パリの小径の美食レストラン、小さな宝石箱のようなラ・ベニョワール。

Paris 2025.01.30

大通りからちょっと入った小径に面した「La Baignoire(ラ・ベニョワール)」。"バスタブ"を意味する店名からは、想像がつかないフェミニンでとてもエレガントなレストランだ。営業はディナーのみ。席数も少ないのでとてもインティメートな雰囲気の中で食事ができる。ここは2023年の初夏にオープンして以来、口コミで評判がパリっ子たちの間に広まり、彼らの秘密のアドレスとなっている。食事客は男女のカップルが多いのだが、みんななかなかオシャレで美しい。

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フェミニンでエレガントなレストラン。スタッフは気配り満点で英語も堪能だ。photography: @Yves Kharfan

それにしてもレストランがバスタブ!とは。これはオーナーのポール・オッタヴィオリの母親がかつて経営していたレストランの名前にちなんだそうだ。白いテーブルクロスの上で待つのは、とてもクラシックなお皿でル・ベニョワールノのイニシャルLBがモノグラムで描かれている。これはポールが開店にあたって蚤の市で偶然に見つけたものだという。この店名への彼のこだわりが感じられるのはレストラン入り口のモザイクで、8000枚の小さなタイルを用いて自らの手で「La Baignoire」と描いたのだ。彼は2区にバーの経営もしているけれど学んだのは建築や造園だそうで、店内のインテリアにそのデザインセンスが感じられる。

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オーナー自ら仕上げた店名のモザイク。photography: Mariko Omura
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シェフのセシル・レヴィー。photography: @Yves Kharfan

1階の奥のオープンキッチンで姿が見え隠れするシェフはセシル・レヴィー。イスラエル人のスターシェフであるアサフ・グラニットに見いだされ、パリ2区に彼が開いたレストラン「Tekes」で腕を振るっていた女性シェフだ。彼女の味わい深い野菜料理はこの店が知名度を得るのにおおいに役立った。ラ・ベニョワールで彼女が提案するのは、出身地の地中海沿岸地方、そして旅をした中東や東アジアなどのインスピレーションを取り入れたフランス料理である。オープン当初はランチ時間も営業していたけれど、現在は2回転のディナーのみ。シーズンに2度変わるメニューは前菜とメイン、といった区別なく1列に並ぶ11種の料理(18~38ユーロ)を自由に組み合わせることができる。食卓を共にする相手とシェアすることで2倍味わうことも可能だ。メニューには牡蠣、キャロット、カルパッチョ、オマール......など素材あるいは調理法が料理名代わりに並んでいて選びやすい。

たとえば"帆立貝"なら、その下の行に書かれたパネ、ケッパーの葉、セルフィーユ、パセリオイル、川鱒の卵といった食材から味を想像し......。タラ科の魚"リウ・ジョーヌ"は下にブラックライス、ブールブラン、味噌-醤油、ラベンダーとあり、酒も入った和洋折衷の味わいで、これはちょっとクセになりそう。店の人気料理というのも頷ける。どの料理も繊細な味である。ほのかに塩が利いた自家製のふんわりブリオッシュでソースの最後の一滴まで味わい尽くしたくなるはずだ。

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シロイトダラ。photography: @Yves Kharfan
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牡蠣(19ユーロ)。photography: @Yves Kharfan
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ジャガイモ。貝、無殺菌クリーム、ペルシヤード、コルシカの雌羊のトムチーズ。photography: @Yves Kharfan
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ほんのり塩が利いたブリオッシュ。photography: @Yves Kharfan

デザートはリンゴ&アルマニャック、チョコ-ミント、カボチャの3点。四川の胡椒やバハラットスパイスなどがシェフの個性を添えている。ワインは小さな生産者によるヴァンナチュールを揃え、料理とのペアリングも提案。地下には8~16名のターブルドット席があり、こちらはアラカルトではなく65ユーロか85ユーロの2種のメニューの食事となる。

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デザートのリンゴとアルマニャック。レッドベルベットケーキ、ホワイトチョコレート、リンゴのシャーベット、四川胡椒(13ユーロ)。photography: Mariko Omura
La Baignoire
7, rue Notre Dame de Bonne Nouvelle
75002 Parris
営)19:00~24:00
休)日
https://labaignoirerestaurant.com/

editing: Mariko Omura

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