不可思議にも孵化したかのように巨人のうなじから人として生まれ出てくる......。ここまでが前半「ATTACK ON TITAN」の流れだ。

タフな戦を生き抜くエレンの道筋はいかに?

公開時は前後編として、時間を置かず『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(後編)が公開された。自身の感情を操作しきれなかったエレンが、後半でどう戦士として成長して活躍し、演技の力を通して観客にメッセージを送るのか。後半記事で紹介する。

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(通常版)
●監督/樋口真嗣
●出演/三浦春馬、水原希子、本郷奏多、長谷川博己、三浦貴大ほか
●2015年、日本映画 ●本編98分
●Blu-ray ¥5,280、DVD ¥4,180 発売元:講談社 販売元:東宝
©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会 ©諫山創/講談社

編集KIM=編集長森田聖美 2024年よりフィガロジャポン編集長。フィガロ歴約30年。旅、ファッション、美容、カルチャーなど、現場時代はマルチで担当。多趣味だが、いちばん大切にしているのは映画観賞。格闘も好きでMMAなどよく観戦に行く。旅は基本的にひとりで行くのが好み。チミーグッズをこよなく愛する。

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