COLLECTION

サンローラン、スリリングなドレスアップ術。

「深刻な問題と立ち向かうことによって、ほかのことを軽く受け止めることができる。境界線でバランスを見つけることは洗練された才能だ」とサンローランを率いるアンソニー・ヴァカレロはコメント。
パリ・ファッション・ウィークの期間から離れて、21年ウインターコレクションを発表。ランウェイに選んだのはダイナミックな大自然。雪が積もる海岸や水煙が舞い上がる滝、寒々しい荒野を背景に、60年代をイメージさせるミニ丈を着こなしたモデルがピンヒールで闊歩する。 アンソニー・ヴァカレロがインスパイアされたのは、カナダ人の女性ミュージシャン「ピーチズ」。派手なボンテージ風衣装を着こなす、彼女の“きらびやかで未完成”なスタイルから影響を受けて、チープとラグジュアリーの境界線を探ったという。
ファーが飾られた赤や緑のクラシカルなツイードスーツに、ステージ衣装のようなメタリックなボディスーツをコーディネート。ブルージーンズにはスパンコール刺繍のトップでミックスアンドマッチを楽しみ、四葉のクローバーをかたどったチョーカーやシャンデリアのようなイヤリングでドレスアップする。ケミカルな色使いや、クチュールライクな素材、大胆な肌の見せ方……、際どいバランスを自在に操ったドレスルックで風を受けて歩くモデルたちは、どこまでも強く自由で官能的だ。