バスク地方、サンセバスチャンで買いたいお土産6選。
友人アーロンの誕生日を祝うため、サンセバスチャンに集まった11人の大人たち。バル&グルメスポット巡りに続き、旅を振り返りながら、現地で見つけた素敵なお土産を紹介します。
食の話題に偏りがちなサンセバスチャンだけれど、この街の人々にも日本人を惹きつける魅力があるように思う。学生時代、姉妹校であるバスク大学からの留学生たちと交流する機会があって、南の陽気なスペイン人とはどこか一線を画す、真面目でシャイな気質になんとなく親しみを感じていた。

そんな記憶も手伝って、今回の滞在では観光客の多い旧市街を少し離れて、あえてローカルの暮らしが垣間見える住宅街にほど近いホテルにステイ。




地元の人々が行き交う通りを散策しながら、旧市街との両方を行き来できる距離感の中で見つけた“持ち帰りたいもの”を6つご紹介します。
① チョコラテス・デ・メンダロ|メンダロ・チョコレート
バスク地方の小さな村メンダロで、1850年に創業された歴史あるチョコレートブランド。170年以上に渡って受け継がれてきた職人技で丁寧に作られたチョコレートが並ぶショップは外観もチャーミング。ガーリーで愛らしい店内でチョコレートを選ぶひとときは、それだけで贅沢な時間。



お味はというと、甘さ控えめで非常にさっぱりとしたチョコレートという印象。イギリスのしっかり甘いデザートに慣れてしまった家族には、少し物足りなかったみたい。けれども、バスクチーズケーキにも通じるこの控えめな甘さこそが、素材の良さを際立たせているのでは?

Chocolates de Mendaro
Azpilgoeta Kalea 35, 20850 Mendaro, Gipuzkoa, Spain
https://chocolatesdemendaro.com/
② SUAVINA(スアビナ)のハンドクリームとリップバーム
SUAVINA(スアビナ)は、1880年にスペイン東部ビジャレアルの薬局で誕生した老舗ブランド。当時の薬剤師が、地元農場で働く人々の乾燥した手や唇をケアするために手作りの軟膏を販売したのが始まり。現在も創業当時から変わらない植物由来の保湿成分をベースに作られていて、いわばスペイン版のメンタムのような存在だ。特にハンドクリームは何とも言えない薬草みたいな香りが独特で、手にすーっとなじむ使い心地も抜群。いまいちばん気に入っているアイテムかも。



③ アニャーナの塩
バスク地方アラバ県、アニャーナの谷の塩水を塩田に引き込んで、太陽光と風で蒸発させるというサステナブルな製法で作られるこのお塩。その生産はなんと6500年前にまで遡るというのだから驚愕。現在もこの手作業による伝統的製法は受け継がれていて、ミネラルを豊富に含むフレーク状の塩が生産されている。バスクの食文化に脈々と息づく、この地の魂とも言えるお塩!買わない理由はありません。


④ 『ラ・コンチャの手すり』キーホルダー
サンセバスチャンが高級リゾート地として栄えた1910年代ごろに設置された、ラ・コンチャ湾沿いのボードウォークに連なるこのフェンス。まさにアールヌーボーが席巻したベルエポック期の美学が凝縮された存在で、いまもなお海辺の景観を優雅に彩っている。観光地にありがちな残念なキーホルダーとは一線を画していて、訪れたことのある人なら思わず頷く、街の風景をさりげなく落とし込んだデザインが光る。


ちなみにこのキーホルダー、今回の旅の主役だったアーロンがお礼として旅に参加した10人全員に贈ってくれたもの。みんなでお揃いで持つことになって「2026年サンセバスチャン同盟」のようで、ちょっとうれしい。



⑤ 食材 | オリーブオイル、アンチョビ、パプリカ、ドライドマッシュルームなど
地元の食材を探しに足を運ぶ時間は、どの国を訪れても旅の醍醐味のひとつ。個人店を応援するのがモットーなので、街の八百屋さんへ足を向ける。



バスク地方では生産されていないと分かっていながらも、スペインといえばやはりオリーブオイル。店主が勧めてくれたのが、Señoríos de Relleuのこの小さなチューブタイプ。目薬のように食材の上へ一滴落として味わう斬新的なスタイルが気に入った。“Intense(キョーレツ)”の表示通り、ほとんど苦味といっていいほどに搾りたてのオリーブの青々とした香りが口いっぱいに広がる。ほんの少量で素材の魅力を引き立てる、いわば“Less is More”を体現した、新しいオリーブオイルのかたち。


⑥ Clara Bijouxのバレッタ
1928年の創業以来、この街の人々の生活を支えてきた家族経営の化粧品・雑貨店Perfumería Matilla。地元民の日常が詰まった店内には、昔ながらの日用品が並んでいて、チェーン店では見つからない息の長いコスメが充実している。観光客には少し穴場感があって、地味にアピールしてくる愛らしいアイテムに出会えること請け合い。

今回見つけたのは、1953年にマヨルカ島で創業されたファッションジュエリーブランド、Clara Bijoux (クララ・ビジュー) のバレッタ。職人が一つ一つ丁寧に手作業で色付けするアールデコ調のカラフルなデザインがタイムレスで可愛い。合金にエナメル加工を施したファッションジュエリーなので気負わず普段使いできるのも○。


Perfumería Matilla
C. Mayor 7, Bajo, 20003 San Sebastián (Donostia), Gipuzkoa, Spain
http://www.perfumeriamatilla.es/

名残惜しくもロンドンへ帰る日曜の朝。確実に重くなったスーツケースのパッキングをしていると、窓の外からふいに笛の音色が。どこか小学生の合奏のような、素朴で懐かしいメロディ。急いでバルコニーから下をのぞくと、そこにはバスクの民族衣装に身を包んだ小さな鼓笛隊が隊列を組んで進んでいた。
すぐさまビルバオの旧友アイトールに電話して「この音楽は何?」と尋ねるとTxistuという伝統的な縦笛で奏でるパサカジェスと呼ばれる民謡だと教えてくれた。バスクの男性ならほとんどが幼少期から親しむ楽器だそうで、「僕も小さい頃には吹けたんだよ。いまでは忘れてしまったけどね」と、話してくれた。

味覚と視覚だけでなく、聴覚でもバスク地方を堪能した4日間の旅。文化と伝統が日常に自然と溶け込むこの土地の風景の余韻に包まれながら、帰途についた。
Hotel Villa Katalina
Hondarribia Kalea 42, 20006 Donostia / San Sebastián, Gipuzkoa, Spain
https://www.intelier.com/en/hotel-villa-katalina-san-sebastian
- text:Satski Gamble