ひょうひょうとした死生観に救われる。
『猫だましい』

ハルノ宵子著 幻冬舎刊 ¥1,650
大腸がんのステージ4を告知された帰り道に生ビールを2杯。ひょうひょうと病気と渡り合う著者に闘病記の湿っぽさはない。
乳がんで片方の乳房を取って5年。父親で思想家の吉本隆明を介護し、看取り、母親もまた自分を貫いて逝った。妹で作家の吉本ばななから猫界のマザーテレサと言われるくらい、たくさんの猫の世話をして看取ってきた実感が、自分の命を見つめる眼差しを無頼にする。短い生をまっとうした猫が教えてくれた死生観に救われる。
*「フィガロジャポン」2021年2月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI
この記事の元URL: https://madamefigaro.jp/culture/210129-livre-02.html