「ソウルメイト」は運命か、それとも……。磯村勇斗×オク・テギョンが語るその答えとふたりの関係。【Netflix】

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翻弄され、戸惑い、苦しむのが愛だとするならば、些細な出来事に胸を躍らせ、日々を静かな喜びで満たしてくれるのもまた愛だ。Netflixシリーズ「ソウルメイト」は、親友の人生を壊してしまったことをきっかけにすべてを捨てて日本を去った鳴滝琉(磯村勇斗)と、過酷な人生を生き延びてきたボクサー、ファン・ヨハン(オク・テギョン)がベルリンで出会い、10年の歳月をかけて特別な絆を育んでいく物語。

(写真は仮)
Hayato Isomura
/1992年生まれ、静岡県出身。テレビドラマ「仮面ライダーゴースト」(15〜16年/EX)で頭角を現し、その後、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17年)でヒロインの夫役を演じて脚光を浴びる。映画『ヤクザと家族 The Family』、『劇場版きのう何食べた?』で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、映画「月」で第47回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。また、第97回キネマ旬報ベスト・テンで助演男優賞、2024年エランドール賞を受賞。近年の出演作には「今際の国のアリス シーズン2&3」(Netflix)、「不適切にもほどがある!」(TBS)、「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS)、「僕達はまだその星の校則を知らない」(CX系)などがある。主演映画『mentor』が2026年10月16日公開。

Ok Taecyeon/1988年生まれ、韓国出身。2008年、2PMのメンバーとしてデビュー。近年は俳優としても活動の幅を広げ、国内外で活躍。ドラマ「キスして幽霊!」(16年)、「ザ・ゲーム〜午前0時:愛の鎮魂歌〜」(20年)などで着実にキャリアを重ね、「ヴィンチェンツォ」(21年)が大きな話題となる。その後「ブラインド」(22年)、「ハートビート」(23年)、「主役の初夜、私が奪っちゃいました」(25年)などに出演し、ジャンルを問わず存在感を発揮。確かな演技力が評価され、KBS演技大賞優秀演技賞を受賞するなど俳優としての地位を確立。映画では『時間回廊の殺人』(17年)、『ハンサン ―龍の出現―』(22年)、そして『グランメゾン・パリ』(24年)で日本作品への出演も果たし、俳優としてグローバルに活動の場を広げている。

 

ベルリン、ソウル、東京の三都市を行き来しながら、ふたりの魂はすれ違い、惹かれ合い、やがて深く絡み合っていく。その関係は恋愛や友情といったひと言では言い表せない。だからこそ問われるのは、「愛とは何か」。本作に向き合った俳優・磯村勇斗とオク・テギョンは、その問いにどう答えたのか。まるでソウルメイトのように呼吸を合わせたふたりの言葉を届ける。

――ソウルメイト」のオファーを受けたとき、脚本のどこに惹かれてこの役を演じたいと思ったのかを教えてください。

磯村勇斗(以下、磯村) まず惹かれたのは、鳴滝琉とファン・ヨハンの10年を描くという点です。10年という時間をひとりの役として生きるのは、朝ドラや大河ではあったとしても、全8話のNetflix作品でこの密度で描くのはなかなかできない体験だと思って。自分にとっても未知の感覚になるだろうと感じました。それに加え、台本を読んだ時に感じた余白です。セリフの外にある時間や感情が丁寧に描かれていて、僕自身、もともとそのような脚本が好きなんです。橋爪(・駿輝/監督&脚本)さんの作家性に惹かれました。鳴滝琉という人物も自分にとって新しいキャラクターでしたし、この10年を演じること自体にワクワクしました。もう本当にそれに尽きます。シンプルに惚れました。

オク・テギョン(以下、オク) 最初に台本を読んだ時に感じたのは、物語と登場人物の多様性でした。「愛」とひと言で言っても、恋人同士の愛、家族愛、友情など、さまざまな形がありますが、それらが多角的に描かれていると感じました。また、キャラクターを断片的に切り取るのではなく、それぞれが抱える傷や、それがどう癒やされていくのか、誰かにどう救われていくのかが丁寧に描かれている。人間の内面にある繊細なニュアンスを美しく表現している作品だと思い、強く惹かれました。

――10年という時間を限られたエピソードの中で描く難しさもあったと思いますが、印象に残っている演出や、ご自身で意識したことはありますか?

