いまの時代に求められる女らしさとは?【2025秋冬トレンドリポート】

Fashion 2025.06.03

構築的なフォルムや重厚なテクスチャー、装飾的ディテールが際立った2025-26年秋冬コレクション。クラシックを再解釈した表現が個性と感性を鮮やかに引き立て、装いに新たな可能性をもたらすシーズンに。
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Femininities Undone
さまざまな"女らしさ"が意味するものは?

塚本 香/Kaori Tsukamoto
ファッションジャーナリスト
エディトリアルディレクター
元フィガロジャポン編集長。現在はファッションジャーナリスト&エディトリアルディレクターとして活動する。先シーズンに続きトレンドリポートを編集。
@kaorinokarami

デザイナー交代劇に揺れたシーズンだった。ファッションウィーク中もその後も退任・就任のニュースがひっきりなしに続いた。サバト・デ・サルノがグッチを去り、後任にはバレンシアガのデムナが選ばれた。ジル サンダーのルーシー&ルーク・メイヤーの退任がショー翌日に発表され、ロエベのジョナサン・アンダーソンは噂どおり今季が最後のコレクションとなった。就任後初のランウェイに注目が集まるなか、カルバン・クラインのヴェロニカ・レオーニ、ドリス ヴァン ノッテンのジュリアン・クロスナー、トム フォードのハイダー・アッカーマン、ジバンシィのサラ・バートンが、ブランドの本質を再認識させる素晴らしいコレクションでデビューを飾った。

"過渡期"であり、トレンドが見えにくかった2025秋冬ながら、新たに浮かび上がってきたのが「女らしさの探求」というキーワードだ。いまの時代に求められるフェミニニティとは何か、その答えをデザイナーたちはそれぞれのアプローチで提起した。ディオールのマリア・グラツィア・キウリは『オーランドー』をテーマに変容する女性性を表現、ステラ・マッカートニーは80年代のパワードレッシングでしなやかさと力強さが共存する女性像を再定義した。何よりミウッチャ・プラダのふたつのコレクションが「女らしさの意味」を根源的に問いかけた。切りっぱなしの無骨なドレスで"生の"女らしさを描いたプラダ、ミュウミュウではカービーに変形したシルエットでフェミニニティの多様性を主張した。彼女が問う女らしさはこの不穏な時代への意思表明といっていいだろう。

違うベクトルながらコム デ ギャルソンの川久保玲も時代への視座を示したひとり。「小さきものこそ強きもの」という言葉は彼女自身だけでなく、この世界のすべての"小さきもの"への思いでもあるのだろう。

女らしさと小さきもの、どちらも私たちにファッションの意味を問いかけている気がする。

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Tom Ford

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「官能性とは、美しさを感じることです」
ハイダー・アッカーマン/トム フォード クリエイティブ・ディレクター

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Givenchy

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「私は、現代の女性のすべてを表現したい。強さ、繊細さ、感情的知性、パワフルであること、そしてセクシーであること──そのすべてを」
サラ・バートン/ジバンシィ アーティスティック・ディレクター

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Saint Laurent

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当初からのサンローランの理想形―それは少ない筆数で描いたようなシンプルなシルエットです。

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Prada

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今日、女性らしさとは何を意味するのでしょうか? そしてその定義とは?

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Calvin Klein

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「私の目標は、シェイプとクラフトを通して、ミニマリズムと純粋さを、究極で正確な表現を定義し、カルバン・クライン氏の独創的なビジョンと独特なアプローチを現代に蘇らせることです」
ヴェロニカ・レオーニ/カルバン・クライン クリエイティブディレクター

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Alaïa

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「私が伝えたいメッセージは、独自性、個性、女性の不変の強さと不屈の精神、そして服を通して女性たちにパワーを与えることです」
ピーター・ミュリエ/アライア クリエイティブ・ディレクター

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Jil Sander

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闇という、今日の時代に浸透するような色合いを、光へと変えること、その輝きを手に入れるよう私たちを誘うこと。

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Comme des Garçons

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「Smaller is Stronger──グローバルなカルチャー、システムといった大きな波に飲み込まれて何も感じなくなる現代。その中にあって、どんなに小さくても新しいことを見つけてやるべきだという思いで服を作った。小さなことにも強い価値があり、力になりうると思う」
川久保 玲/コム デ ギャルソン デザイナー

>>コム デ ギャルソン - 2025年 秋冬コレクション


Fendi

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仕立ての伝統とイタリアの洗練性に対する破壊的な解釈が絡み合い、服が人格となり、人格が服となるかのようです。

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Dries Van Noten

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「創作と実践が行われるカーテンの向こう側。その生々しい、触覚的な発見が、私が今日どのようにファッションを見ているかの本質となります」
ジュリアン・クロスナー/ドリス ヴァン ノッテン クリエイティブ・ディレクター

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Dior

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衣服とはさまざまな可能性のレパートリーなのです。

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Miu Miu

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女性らしさには、男性的な制約から私たちを解き放つパワーがあります。

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Valentino

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「結局のところ、もっとも深い親密さとは、ひとつの劇であることがわかるでしょう。あるいは、「存在」というメタ劇です」
アレッサンドロ・ミケーレ/ヴァレンティノ クリエイティブ ディレクター

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Louis Vuitton

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ひとつのプラットフォームの両端にあるのは、希望に満ちた恋の気持ち、あるいは別れの憂鬱。旅立ちへの興奮、あるいは帰郷の安らぎ。発見の幸福感や旅の爽快感...。

>>ルイ・ヴィトン - 2025年 秋冬コレクション


Chloé

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「クロエは、ファッションの枠を超えて女性に語りかける声を持っています」
シェミナ・カマリ/クロエ クリエイティブ・ディレクター

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*「フィガロジャポン」2025年7月号より抜粋

photography: Spotlight editing: Kaori Tsukamoto, Miyu Sugimori

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