ローランス・ニコラCEOが語る、バカラの美しきサヴォワールフェール。【仕事が私にくれたもの】

Society & Business

ひとりの天才ではなく、職人の集合体で作る美。

ローランス・ニコラ/Laurence Nicolas
バカラCEO
マダガスカル生まれ、サブサハラ・アフリカ育ち。ディオールやカルティエなどのメゾンで経験を積み、ラグジュアリー業界で30年以上のキャリアを持つ。2018年よりバカラに加わり、25年にCEO就任。

1764年、フランス・ロレーヌ地方で創業されたバカラは、長い歴史を経てもなお、揺るぎない核を持つ老舗。その舵取りを2025年から担うのがローランス・ニコラCEOだ。

「メゾン創立260年を経ても変わらないのは、厳格さと卓越性の追求、そして職人が受け継いできたサヴォワールフェールです。バカラのマニュファクチュールには何世代にもわたって働く家族も多い。伝統と素材への敬意はいまも昔も変わりません。その一方で、私たちは常に新機軸を取り入れてきました。屋外や旅先でも使えるランプやグラスなど、用途の領域を広げたい。伝統的なアイコンを現代に適応させることが私たちにとっての“進化”。ひとりの天才ではなく、職人たちの集合体で成立する美によって築かれてきたメゾンである、ということです」

左:1841年の発表以来、世界中の著名人からも愛されているバカラの象徴的なグラス。美しいクリスタルの質感が堪能できるずっしりとしたフォルムも特徴。「アルクール」¥38,500 右:メゾンのアイコンである「アルクール」のグラスが着想源となったキャンドル¥23,100/ともにバカラ

その革新はビジネス領域の拡張にも及んでいる。03年オープンの東京のB barを起点に、ホテルやレストランへと展開し、メゾンの体験価値を高めてきた。それは単なる製品を超えた、“アールドゥヴィーヴル”の提案でもある。

「バカラはおもてなしの文化と密接に繋がる製品を扱うメゾン。だからこそホテルやバーを我々が手がけることはとても意味のあることですし、本当にワクワクします」

エルメスの広告なども手がけている人気フォトグラファーのコト・ボロフォがダンサーをモデルに撮影した躍動感あふれる最新の広告キャンペーン。

さらに次世代への伝統の継承にも注力する彼女は「若い職人たちには、日中に技術を学びながら、夜はマニュファクチュールで自らの創作に打ち込める環境を整えています」と語る。

そして、最新の広告キャンペーンでは、エネルギーや感情、コレクティブの精神を表現。日常の中に小さな贅沢を見いだすことこそが、メゾンが提示し続ける豊かさの形であることは今後も変わらない。

問い合わせ先

バカラショップ 丸の内
03-5223-8868
https://www.baccarat.com/ja_jp/

  • text: Tomoko Kawakami

*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