磯村 どうしても空白の時間はあります。ですが、ベルリンで初めて出会った時と再会した時で時間は経っていても、僕らの中での“最初の印象”は変わっていないと思っていて。時間が経っても、ふたりの間に流れている魂のようなものは変わらないんじゃないかと。なので、その気持ちを軸に、10年を表現したいと思っていました。監督も同じ思いで演出をしてくださっていたので、特に最初と最後は大切にしました。

オク 感情の面では、出会った時も最後も「ソウルメイトだ」という気持ちは変わっていなかったと思います。なので、琉に対する感情は大きく変化していないと感じていました。一方で、監督からは細かい指示もありました。たとえばヨハンの日本語は、最初はあえてつたない感じにしてほしいと。「上手すぎるから崩してほしい」と言われたので、日本語のレベルを調整しました。

――なるほど、あのちょっとつたない感じの日本語はお芝居だったんですね。

オク そうです。お芝居で少し下手に喋りました(笑)。

――劇中では琉も韓国語を学んでいる描写がありましたが、実際に磯村さんも韓国語を学ばれたのですか?

磯村 撮影前に多少は勉強していたのですが、テギョンさんの日本語があまりにも上手すぎたので、「もう日本語でいいや!」と思ってしまい、甘えてしまいました(笑)。

――共演を通じて、お互いにどんな印象を持ちましたか?

磯村 テギョンさんは本当にポジティブで、現場でも常に明るい方でした。それがヨハンのキャラクターとも重なっていて、もともとの大胆さや豪快さが役にも活きていると感じました。自分はヨハンがいたからメンタルを保てた部分もあり、隣で明るくいてくれる存在に支えられていました。また、切り替えがすごく早いんです。どんなに感情的なシーンでもスッと入れる。その潔さは自分にはない感覚で、かっこいいなと思っていました。

オク 磯村さんはとても繊細なお芝居をされる方で、性格も落ち着いていて、大きな刺激を受けました。僕は現場を明るくしようとして、時にやりすぎてしまうこともあるんですが、磯村さんを見て、シリアスな場面ではより集中しようと考えるようになりました。
その繊細さは本当に羨ましいですし、僕が思い切って演じられたのも、すべて受け止めてくれる安心感があったからだと思います。

――役の中で共感できる部分と、共感できない部分は?

磯村 共感できない部分は「逃げる」というところです。鳴滝琉のいちばん大事な部分であり、物語の核でもある重要な要素ですが、僕自身はどちらかというと立ち向かうタイプで、逃げることをしてこなかったので。ですが、こうやって逃げる人物は初めての出会いでもあったからこそ、多分魅力に感じたと思います。逃げることもひとつの強さだと思っていて。そこから離れる勇気でもある。共感はできなくても、彼の魅力として理解はできました。

テギョン 僕も同じくヨハンの「逃げる」という部分だと思います。ただヨハンの場合は、人生があまりにも過酷で、頼れる存在がいない。その環境は自分にはなかなか想像しきれません。もし自分が同じ状況に置かれたらどうなるのか分からない。そういう意味で完全には共感できないですが、その背景を含めて理解しようとしました。

――完成した作品ご覧になった感想を教えてください。

磯村
まず一瞬一瞬の画が本当に美しく切り取られていると感じました。景色も、琉とヨハンの会話も、そして新しい家族の形の描き方も含めて、「こういう関係もあるのかもしれない」と思わせてくれる。家族はこうあるべき、という固定観念を優しくほどいてくれる作品だと思いますし、観る人の背中をそっと押してくれる、温かいドラマになっていると感じました。観ながら「自分のソウルメイトは誰だろう」と考えました。

――見つかりましたか?

磯村 テギョンさんです!

オク (笑)。この作品はこれまで出演してきた中でいちばんポエティックで、静かで美しい物語だと感じました。ただ同時に、とても人間的で、誰にでも起こりうる出来事を描いている。そのバランスが素晴らしい脚本だと思います。完成した作品を観ると、撮影時の印象とはまた違っていて、新しい発見もあり、とても興味深かったです。

――「ソウルメイト」とは、運命的に出会うものだと思いますか。それとも時間をかけて築かれていくものだと思いますか?

磯村 運命的なものだと思います。出会うべくして出会っているからこそ、ソウルメイトと呼ぶんじゃないかなと。ですが、その出会いの確率自体はかなり低いとは思いますが。僕は完全に運命だと思っていますし、築き上げていくものではないと感じています。

テギョン いま、磯村さんがおっしゃった「運命的」という考えには、ある意味ですごく共感します。ただ、ひと目で「この人がソウルメイトだ」と気付く、という意味での運命というよりは、一緒に過ごす時間の長さに関わらず、その中で「この人はソウルメイトかもしれない」と気付く、その瞬間自体がとても運命的なんじゃないかと思います。

――特に心に残っている「ジーンときた」シーンを教えてください。

磯村 たくさんありますが、特に琉の実家の縁側で、澄子(橋本愛)とヨハンと3人で話すシーンです。ヨハンが澄子に「一緒に住まないか」と言う場面で、そこから新しい家族の形が生まれていく。その始まりとして、とても印象的でした。

