デビュー作目白押し。ニューヨークやノルウェーから開花した才能に注目!
ロック界の歌姫ジュリア・カミングのソロデビュー、元ブラック・ミディのベーシスト キャメロン・ピクトンによるニューバンド結成、ノルウェーのシンガーソングライター オーロラ×英国のレジェンド トム・ローランズの新ユニットなど、音楽界にあたらしい動きが加速中。そんな3枚の個性的で力強いサウンドを紹介。
作家性をアピールした、ニューヨークの歌姫。
『ジュリア』
ジュリア・カミング

冒頭の切ないポップチューン「My Life」でいきなりノックアウト。ニューヨークのロックトリオ、サンフラワー・ビーンのボーカリストによる待望のソロデビュー作は、彼女の声を最大限に生かしたオーソドックスな印象のアルバムだ。インディシーンの腕利きミュージシャンのサポートによるバンドサウンドが絶妙だが、何よりもバート・バカラックやキャロル・キングなどにインスピレーションを受けたというメロディアスな楽曲のクオリティに驚かされる。エバーグリーンな響きを感じさせる傑作だ。
感情を揺さぶるような、チェンバーポップ。
『マイ・ニュー・バンド・ビリーヴ』
マイ・ニュー・バンド・ビリーヴ

ギターにピアノ、そして有機的にざわめく一風変わったストリングスアレンジ。アコースティックな楽器を生かしたシアトリカルなポップソング集を作り上げたのは、元ブラック・ミディのベーシスト、キャメロン・ピクトンによるニューバンドだ。まるで吟遊詩人が歌う古風な楽曲群のように見せかけながら、油断していると音楽の森の迷宮に連れていかれそうになってしまう。アヴァンギャルドなアレンジでエモーショナルに仕上げた個性的なロックでありつつ、スタンダードな薫りを漂わせる技に魅了される。
電子音が飛び交う、未知なる音楽の扉。
『カム・クローサー』
トモーラ

フォークからエレポップまで操り、アニメやゲームとも親和性が高いノルウェーのシンガーソングライターであるオーロラ。ケミカル・ブラザーズの一員としてシーンに多大な影響を与えてきた鬼才トム・ローランズ。このふたりが新たに始めたプロジェクトがようやく全貌を現した。神秘的かつ壮大なエレクトロニックサウンドに包まれているかのように、透明感に満ちた歌声が天から聞こえてくる。浮遊感を保ちながらも、時には激しいビートを差し込んでくるが、凛とした力強いボーカルとの融合は圧倒的だ。
- text: Hitoshi Kurimoto
*「フィガロジャポン」2026年6月号より抜粋