クリームとお城と馬の街、シャンティイ。お宿はオーベルジュ・デュ・ジュ・ドゥ・ポーム。

Paris

パリの北駅から列車に乗って25分で着くシャンティイ(下車駅Chantilly-Gouvieux)。長いことエルメスがスボンサーを務めていた競馬レースのディアヌ杯で知られる街であり、コンデ美術館を擁するシャンティイ城がある街だ。パリから約50kmの距離なので日帰りも可能な場所だけれど、休息を兼ねた観光の旅として1泊するのがおすすめである。駅からタクシーで5分くらいで到着する、ルレ・エ・シャトーの5ツ星ホテルの「Auberge du Jeu de Paume(オーベルジュ・デュ・ジュ・ドゥ・ポーム)」に滞在してみよう。ヴァルモンのスパあり、ガストロノミーレストランあり、ビストロあり、バーありで1泊では味わい尽くせないほどの楽しみが待っている。おこもり旅行にもぴったりのホテルと言って良さそうだ。

シャンティイ城。
城に隣接しているオーベルジュ・デュ・ジュ・ドゥ・ポーム。右に見える門の先にシャトーがある。

まるでシャトーの一室で眠るように……

ここはシャンティイ城に隣接している唯一のホテルで、城の入り口まで10分の場所にある。もともとシャトーの庭だった土地に建てられた建物で、かつてはシャンティイの警察署、そして女子生徒の寮だったという。そのファサードは記念建造物指定されていて、2012年にオーベルジュ・デュ・ジュ・ドゥ・ポームが創設されたのだ。創設時のオーナーの”シャンティイ城の訪問の延長のようなホテルを!”という意向が反映され、ホテル内はとてもエレガントだ。10タイプの客室はスイート25室を含む合計92室。ルレ・エ・シャトーの中でも大型のホテルで、それだけに部屋の広さも25平米から200平米とチョイスが幅広いのがうれしい。

ホテル内、シャトーが所有する絵画の複製が室内やパブリックスペースを飾っている。photography: Mariko Omura
ゆったりとした廊下が、シャトーさながらの贅沢感を感じさせる。室料はハイシーズンが450ユーロ~、ローシーズンが400ユーロ~。photography: Mariko Omura

内装は古典的なフレンチスタイルでまとめられ、部屋の扉を開くと18世紀の館のノーブルな雰囲気の中にすぐに旅立てるのだ。スイートルームによってはフランスのファブリックの老舗ピエール・フレイのトワル・ドゥ・ジューイが用いられている。ブルーやボルドー色の牧歌的光景。お隣のシャトーの室内で眠る気分ってこうだったのか?と夢を見させる。室内の家具はルイ15世スタイルで、いまもこの時代の家具を制作できるマニュファクチャーに製作が任されたそうだ。鏡はイタリアのムラノから、バスルームの大理石はイタリアのカッラーラ産と贅が尽されている。スイートルームのいくつかはシャンティイ城の広々とした庭に面していて、とても静か。そのテラスから眺める庭の広がりはとても美しく、心安らかな気分をもたらしてくれる。中でもスイート「ディアンヌ」とスイート「コンデ」はホテルの中でももっとも美しく贅沢なスイート。ゆったりとしたテラスからは、ルイ14世を羨ましがらせたという優美さをたたえたボーヴェの泉が見下ろせる。

スイート「ディアンヌ」のベッドルーム。
スイート「コンデ」のサロン。photography: Mariko Omura
スイート「コンデ」のバスルーム。アメニティはラリックだ。スイートルームは全室バスタブ付き。photography: Mariko Omura
シャトーの庭に面したスイート「コンデ」のテラス。眼下にはシャトーのボーヴェの泉が。photography: Mariko Omura

ガストロノミーレストランとビストロと

この部屋の雰囲気に浸って、のんびりと。ホテルから一歩も出ないで過ごす滞在を、タイプの異なる2つのレストランが可能にしてくれる。ひとつはガストロノミーレストランの「La Table du Connétable(ラ・ターブル・デュ・コネターブル)」。”大元帥の食卓”という意味で、connétable (大元帥)はシャンティイ城から町の広場まで続く道にも名前を残し、ホテルが面しているのもその通りだ。レストランの窓からの眺めはシャトーの庭、ボーヴェの泉……まるでシャンティイ城で食事をしているよう。クラシックな家具でまとめたインテリアもそれに合わせてとてもエレガント。壁にはシャンティイ城にオリジナルのある食事をテーマにした絵画の複製が2点飾られている。1点は牡蠣とシャンパンの昼食の光景で、ポンと宙に飛んだドン ペリニヨンの栓を眺める人々が描かれた「牡蠣のランチ」で、もう1点はハムのある食事光景の絵画だ。

