「周囲から逃げ場をなくした上で......」ニューヨークの高級不動産業界のスター兄弟、複数の有罪認定を受けた非道な性犯罪とは?

Celebrity 2026.03.15

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ニューヨークで高級不動産業界のスターと見なされていたアレクサンダー兄弟は、5週間にわたる裁判の末、3月9日(月)、性的人身売買と複数のレイプの罪で有罪と認定された。検察側は、被害者を周囲から切り離して逃げ場をなくした上でレイプや屈辱を加える、周到に仕組まれた犯行だったと説明している。

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オレン、タル、アロン。(2014年12月10日)photography: J Grassi / Patrick McMullan via Getty Image

コンサートのチケットや夢のような旅先への航空券。ハンプトンズでの夜、カリブ海のクルーズ、アスペンでの滞在。アレクサンダー兄弟は、こうした華やかな誘いで多くの女性たちを引き寄せていた。そして彼らが見返りとして求めていたのも、ただひとつ、沈黙だった。

3月9日(月)、ニューヨーク連邦裁判所で5週間にわたって行われた裁判の末、アレクサンダー3兄弟は、数十人の被害者に対する性的人身売買とレイプの罪で有罪と認定された。

陪審員たちにとって、全体像はいまや明らかになっている。2010年から2024年末までの10年以上にわたり、マンハッタンの「ゴールデンボーイ」と呼ばれ、セレブたちとの人脈を持っていた彼らは、高級不動産エージェントという立場を利用して女性たちを引き寄せ、薬物を使い、レイプしていたという。「彼らは、被害者を誘い出し、孤立させ、レイプするという同じ手口を繰り返していた」と、検察官アンドリュー・ジョーンズは最終弁論で述べた。これは『ニューヨーク・タイムズ』が伝えている。「しかも彼らは、これらの犯罪を何の後悔もなく犯しただけでなく、冷酷さと歪んだ傲慢さをもってそれを行っていたのです。」


「ピエロを演じろ」

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ニューヨークでの裁判中のアロン・アレクサンダー。photography: Bloomberg / Bloomberg via Getty Images

しかし長年にわたり、イスラエル系アメリカ人のアレクサンダー兄弟は、それとはまったく逆のイメージで知られていた。現在38歳の双子、タルとオレンは、アメリカでも最も注目される不動産エージェントだった。英紙『デイリー・エクスプレス』が伝えるところによれば、ふたりは「Aチーム」と呼ばれ、高級不動産会社「オフィシャル」のトップとして、カニエ・ウェストやキム・カーダシアンといったセレブ顧客に、数百万ドル規模のペントハウスを販売していた。一方、39歳の兄アロンは、家族が経営する民間警備会社「ケント・セキュリティ」で働きながら、弟たちと同じ社交界の人脈の中で活動していた。マイアミでもマンハッタンでも、3人は派手なパーティと「プレイボーイ」としての評判で広く知られていた。SNSでも非常に活発で、特にインスタグラムでは数千人のフォロワーを抱えていた(現在、アカウントは非公開)。そこには、ヨットでの滞在、マグナムサイズのシャンパン、真っ白なラインが美しい豪華ヴィラなど、きらびやかな生活を誇示する投稿が並んでいた。

しかし、その華やかな世界の裏には、暴行が起きやすい環境が潜んでいた。そこではアルコールや薬物が中心的な役割を果たしていたという。「彼らは、被害者との出会いを詳しく記したブログまでつけていた」と、裁判で示された証拠をもとに英紙『デイリー・エクスプレス』は伝えている。「そこには、被害者に薬を飲ませてレイプし、ピエロの格好をさせたうえで、凍える寒さの中に置き去りにした出来事などが記されている。」これはケリー・ハドソンへの暴行を指している。彼女の本名は保護のため公表されておらず、仮名が使われている。彼女は、コロラド州アスペンにある一家の山荘でオレン・アレクサンダーにレイプされたうえ、ほとんど意識がない状態でピエロの格好をさせられ、そのまま真夜中の雪の中に置き去りにされたと証言している。「この人は、わざと私を辱めようとしているのだと思いました」と、彼女は法廷で語った。彼女は翌日すぐに彼に問いただそうとしたが、返ってきたのはこうした言葉だったという。「気にするなよ。楽しかったじゃないか。」

兄弟がつけていたノートのひとつに書かれていた一節も、背筋が凍るような内容だ。「彼女たち(女性たち)は目を覚ますと、侵害された、利用されたという感覚に加え、自尊心の低下など、あらゆる苦しみを抱えることになる。一方の俺たちは、ぐっすり休んで目覚め、エネルギーに満ち、自信にあふれ、幸せで満たされている。夜遅くまで笑いながら、動画を見返し、スロー再生して、拍手して、そしてまた同じことを繰り返す。」さらに、別の一文も見つかっているという。「女を抱いて、金を手に入れろ。」

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「ケイティ・ムーア」と「マヤ・ミラー」のケース

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2026年、裁判中のアロン・アレクサンダー。photography: Bloomberg / Bloomberg via Getty Images

