【金原ひとみ】外した瞬間に、新しい自分になれたカルティエのラブブレス。

Jewelry 2024.11.20

各界で活躍する著名人たちが、大切に紡いできたウォッチ&ジュエリーにまつわる物語をひもとく。
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金原ひとみ
小説家

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15年間一緒に過ごしてきたという「LOVE」ブレスレット。ようやく手首が空いたので、新しいブレスレットを手に入れたい、と語る。

「外した瞬間に、新しい自分になれたブレスレット」

私にとって思い入れの強いジュエリーといえば、カルティエのラブブレス。若かった頃、当時憧れていたラブブレスを恋人に買ってもらいました。一緒にお店に行って選んだのですが、買おうとした時に彼のカードの限度額が足りなくて払えなかったため、結局私が半額を負担することに。いま思えば、あの時に別れておけばよかったのですが(笑)。とても気に入っていたので、出産や手術の時に外した以外、十五年くらい身に着けていました。その存在を意識することすらなく身体の一部のようになっていたのですが、相手との関係性が最悪になって、数年前ブレスレットを外しました。その瞬間、自分でも驚くほどの解放感が湧き上がったんです。縛られていた感覚も嫌だったわけではなく、それが私の支えになっていた時期もありました。あまりに長い時間だったので、その都度いろいろな思いがあったのですが、いつの間にかほとんどのものが形骸化していました。自分が固執してきたものをようやく手放すことができたというか、きっともうずっと前からいらなかったんだなと思うことができました。いつからか昔の自分や相手の気持ちに縋っていたことに、象徴的な存在であるブレスレットを外したことで気づけたのかもしれません。人から貰うジュエリーはその人との思い出も一部になってしまうので、これからは真っ直ぐ自分と向き合うため、自分で自分を飾るものを選び、買いたいと思います。


※私物のため、ブティックへのお問い合わせはご遠慮いただきますようお願いします。

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ブレスレット「Love スモールモデル」(WG)¥803,000/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター )
Profile
金原ひとみ 1983年、東京都生まれ。『蛇にピアス』で文壇デビュー。同作が2003 年に第27回すばる文学賞を受賞。以後も数々の賞を受賞。近作は『ナチュラルボーンチキン』(河出書房新社刊)。
問い合わせ先:
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00(フリーダイヤル)
https://www.cartier.jp/

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*「フィガロジャポン」2025年1月号より抜粋

photography: Masahiro Sambe 

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