お好み焼き、たい焼き、ビール! 尾道で絶対にチェックしたい、おいしい話題3選。
Travel 2025.04.09
新たな"絶景"ホテルの誕生で、注目度も高い尾道。観光の途中で絶対にチェックすべき、おいしい話題・お店をチェック!
>>映画人が愛した尾道の景観を独占! 絶景のホテル「尾道倶楽部」へ。
お茶とたい焼きを片手に商店街を散策!|お茶とたい焼きのみるめ

地元観光の要所、尾道商店街。アーケードが長く伸び、雨天でも傘を差さずにショッピングやグルメを楽しめるスポットが盛りだくさん。この散策にもってこいなのが、海岸通りにもほど近い「お茶とたい焼きのみるめ」だ。
2016年から、地元広島で「世羅茶」と呼ばれていた在来茶葉の復活を手がけ、生産から発売まで一貫した流通を手掛けているTEA FACTORY GEN。元々ティースタンドで提供していた「お茶にいちばん合うたい焼き」をテイクアウトで楽しんでもらいたい、と始めたのがこのお店だ。

餅粉を使用した白いたい焼きは、シンプルさゆえにお茶の持つ香りや味わいが引き立つ。餡たっぷりだが、甘さは控えめでさっぱりとしており、本当に「お茶に合う」味わいだ。店内には自家製のほうじ茶を焙煎した落ち着く香りがただよい、お土産の茶葉も販売している。旅行の小休止、ぜひお茶とたい焼きで小腹を満たして。

お茶とたい焼きのみるめ
広島県尾道市土堂1-14-11
営)12:00〜16:00(土・日・祝)
休)月〜金
instagram: @ochatotaiyaki_mirume
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世界大会優勝の醸造家が造る、「飲み疲れない」クラフトビール。|しまなみブルワリー

2020年、ビールの世界大会で3部門の優勝を果たした醸造家、松岡風人。15年間のビール醸造経験をもとに、地元広島で自分の理想を追い求めたビール造りを目指して独立。23年、地元の出版社が約30年使用していなかった倉庫を借り、設備を整え「しまなみブルワリー」を立ち上げた。

「クラフトビールといえば、IPA、スタウトなど、15〜25℃という高めの温度で上面発酵させる華やかな味わいのエールが主流です。でも僕が目指すのは、5〜10℃の低温で発酵させる雑味のない味わいのラガータイプ。食事中、話しが盛り上がるうちに飲み終わって、ついおかわりしたくなる。そんなスッキリした味わいながらも、酵母が生きた旨味のある味を造っています」
低温発酵が必要なラガーのクラフトビールが少ないのは、醸造過程の難しさにある。松岡曰く「ミスしてはいけない工程」が10個以上もあり、エールよりも醸造に時間がかかる。ごまかしのきかない味わいが求められるビールなのだという。
「ラガー造りに興味を持ち訪ねてくる若い醸造家たちには、『ラガー造りは、忍耐』と教えています。でも、大切なことはビールや酵母が教えてくれる。酵母が気持ちよく働いてくれるように糖分というご飯を用意し、タンク内の温度を適切に。醸造家の仕事は『酵母のための料理人でありホテルマン』と言えるかもしれません」

「飲み疲れないビール」に続いて開発したのが、瀬戸内産のレモンを一部使用したレモンサワー。一般的なレモンサワーは蒸留酒に炭酸とレモン果汁を加えるが、松岡は麦芽を使った自家製の「ハードセルツァー」を醸造し、そこにレモンを加えるという醸造酒主体のレモンサワーに仕上げた。発酵の香りと甘みのある優しい味わいは、風呂上がりに飲みたくなる味わいだ。
ほかにも、季節限定の商品や、ひらめきから生まれた商品まで、松岡は想像の赴くままに多彩なビールを造り上げている。ブルワリーから徒歩2分ほどの老舗「向酒店」では、しまなみブルワリーのラガーが常にタップで飲めるほか、出荷数の少ないラインナップまで取り扱っている。また、絶景が楽しめるホテル「尾道倶楽部」のルーフトップバーでも、ストライクピルスナーを注文することができる。
ビール缶を片手に尾道の海を眺めて乾杯するのもいいし、旅のお土産に、家でゆっくりと泡立ちを見つめるのもいい。撮影した後、ホテルの部屋で「1杯目に最適なラガー」を味わってみた。泡立ちはクリーミーで、こんもりとグラスを縁取る。明るい金色、華やかな香りが漂う。口に含めば、爽快な苦味と爽やかな喉越しが! 軽やかで、思わず喉をゴクゴクと鳴らして飲んでしまう。笑顔がこぼれる、海の街のビールをぜひ味わってみてほしい。

しまなみブルワリー
広島県尾道市久保1-6-15-2
※工場見学は実施していません。
https://shimanami-brewery.com/
instagram: @shimanami_brewery
向酒店
広島県尾道市久保1-10-4
営)9:00〜20:00
休)日
https://www.mukai-saketen.com/
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やっぱりお好み焼き! 尾道焼きとワインを堪能。|粉福

広島といったらやっぱりお好み焼き! 焼きそば、キャベツを焼き上げ、薄く仕上げた生地を被せて蒸しあげるスタイルが広島流だが、尾道ではこれに砂ズリ(鶏の砂肝)、イカ天を加えるのが特徴。尾道商店街の入り口にほど近い「粉福」で、その魅力を堪能しよう。

店主の福井望は地元のホテルのソムリエとして勤務を続けていたが、コロナ禍中に一旦離職。親戚が経営している地元の老舗お好み焼き店を手伝うことになった。2023年、教わった尾道焼きとワインのペアリングを楽しめる店を、と「粉福」を開業。
「尾道ラーメンの製麺所が手がける焼きそば麺を使い、生地に乗せたまま具材も一緒に焼き上げると教わりました。できるだけ地元産、無農薬の野菜を選ぶようにしいて、卵も新鮮な地物です」」

ベラヴィスタ、LOGといった地元の名だたるホテルでペアリングを考えてきた福井にとって、お好み焼きとの相性はどんなものなのだろう?
「無農薬の野菜を中心に使っているので、ワインもオーガニックな造りの物を合わせるようにしています。地元のお客さんには『やっぱりビールかハイボールでしょ』と言われることも多いですが、甘みのあるソースに合わせるなら、南仏やスペイン産のフルーティ、スパイシーで渋みの少ない赤、たっぷり入った野菜や砂肝に合わせるなら酸がしっかりした白ワインなど、ペアリングのおもしろさが楽しめるんです」
焼き上がるのを待っている間に、地元産の野菜を使った店主お手製のラタトゥイユをつまんでワインをひと口、というのもたまらない。ワイングラス片手に、ソースの香り漂うおいしい夜を過ごそう!
広島県尾道市東御所町3−17 安田ビル1F
050-8888-1529
営)12:00〜15:00(月、金、土、日)17:30〜22:00(月、火、木〜日)
instagram:ko_fuku_onomichi
photography: Mirei Sakaki

フィガロJPカルチャー/グルメ担当、フィガロワインクラブ担当編集者。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、文化とグルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。
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