裁判が進むにつれ、証言台に立つ被害者が次々と現れる中で、こうした言葉はますます重い意味を帯びていった。そのひとりが、やはり仮名で証言したケイティ・ムーアだ。彼女は今年1月27日、陪審員の前で自身の体験を語った。2012年、アロンとタルから、ニューヨークにある俳優ザック・エフロンのアパートでバスケットボールの試合を観ないかと誘われたという。ザックのファンだった彼女は、その場で大量の酒を飲むよう促され、さらに「MDMAを一錠」服用するよう勧められたあと、ナイトクラブへ連れて行かれたと、ニューヨークのニュースサイト「AMNY」が伝えている。意識を失う直前、彼女は「自分の体がぐらつき始めたのをはっきり覚えている」と証言した。やがて意識を取り戻したとき、彼女はアロンのベッドの上で裸のまま横たわっていたという。ケイティ・ムーアは、起き上がろうとし、彼と関係を持つつもりはないと伝えたと語っている。すると彼は低く笑いながら、こう言ったという。「もうしただろう。」そして再び暴行を続けた。「信じられないほどショックでした」と彼女は語った。さらに彼女によると、アロンが自分に暴行している最中、弟のタルが何事もないかのように部屋に入ってきて会話を始めたという。「それが彼らにとって、まるで普通のことのように見えたのが本当に異様でした」と、彼女は付け加えた。

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タル・アレクサンダー。photography: Daniele Venturelli / Getty Images

もうひとつの背筋が凍るような証言が、「マヤ・ミラー」と名乗る女性のものだ。彼女も身元を守るため、名前は変えられている。当時23歳の看護師だった彼女は、2013年にタルからインスタグラムで連絡を受けたと語っている。何度かメッセージをやり取りしたあと、彼はハンプトンズにある自宅で週末を過ごさないかと誘い、友人もひとり連れてくるよう勧めた。航空券は彼が手配したという。滞在の初めは、すべてが「信じられないほど素晴らしく感じられた」と、彼女は法廷で語った。しかし酒を伴うパーティのあと、マヤ・ミラーは眠るため部屋に戻ったという。ところが翌朝、動揺した友人が彼女のもとへ来て、自分は「薬を盛られ、レイプされたと思う」と訴えた。ふたりはその場から逃げようとしたが、彼女の証言によれば、タルが追いかけてきて、彼女を壁に激しく押しつけながらこう言ったという。「こんなに素敵な家に招いてやったのに、その礼がこれか?」彼女は、シャワーの中に隠れようとしたものの追いつかれてしまい、壁に押しつけられたうえ、熱いシャワーを浴びせられながらレイプされたと証言している。「とても怖かった......。涙が止まらなくて......。私は打ちのめされていました。彼は、私の涙に興奮しているようでした」と、彼女は証言台で語ったと『ニューヨーク・ポスト』が報じている。彼女はまた、暴行のあと2日間にわたり膣からの出血に苦しんだとも述べている。さらに看護師である彼女によると、その後タルは「週末のお礼」として贈り物を送り、メッセージで「この旅行は最高だった」と伝えたうえ、彼女が自分を怖がっていたことが気に入ったと書いていたという。また彼女の弁護士は、この週末の数日前、タルが彼女と友人の写真を兄アロンに送り、次のようなメッセージを添えていたことも明らかにした。「今週末、ハンプトンズに来る安い売春婦たちだ。」

長兄のオレン・アレクサンダーについても、ほかの被害女性たちが同様の証言を寄せている。たとえば、不動産リアリティ番組「ミリオン・ダラー・リスティング・ロサンゼルス」で知られるトレイシー・チューターは、ニューヨークで不動産関連のイベントに出席していた際、レストランのトイレで薬を盛られ、暴行を受けたと彼を告発していると、英紙『ガーディアン』は報じている。さらに、兄弟は自分たちの暴行の様子を撮影していたことも明らかになった。裁判では、薬物を摂取させられたとみられる17歳の少女にオレン・アレクサンダーが暴行する様子を収めた動画も上映された。

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公然の秘密

『ニューヨーク・タイムズ』によると、彼らに関する性的暴行のうわさは、高校時代からすでに広まっていたという。ナイトライフや不動産業界の一部の界隈では、アレクサンダー兄弟の評判は「誰もが知っている公然の秘密」になっていたと、複数の女性が証言している。2024年12月に3人が逮捕されたあと、検察側は、彼らの行為が非常に組織化された仕組みだったと説明し始めた。一方、弁護側は被告たちを単なる「プレイボーイ」や「女好き」として描こうとし、関係は合意のもとだったと主張。さらに、一部の告発者は金銭目的だったと訴えた。しかし陪審員たちは、この主張を受け入れなかった。判決後、検察側は声明でこう述べている。「この評決によって、アレクサンダー兄弟の被害に遭った多くの人々が受けた残酷な被害の結果が消えるわけではありません。しかしこれは、はっきりしたメッセージでもあります。ニューヨークの人々は、私たちのあらゆるコミュニティで性的人身売買を終わらせたいと望んでいるのです。」

タル、オレン、アロンのアレクサンダー3兄弟は、現在終身刑の可能性に直面している。陪審員はすでに有罪評決を下しており、彼らは12件の罪状で有罪と認定された。ただし、最終的な量刑は8月6日に言い渡される予定だ。それまでの間、3人の兄弟はブルックリンの拘置施設に戻され、引き続き勾留されている。

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text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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