ストレス解消や免疫力にも◎！ 笑うことの効能とは？

笑うことは精神的にも身体的にも良い影響を及ぼすと説くのは、フランス国立科学研究センターで研究部長を務める神経心理学者、シルヴィ・ショクロン。その多岐にわたる効能を知れば、もっと笑うことを意識して日々を送りたくなるはず。

どうして人は笑うのか？
「基本的には驚きがもたらす結果です。脳は危険から守るセンサーを搭載していますが、異常を検知しながらも大した異常ではない場合、大脳辺縁系が活性化し、一連の筋肉反応を引き起こし、笑いにいたります。この大脳辺縁系は記憶や恐怖など他の情動反応にも関わっていて、おもしろい映画を観たり物語を読んだりすると、報酬系や快楽系に関わる神経回路の領域も活性化されます」

笑うコツ
「笑おうと思ってもすぐ笑えない人もいます。でも記憶の中からおもしろかったことを見つけることはできるはず。おもしろいと思うものを見つけ、涙が出るまでゲラゲラ笑ってもいいと考えましょう。完全に自分を解放する時間をつくってください。そして、とても大切なことは、大失敗しても自分を笑い飛ばす術を身に付けることです」

微笑むだけでもいい
「ただ笑顔をつくるだけでも幸せな気分になれます。微笑みがもたらす筋肉の収縮で『自分は満足している』と感じるのです。ドイツのマンハイム大学の研究で、物理的に笑顔をつくれないようにした人は、同じものを見ても『おもしろくない』と判断する傾向にありました。ですから、顔の下部を固定してしまうような美容整形にはくれぐれもご注意を」

---fadeinpager---

笑いの効能

【 記憶力アップ 】
笑顔で笑いながら知識を得たほうがモチベーションが高まります。そしてモチベーションと記憶は、共通の神経回路網を持つことがわかっていて、笑いは記憶の定着を促進します。また、笑いは睡眠、記憶、注意、共感といった認知領域全体と相互作用があるようで、予備的な研究段階ですが、愉快な動画を見ることで高齢者の短期記憶障害が有意に改善される可能性があります。

【 集中力アップ 】
仕事の合間のコーヒーブレイクで、同僚と雑談しながら笑うことはとても大切です。笑いは結束力を高め、人間同士の距離を縮めます。コロナ禍のロックダウン中、いちばん足りなかったのは笑いでした。相手がどこを見ているのかわからないオンライン会議で冗談を言うのはとても難しい。でも、そこで冗談を言っても時間の無駄にはなりません。本当は、笑いが集中力とモチベーションを高めることができるからです。

【 免疫力アップ 】
笑うと脳が刺激され、前向きな気分になる。その結果として免疫力が高まり、循環器系が強くなることなどがわかっています。

【 鎮痛作用 】
入院患者に愉快な動画を見せると鎮痛剤の使用量を減らせる効果があることがわかっています。

【 ダイエット効果 】
笑うと顔からお腹まで約400もの筋肉が使われます。これは膨大な量の筋肉で、その場でジョギングしているようなもの。10～15分笑うだけで、最大40キロカロリーを消費します。また、笑いは呼吸を深めると同時に肉体的なエネルギーを解放します。心臓の鼓動が早くなり、筋肉が動き出します。やがて動きが遅くなり、ゆっくりと伸びをするとリラックスしたひとときを感じられる。ひとしきり笑うと45～60分のリラックスになります。

【 ストレス解消 】
笑うと幸せホルモンであるドーパミン、β-エンドルフィンなどが増え、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールが減ることが、実験で明らかになっています。笑うことは、チョコレートを食べた時と同じ脳内快楽物質の受容体を活性化します。

---fadeinpager---

歯は定期的にメンテナンス。

明るくツヤのある歯で思い切り笑いたい。だからといって肌色や質感に合わない白さや噛み合わせを無視した審美治療は本末転倒。約3カ月に1度のクリーニングで、歯の着色やザラつきも取れてぱっと明るく。それ以上に、毎日の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石を除去することで、虫歯や歯周病を未然に防ぐことができる。おいしいものを味わい、その栄養をすべて身体に取り入れるためにも、歯のメンテナンスは欠かさずに。

＊「フィガロジャポン」2023年3月号より抜粋