【憧れの家作り】40軒内見した結果、遂に出合った理想の家。
Interiors 2026.04.02
家を買う、建てる、建て直す――家を形作ることは暮らし方そのものを考えること。間取りも内装も自由な一方、一筋縄ではいかないからこそ愛着も増すというもの。実際に家作りをした人を参考に、自分らしいマイホームを実現しよう。2026年の新しい生活、まず「家」から始めてみませんか。
憧れの家作り case 3
ENGLAND ― LONDON
フランス人家族

天井にGCGアルシテクトがデザインした花のモチーフが描かれた朝食部屋。オリジナルのテーブルにチャーナーチェアを合わせた。照明はキアラ・コロンビーニのCTO ライティングによる「トレヴィ6」。階段の黄色の塗装はメルカディエール「コロネル」、奥の壁紙はフランスのIKHORが造形作家のウラジミール・アンタキの作品をベースに作製した。
イギリス・ロンドンへの移住を計画していたフランス人家族は、この家に巡り合うまでに約2年間、40軒内見したという。そしてようやく見つけたのがこの310平方メートルの家だ。ロンドンのノッティングヒルにあり、美しい庭に囲まれている。ひと目で気に入り、購入した。でも、欲しいのは白壁に無個性な標準仕様の内装ではない。上質な素材を使ったカラフルで美しい空間、暮らすのに楽しい場所だ。「黄色やブルー、グリーンの色合いに、柄の壁紙やテキスタイルを合わせたい」とパリの建築事務所、GCGアルシテクトに依頼し、アレクサンドル・グレ、オリヴィア・シャルパンティエ、デヴ・グプタがこの家の改装に取りかかった。

ピエール・メスギッシュによるモザイクとルスルス「ミニュイ」で塗装した鮮やかな青が印象的なエントランス。ザ・ミラー・ショップの鏡「メイフェア」とポルスポッテンのスツールを置いて。
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内装工事に時間をかけて。

アメリカのヴォウツァの壁紙がインパクトのあるリビングは、ダミアン・ラングロワ=モーリーンのラグ「オーラ」の上に、オリジナルのテーブルとローラ・ゴンザレスの黄色いアームチェアやインディア・マダヴィのグリーンのチェア、ピエール・オーギュスタン・ローズのソファを置き、エリティスのクッションを並べた。照明は101コペンハーゲンのフロアランプやメイソン・エディションズのランプ。
すでに最小限の改装は施されていたが、問題は天井が低いことと仕切りだらけの間取りだった。建築家3人はフランス人家族の意向を反映すべく図面を引き直し、デザインのコンセプトを練った。家具から照明器具、テキスタイルにいたるまで取り替える必要があった。工事期間が2年半にも及んだのは、途中でコロナ禍などさまざまなハプニングがあり、予定どおり進まなかったからだ。それでも粘り強く取り組んだおかげで工事は無事に完了した。

家族が集うダイニングは、壁をアルジルの「ヴェール・アンティーク」で塗り、ポップ・コーンのレイヤーランプシェードをリズミカルに吊るした。ピエール・フレイのラグに、デ・ラ・エスパーダの大テーブルとイームズのシェルサイドチェアを。カラフェとグラスとはブシャラのもの。
改装後の家ではキッチンが家の中心となり、家族が集う場となった。主役は丸みを帯びたアイランド型キッチンだ。オーダーメイドで片側に機能面を集約させ、反対側にはベンチを設けてテーブルを置いた。キッチン設備は垂直ドアでうまく隠されており、金色のブラケット灯を配したゼリージュタイルの豪華な壁面も目隠しの役を果たしている。キッチンのある広い空間の一角がダイニングスペースになり、曲線を帯びたダークブルーの壁とピエール・フレイのテキスタイル「パラ」を使ったカーテンが寛ぎを呼び、まるでアルコーブにいるかのような気分に誘ってくれる。
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庭はもうひとつのリビング。

2階の大リビングの壁はアルジル「クレ・ブルテ」で塗り、GCG アルシテクトが特別にデザインした巾木の塗装にアルジル「テール・ドリアン」とルスルス「ミニュイ」を使用。カーテンをクラレンス・ハウスのテキスタイル「チベット」で合わせた。トゥールモンド・ボシャールのラグ「コラージュ」の上にザノッタのソファ「ウィリアム」。左手奥には書斎スペースが設けられている。
上階のリビングや書斎からは庭の眺めがよい。バスルームがそれぞれ併設された3つのベッドルームは最上階に位置している。グラフィカルな柄を生かしつつ、深みのある色調をベースにパンチの利いた差し色を用い、楽しくもリラックスできる空間を創出している。

夫婦の寝室の壁はアルジルの「アルドワーズ・ブルー」、収納は「ヴェール・デジプト」で塗装し、アナンボのパノラミック壁紙「ボルネオ」を張った。ランドマーク・サルトラムのフローリングにダミアン・ラングロワ=モーリーンのラグ「ノーチラス」を重ね、アパラタスのペンダント照明「ラリアット1」、AM.PMのナイトテーブル「ヴェスペール」を置いた。ベッドリネンとプレードはラ・ルドゥート、ベルベットのクッションはキャラヴァンのもの。

寝室に併設されたバスルームは、オットのセメントタイル「ヘックス・ブラック・カレット」を敷き、キャビネットの扉をファロー&ボール「クロマーティ」のグレー、窓枠はRAL3004の赤で仕上げた。オリジナルの洗面台はデュポン社の素材、コーリアンを使用。特注した鏡にテクナのブラケット灯「マーサー」をつけた。
この家の魅力を構成する重要な要素である緑豊かな庭は、ロンドンの著名な造園家、シャーロット・ロウが手がけた。高さ8メートルの常緑高木、セイヨウヒイラギガシを植樹するのに巨大クレーンを使って木を吊り下ろしたそう。フランス人一家同様、樹木はこの土地にしっかり根付いたという。

キッチンの前の大きなテラスは、造園家シャーロット・ロウの植栽によって緑豊かで快適な屋外リビングとなっている。ダネルムのアウトドアラグ「ジャズ」の上に、ケタルのローテーブル「ジグザグ」2台とサイドテーブル「カラ」、ソファ「ヴィミニ」を配置。クッションはシューマッハの生地でオーダーメイド。ジョン・ルイスのカラフェ「カクタス」にパリのプランタンで買ったグラスを合わせた。
*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋
photography: Bénédicte Drummond(Madame Figaro) text: Laurence Dougier(Madame Figaro)





