美とウェルビーイングのトレンドを知る。フランス流、フィールグッドとは?
Beauty 2025.04.20
"フィールグッド"は、フランス版「マダムフィガロ」が2022年に始めた、美とウェルビーイングのプロジェクト。そのコンセプトに基づくモノ選びやケア方法、読者との関わり、またフランスの最新トレンドについて、ビューティエディターのジュスティーヌ・フートリーに聞いた。

photography: Matias Indjic
ジュスティーヌ・フートリー
Justine Feutry
「マダムフィガロ」ビューティエディター
ウェブの編集部から2019年異動。22年よりフィールグッドのプロジェクトに携わる。
「私たちが考える"フィールグッド"、それは幸福感であり、自分自身が気持ち良く、自分らしくいられること。ウェルビーイングに関係するすべてのことをうまく組み合わせること。つまり、食事、栄養、スポーツなど、日々の幸福に貢献するすべての活動です。ロックダウンをきっかけに、私たちは自宅で自分へのご褒美を求めるようになり、安心感を与えるテクスチャーや香りといった感覚面が重要になった。このプロジェクトは、ロックダウン後の読者とブランドとの繋がりを取り戻す必要性に立ち返ったもの。フィールグッド エクスペリエンスのイベントでは、有名なブランドや長い間一緒に仕事をしているブランド、新進気鋭の小さなブランドにもスポットを当て、"体験"を提供しています。読者からは新しいブランドを発見する喜び、専門家に出会う喜び、新しいルーティンを学ぶ喜びの声が返ってくる。いずれウェブサイト上でコミュニティも作りたいと思っています。さらに、フィールグッドエスケープも始めました。少人数の読者を特別な場所に連れていくリトリートです。適切な講師が同行して、真にホリスティックなオーダーメイドのプログラムを提供します。毎年、フィールグッド賞も行っています。新しい切り口やアプローチがあるか、使用した時に最も良い効果をもたらすのはどの製品なのか、という視点でブランドとその商品を表彰するものです」
L'Expérience Feel Good
2024年11月、第2回となるイベントでは、約30のブランドと専門家を招き、読者に向けてビューティ&ウェルビーイングに関するトリートメント体験やトークセッション、ワークショップなどを開催。photography: Saywho/Jean Picon
L'Echapée Feel Good
2025年2月、ロクシタンとともに南仏・プロヴァンス地方にあるミニム修道院を改装したホテルで3日間のリトリートツアーを催行。約15人の読者がピラティスや美容、食のクラスなどのプログラムを体験した。photography: Valentin Chalandon
---fadeinpager---
いまパリで注目している、フレンチスタイルのフィールグッドなものとは?
「一時期、スキンケアは無香料が流行ったけれど、香りやテクスチャー、成分が脳にどのような影響を与えるかという神経科学の研究が盛んで、ヌラエはそれをもとに開発されました。歴史がありながら進化して、いまもなお安心できる製品を提供しているブランド、たとえばゲランやクラランスは自然由来成分でメイクアイテムを開発。自身のDNAと価値観を守りながら、センシュアルな面や香りなどでも進化を続けています。一方、新しい小さなブランドもたくさん生まれていて、ナチュラルであることも非常に重要視されている。肌だけでなく身体にも良い成分、製品であることがウェルビーイングと関係するからです。必ずしもオーガニックである必要はありませんが、本当にクリーンな成分で安心できることが大事。医薬品的な側面に基づいたペルスやミメティークは、本当に有望株です。個人的に応援しているのは、ナチュラルな成分でネイルケアを提供するマニキュリストとキュアバザーですね」
NEURAÉ ヌラエ
シスレーグループの神経科学に基づく新ブランド。感情と肌状態の関係に着目し、成分、香り、テクスチャーを開発。美容液と3 種のクリーム、ロールオンフレグランスを組み合わせる。左から、joie L'Émulsion Euphorisante&Éclat 50ml 130ユーロ、énergie Le Booster d'Émotion 6.5ml 50ユーロ https://www.neurae.com/
PERS ペルス
保護、強化、修復、促進、4つのアクションで設計されたドクターコスメ。ジェル状なのにベルベットテクスチャーのUVケア。Protection SPF 50+ en Gelée 40ml 44ユーロ https://pers-skincare.com/
MIMÉTIQUE ミメティーク
元薬剤師の女性によるブランド。独自の複合成分を開発し、肌の潜在能力を引き出す。クレンジングとブースターオイル。左から、SkinCloud 100ml 36.67ユーロ、SkinBooster 30ml 45.83ユーロ https://mimetique.com/
---fadeinpager---
パリの新しいビューティアドレスはどんなところだろう?
「流行に敏感な女性たちがこぞって通っているのが、マシンを使うリフォーマー・ピラティス。新しいスタジオがたくさんできています。また、マイブレンドが赤外線LEDマスクを発売して話題になりましたが、そのマスクを試しながらコラーゲンドリンクが飲めるル・48コラジェン・カフェがオープン。赤外線LEDには幸福感を高める効果もあるとか。髪と頭皮のエイジングケアにもなると、タリカはキャップに内蔵して発表しました。大きなブランドのメゾン(=隠れ家)の安心感も変わらずあります。たとえばカリタやシスレー、新しいブランドだとオルヴェダなど。トリートメントが受けられ、コクーンのように居心地がいい、フランスらしいビューティの場です」
The New Me ザ・ニュー・ミー
パリだけでなくフランス国内で展開するピラティススタジオ。マシンのあるスタジオはパリ市内に10軒ある(写真は17区)。1レッスン50分30ユーロ~ https://thenewmeparis.com/
Le 48 Collagen Café ル・48コラジェン・カフェ
さまざまなコラーゲンドリンクを用意。カフェの席に設置されたLEDマスクを気軽に試せる。赤外線LED12分+ドリンクで25ユーロなど。 https://www.48collagencafe.com/
TALIKA タリカ
まつ毛ケアで定評のあるブランドから登場したキャップには、赤色LEDを120個内蔵。抜け毛を防ぎ健やかな髪を育む。Hair Force LED Cap 490ユーロ https://talika.fr/
ORVEDA MAISON PARIS オルヴェダ・メゾン・パリ
2017年にランコムの元社長が立ち上げたバイオテクノロジーによる成分を使用したスキンケア。パリ6区サンシュルピスでトリートメントが受けられる。「Glow is the New Lift」60分250ユーロ~ https://eu.orveda.com/pages/maison-paris
16種の有効成分を24%濃縮して配合した美容液。Le Concentré Omnipotent 30ml 475ユーロ
日本でも、そんな"フィールグッド"に基づいたフランスメイドのコスメに出合うことも、メゾンでの体験もできる。
「美はウェルビーイングに不可欠な要素。さらにその境界線を越えて、日常が麗しくなるような、ポジティブな感情や幸福感を生み出すホリスティックな美容がますます求められていくでしょう」
"Bien dans sa Peau"(自分の肌が心地いい)を感じられるモノや場所をチェックして!
*「フィガロジャポン」2025年5月号より抜粋
photography: Shinsuke Sato