現地時間2月2日に開催された第67回グラミー賞授賞式でのパフォーマンスで、ヒット曲「バーズ・オブ・ア・フェザー」を透き通った声で歌い上げて大喝采を浴びたビリー・アイリッシュ。
この時に彼女がかぶっていたLAドジャーズのキャップのサイドにあった、ユニオンジャックが付いた小さなタグに気付いた人も多かったはず。これをきっかけに、このタグのメーカーであるイングランド北部ヨークシャー州のテキスタイル会社エイブラハム・ムーン&サンズ(以下ムーン)が改めて大きな注目を集めている。
このキャップはムーンと、アメリカのスポーツブランド、ニューエラのコラボレーションによるもの。
ムーンはヴィクトリア女王が即位した年でもある1837年に創立した老舗メーカーだ。現在はイギリスに残っている数少ないウールの織物工場の一つを持ち、染めから織りまで全ての工程を自社で手がけて衣服やインテリアに使われる最高級のファブリックを生産している。


バーバリー、ラルフ・ローレン、ポール・スミスなどを筆頭に、数多くのハイエンドブランドもムーンのテキスタイルを長年使用しているという。


「伝統あるウール地がこうして現代的に使用されているのを見て、とても喜ばしく感じています」とムーンのブランド&プロダクトディレクター、ジョー・マッキャン氏はBBCを通してコメントしている。
また「多くの人が憧れるアーティストが、こうして私たちの製品を身につけているのを見るのはとても嬉しく素敵なサプライズです。ビリーのような影響力を持つ人物が使用してくれたことは、何事にも変え難いパワーにもなります」と喜びを語っている。
1月に起きた大火災で深刻な被害を受けたロサンゼルスへの支援と敬意を全面的に打ち出して、例年以上に感動の受賞シーンやパフォーマンス、名スピーチで沸いていた今年のグラミー賞授賞式。真摯に上質な品を作り続ける伝統あるメーカーを改めて知る良い機会ともなっていた。
https://www.moons.co.uk
photography: Courtesy of Abraham Moon & Sons, getty images

在イギリスライター。憂鬱な雨も、寒くて暗い冬も、短い夏も。パンクな音楽も、エッジィなファッションも、ダークなアートも。脂っこいフィッシュ&チップスも、エレガントなアフタヌーンティーも。ただただ、いろんなイギリスが好き。