写真・文/坂本きよえ(在ミラノジャーナリスト)
イタリアは町や村により独自の標識が作られていることが多く、人によって解釈が異なったり、その村に住んでいなければ意味がわからない場合さえある。標識を自分なりに理解し、意味を想像するなんて信じられないが、それもこの国のおもしろいところだ。冗談ではないかと思うようなデザインや、笑わせるために作られたのかと思ってしまうものまで。イタリア人のラテン気質が現れているといっても過言ではない、選りすぐりの10点を紹介しよう。
標識は車を運転する人だけでなく、歩く人に訴える力もあるようだ。ローマ郊外にあるこの標識。「水牛に注意」なのだが「牛と戦うな、崖から落ちるぞ」ともとれる。
次は、まるで「宇宙船禁止」に見えるが……。とある公園の一部に立っている「駐車禁止(土曜と祝日を除く)」。場所が子どもの遊び場なので、土曜と祝日は宇宙船が着陸するからここで遊ばないように、みたいなユーモアであろうか。
これはロンバルディア郊外にある標識「カエルが道を横断するので、車はゆっくり走るようお願いします」。特に6月頃になると相当数のカエルが姿を現すらしい。
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これは少しビックリ、「売春婦に注意」。ミラノ警察に聞いたところ、夜は車から人の姿が見えにくいので、人身事故防止のための標識でもあるし、売春婦が突然道から出てきて驚く人もいるから置かれたのではないかと。つまり、ダブルの意味があるのではという回答だったが、警察ですらこんな説明しかできない。
これは標識がおかしいのでなく、鹿のマークなのに下に書かれた言葉は「猪に注意」であること。イタリア人のラテン気質がこの標識でもわかる。
次は最近よくミラノの街中で見かける標識。あまりにも電話を見ながら歩く人が多いのは万国共通だが、イタリア流の注意喚起は………?
車を運転する人に向けて「スマートフォーンを持って歩くゾンビに気を付けろ」。確かにこの絵を見るとゾンビに似ている。
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これら以外に、公共の交通標識にストリートアーティストがデザインを描き加えてしまったものも多い。
本来の意味は日本と同じ「車両進入禁止」。イタリアでは、あまり危険でなければ、絵を描き加えられた標識もそのまま放置されている。
「一方通行」も、ピノッキオで有名な国ならではのセンスのある一点に。なかなか可愛い。
確かに重そうに見える……。
車両通行止めが「ここで小便をするな」に!? 人間は左へ、犬は右へ行って用を足すように?
イタリア中探せばもっともっとあるであろう、おもしろ標識。イタリアへ来た時はぜひ、標識に目を向けながら歩いてみて。笑えるものに多く出会えるはずだ。
photos et texte : KIYOE SAKAMOTO