日本のジュエラー7名を紹介する『日本、ささやきと素材』展、パリで開催。
3年に一度開催される現代ジュエリーのトリエンナーレであるParcours Bijouxが10月1日から31日までパリ市内のギャラリーや美術館などで開催される。フランスおよび海外のコンテンポラリー・ジュエリーがパリに集合するのだ。その一環として、10月2日から6日までパリのSotheby’sで『Japon, Murmures et Matières』展が開催される。これはジュエリー・ジャーナリストとして、またメディアThe French Jewelry Postの創立者として活動するSandrine Merle(サンドリーヌ・メルル@sandrinemerle)がキュレーターを務める展覧会である。彼女は日本に何度か足を運び、東京のみならず地方も含めて大勢のジュエリークリエイターたちに出会い、アトリエを訪問し、彼らと交流を深めていった。その実りがこの展覧会だ。
その企画・制作について彼女はこう語っている。「日本のコンテンポラリー・ジュエラーを網羅するつもりはありませんでした。静謐な強さ、素材との深いつながり、そしてジュエリーの可能性についての私たちに新しい視点を与える力を持つ作品を生み出す7名のアーティストを集めて紹介する展覧会なのです。仕草、素材、時間の変容、そして作品が持つ感情的なエネルギーから生まれる価値を見ることができます」

その7名とは、Shinji Nakaba(中場信次)、Aya Iwata(岩田綾)、Manami Aoki(青木愛実)、Mariko Sumioka(住岡真理子)、Fumiki Taguchi(田口史樹)、Takashi Kojima(小嶋崇嗣)、Kimiaki Kageyama(影山公章)である。ジュエラーであり、職人であり、アーティストと呼べる彼ら。日本では見られない一味異なる展覧会と言えそうだ。宝飾ジャーナリストとして30年のキャリアを持つ彼女が、日本のジュエリーの歴史に向ける視線は興味深いものがある。日本の宝飾品は長いこと文化的要素として存在せず、他国のように権力、富、家柄の象徴としての役割を果たしていないとサンドリーヌは指摘。そして、この歴史的な空白こそが現代日本のジュエリーの独自性の所以で、象徴的な束縛のないためにジュエリーは自律的形態、瞑想のオブジェ、手と物質と体が出会う場所としてクリエイトされる、と。「輝き、希少性、市場価値といった西洋における宝飾のコードにこだわっていては、これらの作品の真の力強さを見失ってしまいます」。素材がこの展覧会の出発点。漆、絹、木、植物繊維、メタル……展示作品を介して、侘び寂び、間、職人といった日本の美意識における幾つかの基本的な概念を来場者に見せるのも彼女の狙いだ。
中場信次(@shinji_nakaba)

岩田綾(@silverandenamel)

青木愛実(@manami_aoki_jewellery)

住岡真理子(@marikosumioka)

田口史樹(@fumikitaguchi)

小嶋崇嗣(@takashi_kojima)

影山公章(@kimiaki_kageyama)

オークションハウスのサザビーズで開催とはいえ、これはジュエリーの競売ではなく、エキシビジョンである。10月1日には中場信次、岩田綾、住岡真理子をゲストに迎えて、サンドリーヌ・メルルが進行役を務めるカンファレンスが行われる(予約制)。サザビーズの宝飾部門ディレクターであるマガリ・テセールも参加。フランス人であるサンドリーヌの眼が選んだ日本人7名による匠の技を秘めた力強いコンテンポラリー・ジュエリーがどのようにフランス人の関心を惹きつけるのか、楽しみな展覧会だ。
『Japon, Murmures et Matières』展
2026年10月2日~6日
Sotheby’s Paris
83, rue du Faubourg Saint Honoré
75008 Paris
開)10:00〜18:00(月〜金)、11:00〜18:00(土)、14:00〜18:00(日)
★Google Map