ラ・ターブル・デュ・コネターブルはディナーのみの営業。水~土曜19時~21時30分。photography: Mariko Omura

食卓の位置皿は白のビスキュイで梅が浮き彫りされ、花のいくつかはゴールドに彩られている。これから始まる食事への期待を膨らませる優しく繊細なお皿だ。シェフはビストロも担当しているクレモン・ル・ノルシー。このガストロノミー・レストランで、彼は厳選した近郊の食材を斬新な組み合わせやソースでサプライズをクリエイションしている。メニューは季節で変わり、たとえば秋にはシャンティイで採れたビーツをさまざまな方法で調理し、それにチーズのプティシュイスのムースやミレジメの酒のソルベ、柑橘類のグリルなどテクスチャーの異なる要素をミックスして赤い色彩の綺麗なひと皿に仕上げていた。白身魚の付け合わせにはケールキャベツやコリアンダーの餃子といった、思いがけない添えだったり……。トウモロコシ粉やそば粉などパンのセレクションもおもしろく、それに合わせるのは樫の木のスモークバターである。オープンキッチンの向かいには6名掛けのターブル・ドゥ・シェフが設けられ、ここを予約することで7皿の特別メニューを味わうことができる。

シェフ、クレモン・ル・ノルシー。©️ilyaKAGAN @ilyafoodstories
ディナーの始まりはオシェトラ・キャビアと生クリーム、牡蠣とキウイのタルトなどのアミューズブーシュで。白にグリーンの葉が浮き彫りされたお皿がポエジーを添えている。
ロブスター。
長ネギ、ブラックレモン、ヨーグルトの組み合わせの仔羊。絶妙な火加減と濃縮のソースが印象に残るひと皿だ。
食事の最後はシャンパーニュ地方で作られるコワンのシードルでフレッシュに締めくくる。photography: Mariko Omura

ランチもディナーも取れるのは、シックなビストロの「Le jardin d’Hiver(ル・ジャルダン・ディヴェール)」で、こちらではシンプルなフランス料理を味えわる。宿泊客のためのビュッフェ朝食が用意されるのもこのビストロだ。ここでは壁のショーケースに飾られている青と白の陶器を見逃さないように。これらは18世紀にシャンティイにあった窯で王侯貴族のために焼かれていたシャンティイ陶磁器である。シャンティイ城内でもこの陶磁器にはコーナーが設けらているほどの希少な品なのだ。

壁に白とブルーのシャンティイ陶磁器が飾られているル・ジャルダン・ディヴェール。ブルーグレーでまとめられたシックなビストロだ。photography: Mariko Omura
ビストロの広いパティオにも席が設けられ、陽気が良い時期には快適な食事スペースとなる。
月曜から金曜のランチメニューは前菜+メインまたはメイン+カフェ・シャンティイで39ユーロ。営業は12時(土日12時30分)~14時、19時~21時(金土~21時30分)。朝食は7時~10時(週末7時30分~10時30分)。photography: Mariko Omura

夕方や食後の時間に赴きたいのは1階のラウンジ・バー。居心地の良い空間で、ゆったりとした時間が約束されている。朝10時から深夜1時までの営業なので、滞在中、何度でも足を運んでしまうかもしれない。ランチ前のお茶、ランチ後のティータイム、夕方のアペリティフ、ディナーの後の……と、口実はいろいろに。

ラウンジ・バー。

地下のスパで過ごす半日

おこもり滞在をより充実させてくれるのは、地下1階に600平米の広がりを持つスパだろう。宿泊者は7時から22時の間、自由に利用できるプール、ジャクジー、ハマム、サウナ、そしてフィットネスルーム。ここではヴァルモンのフェイシャルケアとボディートリートメント、Maison Caulières(メゾン・コリエール)のボディマッサージという豊富なメニューが待っている。欲張りをしてフェイシャルもボディもプロの手に思いっきり身を任せてリラックスの時を過ごすのもいい。ヴァルモンは日本でもおなじみのブランドだけれど、このスパには”女性騎手”なるスポーツ・ボティマッサージがあるのが馬の町と呼ばれるシャンティイらしい。さて、メゾン・コリエールの名前はまだ知らない人も多いのでは? ロワール地方で250年も前から製造を続けているオイルの老舗である。スパのマッサージはリラックス系、トニック系など4タイプの中から選んだオイルで行われる。どれも98%が自然素材の軽いオイル。気に入ったらスパで購入も可能だ。

ジャクジーとプール。宿泊客は7時から22時まで利用できる。
メゾン・コリエールのオイル。マッサージには4種から1つを選ぶ。photography: Mariko Omura
トリートメントルームは5室。ふたり一緒に施行を受けられる部屋もある。

Auberge du Jeu de Paume
4, rue du Connétable
60500 Chantilly
www.aubergedujeudepaumechantilly.fr

 

editing: Mariko Omura

この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/paris/250124-chantilly-01.html