希少な比婆牛をお目当てに、広島・グルメすぎるステイ。

Travel 2025.06.12

まりモグ

比婆(ひば)牛という黒毛和牛をご存知でしょうか? グルメ担当でありながら、私は知りませんでした(お恥ずかしい......)。広島というと、牡蠣にお好み焼き、レモンといった名物が思い浮かびますが、牛はノーマークでした。

でも、県外の人が知らないというのも仕方ないかもしれません。というのもこの比婆牛、とっても希少なんです。庄原市 (旧比婆郡)と比較的冷涼な地で育てられているのですが、令和5年の出荷数は184頭とかなり少ない。

これは食べられる場所に自分が赴くしかない!

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広島市中区にあり、原爆ドームからも徒歩圏内にあるイプシロン。

広島訪問のテーマを「比婆牛を味わう」に設定し、訪れたのが「イタリア料理 イプシロン」。イタリアでの修業経験もある白木祐次オーナーシェフが、イタリア愛たっぷりにもてなしてくれます。この日は「比婆牛コース」をオーダー。

人生初・比婆牛はタリアータになってお目見えに。

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コース1品目の冷前菜「比婆牛のタリアータ カプレーゼ仕立て」。

この比婆牛、実は冷菜料理がとっても合うんだとか。脂にオレイン酸をたっぷり含んでいるので人肌で溶けるほど融点が低いのです。口に含むとしっとりなめらか。同じ庄原産のトマトがまたおいしく、ジューシーで甘味と酸味のバランスも完璧。肉料理でありながらサラダ感覚で食べられて、食欲がぐんぐん湧いてきます。

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ソムリエ資格も持つ白木シェフが、料理に合うさまざまなイタリアワインを提案。最初の一杯は、ピエモンテのネッビオーロで造るスプマンテ。爽やかな中にネッビオーロならではの骨子が感じられる。

続いての料理が「比婆牛と真イワシのベッカフィーコ」。一気に南イタリア気分! 

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この魚料理にも"隠れ比婆牛"が......。

ベッカフィーコは、イワシのパン粉焼きにレーズンやオレンジと一緒に焼き上げるシチリアの郷土料理。イプシロンでは、オレンジとブラックオリーブのソースを添えて提供しています。ひと口食べてびっくり。くるっと巻かれたイワシの間に、比婆牛のランプが入っているのです。ふっくら肉厚なイワシと味わう上質な肉の旨味。添えられた庄原産のルッコラが口中をさっぱりさせ、無限に食べられそう。

3品目は「比婆牛のラザーニャ」。今度は比婆牛とモルタデッラのラグーが登場です。広島菜で作るシート状の薄いパスタと重なり、比婆牛の深味が感じられたところで直球メニューが。「比婆牛ランプのロースト」がやってきました。

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メイン料理の「比婆牛ランプのロースト」。奥は「サルシッチャとズッキーニのグラティナータ」が。カンパーニャ州のアリアニコ100%で造る赤ワイン、タウラージと一緒に。

赤身の旨味と脂身の甘さが一度に味わえる、ストレートなおいしさが身上。何よりも、とろけるようなやわらかさがたまりません。添えられた赤ワインソースが輪郭をくっきりさせ、脇を固めます。旨味、甘味、食感、どれをとってもバランスがよく、比婆牛の真髄を見た気がします。今後も「広島に来たら比婆牛!」がテッパンになりそうです。

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元安川から原爆ドームを臨む。

広島の美味を堪能したあとは、今夜のホテルへ。この日は「KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS」に試泊させていただきました。

2019年に開業したKIROは、金沢にあるKUMUや浅草のKAIKAと同系列。京都のTSUGUには以前泊まったことがありましたが、共通しているのが、元の建物を生かしたリノベーションホテルという点。

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部屋によって印象は異なる。こちらは「Moderate with Top Light」(1室¥19,000〜)。傾斜窓を生かした造りで、日当たりも良好。
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デスクも完備でテレワークにもぴったり。洗い場&バスタブ付きなのもうれしい。

こちらのKIROは、築29年の複合ビルをコンバージョン。広島市の中心街、八丁堀エリアに位置するのでどこに行くにも便利。平和記念公園や原爆ドームが徒歩圏内で、ホテルの目の前には「お好み村」も! 広島市の名所が網羅できます。

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ホテル3階にある「THE POOLSIDE」。プールはなく、泳げないので注意!

館内でのお気に入りが、「THE POOLSIDE」という名のラウンジ。かつてあった屋内プールを改装していて、当時の段差や手すりを上手に活用。ユニークな造りです。11時から夜24時までの間、宿泊者専用のラウンジとして無料&有料のドリンクサービスも。日中はここでジュースやハーブティーを飲みながらテレワークしましたが、居心地がよく、とっても捗りました。

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岡山県のキノシタショウテンが監修した朝食。写真は「シュガーバター」。

朝食会場もこのラウンジで提供されます。副菜とドリンクはブッフェ式で、メインは4種類のクレープからオーダーするシステム。この日の副菜は、サラダのほか、アボカドクリームやササミリエット、レンズ豆のスープなど、ひと捻りしたメニューが並んでいました。ワインとも合いそう......と思いながら我慢。

メインのクレープは「旬の野菜とソーセージ」「卵とハムとチーズ」と食事系のものと、「シュゼット(オレンジとレモンのソース)」などスイーツ系をラインナップ。お好みのフレーバーを1種選びます。「シュガーバター」をチョイスしたところ、生地がもっちりしていて、絡めたバターや砂糖&ナッツの食感ともよく合う! たっぷりの日差しと植物に囲まれながら、おしゃれで優雅なモーニングとなりました。

観光資源に恵まれた広島だけあり、これまで何度も取材や旅行で訪れてきましたが、比婆牛との出合いなど、初めてづくしの1泊2日となりました。おいしい広島、まだまだ食べ尽くせていないので再訪が楽しみです。

イタリア料理 イプシロン
広島県広島市中区十日市町2-9-25
082-231-8007
営)12:00〜13:00L.O.、18:00〜21:00L.O.
休)月 ※ほか不定休あり
要予約
Instagram @ypsilon_hiroshima

KIRO 広島 by THE SHARE HOTELS(キロ ヒロシマ バイ ザ シェア ホテルズ)
広島県広島市中区三川町3-21
082-545-9160
全49室 
ダブル 1名¥13,000〜(朝食付き)
https://www.thesharehotels.com/kiro/

小中学校を北京で過ごしたアジア系帰国子女。幼少期から年に4〜5回海外旅行を繰り返す生粋の旅好き。大学時代に時間が有り余り、自転車で東北や四国&中国地方を周遊。ダイビングサークル出身で離島フリーク。ワインエキスパートを取得後、フィガロワインクラブの部長(愛称)に就任。

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