ベゾス元妻マッケンジー・スコット、大統領の「快楽」と「権力」を赤裸々に描く挑発作を発表。

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13年ぶりとなる新作を発表し、アメリカの慈善家マッケンジー・スコットが再びフィクションに挑戦した。『Last Days in Two Nations(原題)』と題されたディストピア小説で、文章やニュースレターを読者に直接届けるオンラインプラットフォーム「Substack(サブスタック)」で公開された。そこからは、何を着想の源にしたのかが見えてくる……。

マッケンジー・スコットが再び筆を執った。『Traps(原題)』を発表してから13年、ジェフ・ベゾスの元妻である彼女が、『Last Days in Two Nations (A History in Eighteen Minds)(原題)』で文学の世界に戻ってきた。これはディストピアを描いたフィクション作品で、スコットは出版社を介さず、ニュースレターを読者に配信するオンラインプラットフォーム「Substack」を通じて、連載形式で公開することを選んだ。第1章は8月8日にオンラインで公開され、その後、各エピソードが毎日配信されている。物語全編が公開されれば、作品は300ページを超えるとみられている。読者は、1カ月をかけて物語を少しずつ読み進めながら、その世界を知ることができる。

物語の舞台は、深く分断されたアメリカだ。国は「スティル・ユナイテッド・ステーツ(いまだに統一されたアメリカ)」と、「ダコタ・メンバーシップ」と呼ばれる独立領土に分断される一方、部分的にファシズム的な権力掌握によって、政治的な均衡が大きく揺らいでいく。作者は、複数の登場人物それぞれの視点を通して、危機の真っただ中にある社会を描き出している。そこでは、出来事が進むにつれて、力関係も変化していく。そして、この筋書きが現在のアメリカ社会を想起させることは容易に見て取れる。現実のアメリカもまた、深刻な政治的分断に加え、ますます権威主義的な言説が広がる状況に直面しているからだ。

ふたりの大統領と分断されたアメリカ

この小説の中心人物には、いささかスキャンダラスな人物像を持つふたりの指導者が登場する。1人目は、南アフリカ出身の外科医で、ダコタ・メンバーシップのラピッドシティで大統領になったデイミアン・パクストンだ。女性と権力、そしてあらゆる種類の快楽をこよなく愛する人物であり、同じく南アフリカ生まれの実業家、イーロン・マスクを連想させる部分もある。ただし、両者の類似点はそこまでだ。この億万長者が、この架空の大統領のモデルになったと直接断定できる根拠は何もない。

もうひとりの指導者は、「プレジデント・プリス」というあだ名で呼ばれ、その妄想やホワイトハウスでの私生活を通して描かれている。マッケンジー・スコットが公開した一節では、作家は、大統領が大統領官邸で性的な欲望を満たしてもらうことを望んでいる様子を描いている。意図的に挑発的に描かれたこの描写が、小説の風刺的なトーンを際立たせている。

しかし、作者が描くのは、このふたりの国家元首だけではない。物語には、さまざまな登場人物や予想外の状況が次々と登場する。そのうちの1人であるジョナは、生分解性の袋に入れたネズミを連れて、地雷の脅威にさらされた地域を通り抜ける。また、クリスマスの衣装を着た看護師たちが登場する番組の場面など、ほかのシーンも、作者が想像したこのアメリカの不条理さをさらに際立たせている。

文学の世界に戻って

現在では、その名前は書店よりも慈善活動と結びつけて語られることのほうが多いマッケンジー・スコットだが、彼女はもともと作家としてキャリアをスタートさせた。プリンストン大学で英文学とクリエイティブ・ライティングを学び、そこでトニ・モリスンの講義も受けている。後にノーベル文学賞を受賞することになるモリスンは、実際、スコットの才能を高く評価し、彼女の処女作となる小説のために推薦文を書いている。

2005年、彼女は『The Testing of Luther Albright』を発表した。これは、地震の発生をきっかけに人生を大きく揺るがされる、カリフォルニア在住のエンジニアを描いた物語だ。この作品によって、彼女は2006年にアメリカン・ブック・アワードを受賞した。続いて2013年には、4人の女性を主人公に、それぞれの運命がやがて交差していく物語『Traps』を発表した。そしてそれ以降、この慈善家はフィクション作品を発表していなかった。

2019年にジェフ・ベゾスと離婚した後、マッケンジー・スコットは、自身の巨額の資産のかなりの部分を、世界各地の慈善団体や組織に充ててきた。仕事についても私生活についても非常に控えめな姿勢を貫いている彼女は、今回の作家活動への復帰に際して、大規模なプロモーションツアーを行う予定はない。そして、これまで公開された章を見る限り、『Last Days in Two Nations』は、これまでの彼女のフィクション作品の中でも、最も政治色が強く、挑発的な作品になりそうだ。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

  • text: Lovelly Ndinga Ikobo (madame.lefigaro.fr)
  • translation: Hanae Yamaguchi