オク 琉とヨハン、相沢精一(古舘佑太郎)、澄子の4人で公園でフリスビーをするシーンです。そこで澄子がヨハンに「琉ちゃんをよろしくね」と言うんです。その後、ヨハンが琉のもとを離れる時に澄子に「あいつをよろしく」と返す。そのやり取りから、ふたりがどれだけ琉のことを思っているのか、同じ気持ちを共有しているのかが伝わってきて、とてもジーンとしました。

――直接的なラブシーンに頼らず、視線や間、会話の余白で関係性を描いていますよね。また、磯村さんはアイスホッケー、テギョンさんはボクサー役として、フィジカル面の準備も必要だったと思います。その中で、特に難しかった表現や、意識的に削ぎ落としたことがあれば教えてください。

磯村 アイスホッケーは本当に難しかったです。氷の上を滑ること自体、小学生の頃にスケートをして以来だったので、まずは滑るところから始め、本当に小鹿みたいな状態でした。一度は心が折れて、「これは無理だな」と思うほど大変で、「自分にもできないことがあるんだな」と感じるほどでした。ですが、そこから毎日練習を重ねて、最終的には自分で滑って止まって、パックも扱えるようにはなりました。やはり努力は大事だなと実感しましたし、本当に苦労しました。

――そんなご苦労があったんですね。そのわりには、アイスホッケーのシーンはかなりコンパクトな印象ですが。

磯村 そうなんです! そこだけは言いたいです。アイスホッケーのシーン、ちょっと切りすぎじゃないかと。まだ監督には言っていないのですが、ぜひ書いておいてください(笑)。

オク ボクシングをやったのは初めてだったので大変だとは思ったのですが、いま磯村さんの話を聞いたら、アイスホッケーに比べたらボクシングのほうが簡単だった気がしてきました(笑)。僕の場合は、ボクシングそのものよりも大変だったのは減量でした。役作りに加えて劇中の設定もあり、とにかく体重を落とさなければいけなかった。食事制限でご飯が食べられなかったことがいちばん辛かったです。

――おふたりは今回が初共演ですが、ベルリン、ソウル、東京と3都市にまたがる撮影の中で距離を縮めるために、撮影外で一緒に過ごした時間について教えてください。

磯村 ベルリンでは同じホテルに泊まっていて、ルーフトップにみんなで集まってご飯を食べたり、お酒を飲んだりしていました。テギョンさんがベルリンのテレビ塔にも連れて行ってくれました。東京タワーのような塔なのですが、その上にレストランがあり、「一緒に行こう」と誘ってくださって、そこで一緒に食事をしてお酒を飲んで、楽しい時間を過ごしました。

テギョン ホテルではいろいろ作りましたね。パスタとか。

磯村 お肉を焼いてくれたり、スーパーで牛骨を買ってきて、何十時間も煮込んだソルロンタンのようなスープを振舞ってくれたり。本当にさまざまな料理でもてなしてくれて、どれも本当においしかったです。

――この作品を経て、「愛」という言葉の捉え方に変化はありましたか?

磯村 愛の形は本当に自由だと思います。琉とヨハンのような関係性もあれば、澄子たちと一時的に家族のような関係になるのもひとつの愛ですし、もちろん家族の愛もある。どんな関係性にも「愛」という言葉は当てはまるのだと感じました。その一方で、「愛って何なんだろう」と改めて考えさせられましたし、もしかしたら簡単に使いすぎてはいけない言葉なのかもしれない、とも思ったりして。とはいえ、現場自体は本当に愛にあふれていました(笑)。

ジャケット¥299,000、シャツ¥113,000、パンツ¥94,000、シューズ¥73,000/以上ルメール(エドストローム オフィス) タンクトップ/スタイリスト私物

テギョン 今作の魅力のひとつは、いま磯村さんが言った多様な愛の形を描いているところだと思います。一般的には「愛」と聞くと恋愛を思い浮かべる方が多いと思いますが、この作品では家族愛や兄弟愛、恋人ではない第三者との関係性の中にある愛も丁寧に描かれています。ヨハンは親がいないので家族愛をあまり知らない人物ですが、琉の家族と出会うことで、親の愛に対するぎこちなさのようなものも表現しようとしていました。「愛」というひとつの言葉の中に、本当に多くの意味や形が含まれているということを、この作品を通して強く感じました。

Netflixシリーズ「ソウルメイト」
2026年5月14日(木)より世界独占配信
出演:磯村勇斗、オク・テギョン、橋本愛 、水上恒司、古舘佑太郎、イ・ジェイ、南果歩、三浦友和
監督・脚本:橋爪駿輝
主題歌:STUTS&butaji「Our Hearts ft.アイナ・ジ・エンド」
制作プロダクション:ROBOT
https://www.netflix.com/SoulMate

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  • photography: Daisuke Yamada styling: Tom Kasai(Isomura), Lee Hanwoog(Ok) hair & make: Tomokatsu Sato(Isomura), hair:Hong Seung(Ok) make:Kang Juri(Ok) Interview & text: Rieko Shibazaki